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日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較
2024年10月17日
■概要
日本および台湾においては、それぞれ所定の期間内に、特許出願について分割出願を行うことができる。台湾においては、原出願の再審査の査定前、または原出願の特許査定書の送達日から3か月以内に分割出願を行うことができる。■詳細及び留意点
1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。
(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
(i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
(ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
(iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
(iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)
(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
(i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
(ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。
(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内(第44条第1項第3号)
(3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。
日本国特許法第44条(特許出願の分割) 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。 (第2項以下省略) |
2. 台湾における特許出願の分割出願の時期的要件
台湾では、原出願の再審査(*)の査定前、または原出願の登録査定書の送達日から3か月以内に分割出願することができる(台湾専利法第34条)。
(*):再審査とは、拒絶査定に不服がある場合に請求することができる制度である。再審査では、原審査に参与しなかった特許審査官が審査し査定書が作成される(台湾専利法第48条、第50条)。
台湾専利法 第34条 特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。 分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。 1. 原出願の再審査の査定前 2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内。 分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。 分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならない。 第2項第1号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。 第2項第2号規定により行う分割は、原出願の明細書又は図面に開示された発明で、且つ登録査定となった請求項と同じ発明に属しないものから分割出願しなければならない。分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。 原出願の登録査定を経た明細書、特許請求の範囲又は図面は変動してはならず、登録査定時の特許請求の範囲及び図面をもってこれを公告するものとする。 |
日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較
日本 | 台湾 | |
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分割出願の時期的要件 | 1. 補正ができる時または期間 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く) (ii) 審査官から拒絶理由通知を受けた場合の指定応答期間内 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の指定応答期間内 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時 2. 特許査定の謄本送達後30日以内(以下の(i)(ii)の特許査定を除く) (i) 前置審査における特許査定 (ii) 審決により、審査に付された場合における特許査定 3. 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内 | 1. 原出願の再審査の査定前 2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内 |
■ソース
・日本国特許法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121 ・台湾専利法(中国語)
https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249 ・台湾専利法(日本語)
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/07/専利法(2022年7月1日施行)-j-.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2024.06.24