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韓国における特許・実用新案・意匠年金制度の概要

2024年10月10日

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■概要
韓国における特許権の存続期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金の納付義務は、出願に特許査定が発行された場合に発生し、審査係属中は発生しない。特許査定が発行されると、韓国特許庁が設定する期間内に初回の年金納付として1年度から3年度の3年分の年金の納付が求められる。2回目以降すなわち4年度以降の年金は、設定登録日が該当する日を基準として毎年1年分ずつ、その前年度に納付しなければならない。実用新案権の存続期間は、出願日から10年である。意匠権の権利期間は、出願日から20年である。
■詳細及び留意点

1. 特許権
1-1. 存続期間
 韓国における特許権の存続期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である(韓国特許法(以下「特許法」という。)第88条第1項)。年金の納付義務は、特許査定が発行された場合に発生し、審査係属中は発生しない(特許法第79条第1項)。
 特許権の存続期間の延長制度として、特許出願に係る発明の実施にあたって他の法令による許可が必要であり、当該許可を受けるまでに特許発明の実施をすることができない期間がある場合には、実施をすることができない期間に対して最長5年の期間まで存続期間延長出願を行う制度がある(特許法第89条第1項)。

1-2. 年金の納付期限
 特許査定が発行されると、特許査定を受領した日から3か月以内に初回の年金納付として、1年度から3年度の3年分の年金の納付が求められる(特許法第79条1項、特許料等の徴収規則第8条第5項)。なお、韓国では、2回目以降、すなわち4年度以降の年金は、設定登録日に該当する日を基準として毎年1年分ずつ、その前年度に納付しなければならず(特許法79条第1項、特許料等の徴収規則第8条第8項)、毎年の設定登録日に対応する日が納付期限となる。4年度以降の年金は1年ごとの納付、および複数年分の一括納付どちらも可能である(特許法第79条第2項)。

※ ここでの年度とは、設定登録日を基準とした年金納付の年度をいう。期間の計算において初日は算入しないので(特許法第14条第1項第1号)、各年度の最終日は設定登録日に対応する日となる。

 年金の納付金額は、年度が上がるに従って増額し、また請求項数により変動する(特許料等の徴収規則第2条第2項第1号 別表1)。年金は、特許権者もしくは利害関係人であれば納付することができる(特許法第80条第1項)。

 年金納付額に不足がある場合、韓国特許庁より補填命令が下され、補填命令を受けた日から1か月以内であれば不足分の年金を納付することができる(特許法第81条の2)。

1-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、納付期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である(特許法第81条第1項)。年金の一部が追納期間内に納付されていない場合は、前述のように韓国特許庁より補填命令が下され、補填命令を受けた日から1か月以内であれば年金を納付することができる(特許法第81条の2)。追納期間中や補填期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付する必要がある(特許法第81条第2項、第81条の2第3項)。

1-4. 権利回復制度
 6か月の追納期間を超えて年金および追徴金が納付されなかった場合、または、1か月の補填期間を超えて不足分の年金および追徴金が納付されなかった場合、特許権は消滅したものとみなされる(特許法第81条第3項)。ただし、追納期間の最終日もしくは補填期間の最終日から3か月以内であれば、権利回復の申請が可能である(特許法第81条の3第3項)。権利回復の申請の際には、当初の年金と追徴金に加え、回復費用を納付する必要がある。

 上記の通り、追納期間経過までに年金を納付しない場合、特許権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面を韓国特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。なお、特許権の放棄は、請求項ごとに行うことができる(特許法第215条の2第1項)。

1-5. 年金の誤納
 所定の年金よりも多く納付した場合、韓国特許庁に過払い金の返還請求を行えば返金される(特許法第84条第1項第1号)。ただし、韓国特許庁から返還事例に該当する旨の通知を受領した日から5年を経過した後は、返還請求をすることができない(特許法第84条第3項)。

2. 実用新案権
2-1. 存続期間
 実用新案権の存続期間は、出願日(PCT条約に基づく実用新案出願の場合は国際特許出願日)から10年である(韓国実用新案法(以下「実用新案法」という。)第22条第1項)。出願日から4年、あるいは出願審査請求日から3年のうちどちらか遅い日よりも後に実用新案の設定登録がされた場合、遅延した期間分の延長登録出願を行うことができる(実用新案法第22条の2第1項、第22条の3)。

2-2. 年金の納付期限
 年金の納付義務は、出願が登録査定を受けてから発生し、審査係属中は発生しない(実用新案法第16条第1項、特許料等の徴収規則第8条第5項)。特許権と同様、出願が登録査定を受けると、登録査定を受領した日から3か月以内に初回の年金納付として1年度から3年度の3年分の年金の納付が求められる(実用新案法第16条第1項、特許料等の徴収規則第8条第8項)。2回目以降、すなわち4年度以降の年金は、設定登録日が該当する日を基準として毎年1年分ずつ、その前年度に納付しなければならず、毎年の設定登録日に対応する日が納付期限となる。4年度以降の年金は一年ごとの納付および複数年分の一括納付どちらも可能である(実用新案法第16条第2項)。

 年金の納付金額は、年度が上がるに従って増額し、請求項数により変動する(特許料等の徴収規則第3条第2項第1号 別表2)。年金は、実用新案権者もしくは利害関係人であれば納付することができる(実用新案法第20条で準用する特許法第80条第1項)。

2-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
 年金の追納制度は、特許と同じである(実用新案法第20条で準用する特許法第81条第1項、第81条の2)。

2-4. 権利回復制度
 追納期間を徒過した場合の権利回復制度は、特許と同じである(実用新案法第20条で準用する特許法第81条の3第3項)。

 追納期間経過までに年金を納めない場合、実用新案権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面を韓国特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある(実用新案法第44条で準用する特許法第215号の2第1項)。

2-5. 年金の誤納
 年金の誤納返還に関する制度も特許と同じである(実用新案法第20条で準用する特許法第84条)

3. 意匠権
3-1. 存続期間
 意匠権の存続期間は、出願日から20年である(韓国デザイン保護法(以下「デザイン保護法」という。)第91条第1項)。存続期間の延長制度は存在しない。

3-2. 年金の納付期限
 年金の納付義務は、出願が登録査定を受けてから発生し、審査係属中は発生しない(デザイン保護法第79条第1項、特許料等の徴収規則第8条第5項)。特許と同様、出願が登録査定を受けると、登録査定を受領した日から3か月以内に初回の年金納付として1年度から3年度の3年分の年金の納付が求められる(デザイン保護法第79条第1項、特許料等の徴収規則第8条第8項)。2回目以降、すなわち4年度以降の年金は、設定登録日が該当する日を基準として毎年1年分ずつ、その前年度に納付しなければならず、毎年の設定登録日に対応する日が納付期限となる。なお、4年度以降の年金は一年ごとの納付および複数年分の一括納付どちらも可能である(デザイン保護法第79条第2項)。

 年金の納付金額は、年度が上がるに従って増額し、また意匠の数により変動する(特許料等の徴収規則第4条第2項第1号 別表3)。年金は、意匠権者もしくは利害関係人であれば納付することができる(デザイン保護法第81条第1項)。

3-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
 年金の追納については、特許と同様の制度がある(デザイン保護法第82条、第83条)。

3-4. 権利回復制度
 追納期間を徒過した場合の権利回復については、特許と同様の制度がある(デザイン保護法第84条)。追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面を韓国特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある(デザイン保護法第105条)。なお、複数の意匠が登録された意匠権は、意匠権ごとに分離して放棄することができる(デザイン保護法第105条)。

3-5. 年金の誤納
 年金の誤納返還についても、特許と同様の制度がある(デザイン保護法第87条)。

■ソース
・韓国特許法
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/특허법
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=14&category=0&keyword=
・韓国実用新案法
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/실용신안법
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=125
・韓国デザイン保護法(韓国意匠法)
(韓国語)https://www.law.go.kr/LSW/lsSc.do?p1=&menuId=1&query=디자인보호법&y=0&x=0#undefined#undefined
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=23
・特許料等の徴収規則
(韓国語)https://www.law.go.kr/법령/특허료등의징수규칙/#:~:text=제1조(목적) 이,함을 목적으로 한다
(日本語)https://www.choipat.com/menu31.php?id=110
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2024.06.24

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