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中国における商標出願制度概要

2024年10月01日

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■概要
中国における商標出願は、国家知識産権局に属する商標局に対して行い、出願手続は、主に(1)出願、(2)方式審査、(3)実体審査、(4)出願公告、(5)登録公告の手順で進められる。存続期間は登録日から10年であり、10年毎に何度でも更新可能である。
本稿は、2014年5月1日に施行された改正商標法実施条例(以下「条例」という。)および2019年11月1日に施行された改正商標法(以下「商標法」という。)に基づき説明する。
■詳細及び留意点

商標の出願手続フローチャート図

 商標(中国語「商标」)の出願手続は、上記フローチャートに示したように、主に(1)出願、(2)方式審査、(3)実体審査、(4)出願公告、(5)登録公告の手順で進められる。

1. 出願

 ・一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願する、いわゆる、1出願多区分制度を採用している(商標法第22条)。

 ・定められた商品分類表に基づき商標を使用する商品区分および商品名を明記することが定められている(商標法第22条)。日本国特許庁が「日中韓類似群コード対応表」を公開しているので活用されたい。また、商標法第4条に「商品商標に関する規定は、役務商標に適用する。」と明記されている。

 ・マドリッド・プロトコルに基づく国際出願において、指定商品は、基礎出願または基礎登録の商品の範囲を超えてはならない(条例第39条)。

 ・出願手続は、出願人名を含めて中国語を使用しなければならない(条例第6条)。

 ・標章として他人の商品と識別可能な、文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ、および音声等、ならびにこれらの要素の組合せを含む標章は、商標として登録出願できる(商標法第8条)。

 ・優先権を主張する場合は、最初の出願から6か月以内に行い、その主張の日から3か月以内に商標登録出願の副本を提出する(商標法第25条)。なお、この期間を延長することはできない。

 ・出願公開制度はない。

 ・団体商標制度および証明商標制度がある(商標法第3条)。

2. 方式審査(中国語「形式审查(形式審査)」)

 ・出願日は、商標局が出願書類を受領した日となる。出願手続に不備がないかの方式審査を開始し、出願書類の受理または不受理の通知を出願人に行う。出願手続または出願書類の記載に不備があり、関連規定の要件を満たさない場合、商標局は書面により出願人にその旨を通知し理由を説明する(条例第18条)。

 ・出願手続または出願書類の記載が基本的に関連規定の要件を満たすが、補正(中国語「补正」)の必要がある場合には、商標局は出願人に通知し、30日以内に補正をさせる(条例第18条)。なお、この応答期間を延長することはできない。

3. 実体審査およびその手続内容について

 ・商標局は、商標登録出願について審査し、登録要件を満たす出願には出願公告査定(中国語「初步审定(初歩審定)」)を行い、かつ公告する(商標法第28条、条例第21条)。

 ・拒絶理由としては、商標法第13条第2項および第3項、第15条、第16条第1項、第30条、第31条、第32条の規定(以下「相対的拒絶理由」と総称する。)、ならびに商標法第10条、第11条、第12条、第19条第4項の規定(以下「絶対的拒絶理由」と総称する。)等が挙げられる。

 ・なお、近年の改正により、商標法第4条において、使用を目的としない悪意の商標登録出願については、拒絶しなければならない(商標法第4条)と明記されている。加えて、悪意による商標登録行為を行政罰の対象とし、悪意による権利行使を裁判所による司法罰の対象とすることが規定されている(商標法第68条4項)。

 ・出願が登録要件を満たさない、または一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶査定、または部分的に拒絶査定し、その旨を理由とともに出願人に通知する(商標法第34条、条例第21条)。部分拒絶査定の場合、特に手続しなければ登録要件を満たす部分のみが公告される。

 ・商標局の拒絶査定に不服があるときは、出願人はその通知を受領した日から15日以内に商標局の商標評審委員会(中国語「商标评审委员会」、日本の審判部に相当)に再審請求(日本の不服審判請求に相当)を提出することができる(商標法第34条)。

4. 出願公告と異議申立

 ・出願公告査定され公告された商標については、公告後3か月以内であれば、相対的拒絶理由に違反していると先行権利者もしくは利害関係人が判断した場合、または商標法第4条(使用を目的としない悪意の出願)もしくは絶対的拒絶理由に違反していると何人かが判断した場合、商標局に異議を申し立てることができる(商標法第33条)。この異議は商標局の裁定を受けるが、その商標局の裁定に不服がある場合は、当事者は裁定の通知を受領した日から15日以内に商標評審委員会に到達するように再審請求を提出することができる(商標法第35条)。

5. 登録公告

 ・出願公告後3か月以内に異議申立がないとき、または異議が成立しないと裁定された場合は、登録(中国語「注册(注冊)」)が認められ、商標登録証が交付され公告が行われる(商標法第33条)。

 ・登録商標が、商標法第4条(使用を目的としない悪意の出願)もしくは絶対的拒絶理由に違反するとき、または欺瞞的手段もしくはその他不正手段により登録を受けたとき、商標局は無効を宣告できる。また、個人、法人、団体、その他の政府機関等が登録の無効を請求できる(商標法第44条)。

 ・登録商標に相対的拒絶理由があるときは、先行権利者(中国語「在先权利人」)または利害関係人が登録日から5年以内に商標評審委員会にその登録の無効を請求できる。ただし、登録商標が悪意のある登録であり、かつ、先行権利者または利害関係人が馳名商標(日本における著名商標)の所有者であれば、無効を請求できる期間は5年以内に制限されない(商標法第45条)。

 ・権利の存続期間は登録日より10年であり(商標法第39条)、登録日は初日に算入する。更新したい場合は、存続期間満了前12か月以内に更新手続をしなければならない。この期間に手続できなかった場合は、追加料金の納付を必要とするが、6か月の更新手続の延長期間が認められる(商標法第40条)。

 ・商標が登録後3年以上不使用の場合、如何なる個人、法人、団体又は政府機関等も商標局に不使用取消請求ができる(商標法第49条)。

■ソース
・中国商標法(2019年11月1日施行)
(中国語)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/origin/regulation20191101cn.pdf
(日本語)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/20191101law_2_jp.pdf
・商標法実施条例(2014年5月1日施行)
(中国語)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/origin/admin20140501.pdf
(日本語)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/admin/20140501_rev.pdf
・日中韓類似群コード対応表(ニース国際分類[第12-2024版]対応」)
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/kokusai/jpo_cnipa_kipo-ruiji2024.html
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2024.06.18

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