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韓国意匠出願手続における期日管理
2013年10月22日
■概要
(本記事は、2020/3/19に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18376/
意匠出願から登録まで、手続上定められた期日がある。延長が可能なものと不可のものがあるので、十分注意して期日管理を行う必要がある。
■詳細及び留意点
【詳細】
(1)意匠出願
パリ条約による優先権主張する場合は、第1国出願の出願日から6ヶ月以内に韓国に出願しなければならない。この期間は不変期間である(意匠法第23条)。優先権主張をしない場合は、新規性喪失の例外規定が適用される場合を除いて、国内外に公知になる前に出願しなければ新規性は認められない。
(2)委任状
意匠出願時に委任状を提出しなければならない。委任状を出願と同時に提出しない場合は、通常30日以内に委任状を提出することを要求する補正指示書が出される。この期間は1ヶ月ずつ 2回延長が可能である。韓国は包括委任制度が採択されており、包括委任状を一回提出すれば、その後の出願等の手続きには委任状は必要ない。
(3)新規性喪失の例外
出願前に販売又は展示場に出品した場合は、優先権主張と関係なく、公知された日から6ヶ月以内に韓国に出願しなければ新規性喪失の例外規定を受けられない(参考までに、特許の新規性喪失の例外期間は2012年3月15日施行の改正特許法により6ヶ月が1年に変更されたが、意匠法の改正はない。意匠法第8条)。「優先権主張と関係なく」というのは、優先権主張をしても、新規性喪失の例外が適用される期間が公知の日から6ヶ月間であることに変わりはない、という意味である。また、新規性喪失の例外の適用を受けても、適用を受けることができる公知意匠で新規性などを否定されないという効果に留まり、出願日は実際に韓国に出願した日である。よって、この規定に基づく出願をする場合でも、先出願の地位を確保するために、優先権主張もしながら可能な限り早く出願するのが望ましい。その理由は、公知日から優先権主張日の間に第三者の同一創作の出願がある場合、本人も第三者も登録を受けることができなくなるからである。
(4)審査時の拒絶理由通知書
審査時に拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受け取った場合、意見書及び補正書の提出期日は、通常発送日から2ヶ月にあたる日が期日として明記・指定されている。この期日は、1ヶ月ずつ2回延長が可能で、必要ならば2ヶ月を一度に延長することも可能である。延長費用は、1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォン、一度に2ヶ月延長する場合は5万ウォンである。
(5)再審査請求
審査で拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)を受けた場合、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内に意匠登録出願書に添付された図面、図面の記載事項及び写真や見本を補正して、当該意匠登録出願に関する再審査を請求することができる(意匠法第27条の2)。なお、再審査請求をするときには補正は必須である(補正を希望しない場合は、再審査請求ではなく拒絶査定不服審判を請求することができる)。この期間は、1回に限り2ヶ月まで同一金額(2万ウォン)で延長することができる。
(6)拒絶査定不服審判
審査または再審査で拒絶査定を受けた場合、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内に特許審判院に拒絶決定不服審判を請求することができる。この期間は、1回に限り2ヶ月まで同一金額(2万ウォン)で延長をすることができる(意匠法第70条の2)。
審判請求書には請求の理由を記載しなければならないが、具体的な請求の理由は後に提出が可能である。具体的な請求の理由を記載しないで審判請求書を提出する場合は、補正命令を受けるので、該当補正命令書に記載されている期限までに請求の理由を提出すればよい。この期限は延長が可能である(延長回数や期間についての定めはない)。また、請求の理由を提出した後は、審理終結前までは自発的に何度でも請求の理由を補充することは可能である(審判便覧第3編第4章 4. 請求理由の補充がある場合の取扱い)。
(7)異議申立
意匠における異議申立制度は、意匠無審査登録出願にのみ適用される。意匠無審査登録出願は、方式審査後、登録公告決定されるが、異議申立は、意匠権の設定登録がある日から登録公告日後3ヶ月以内にすることができる(意匠法第29条の2)。なお、異議申立を行った場合、異議申立の期間経過後30日以内であれば異議申立の理由及び証拠を補正することができる。この期間は不変期間である(意匠法第29条の3)。
(8)登録査定
審査で登録査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)を受けた場合、登録査定日から3ヶ月以内に3年分の登録料を納付しなければならない(意匠法第31条)。この期間が経過すれば、6ヶ月の追納期間内に追加費用が付加される(追納期間月ごとに追加費用は異なる。特許料等の徴収規則第8条第5項・第6項)。
【留意事項】
(1)期間を延長する際、特に送達日から計算が必要な場合等、十分注意を払う必要がある。期間計算は、2ヶ月延長するのか又は1ヶ月の期間延長を2回分まとめてするのか等様々な事情により少しずつ異なり得るため、考えられ得る候補日の中で一番直近の期日を念頭に置いて手続きを行うのが安全である。なお、韓国では、意匠関連の期間計算方法は意匠法第4条の13で定められており、原則として初日不算入である。
(2)期間延長申請手続は期限前に行っても期限の翌日から計算される。例えば、期日が25日である場合、5日前の20日に1ヶ月の期間延長申請をしたとしても、次の期日は翌月の(20日ではなく)25日となる。
■ソース
・韓国意匠法・特許料等の徴収規則
・審判便覧(下記ウェブサイト内のPDFファイル)
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ipt.board.BoardApp&board_id=61&ssl=&cp=2&pg=1&npp=10&catmenu=&sdate=&edate=&searchKey=&searchVal=&c=1003&seq=2767
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋■本文書の作成時期
2013.1.31