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台湾における生物材料の寄託制度

2013年07月12日

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■概要
専利法第27条第1項により、生物材料又は生物材料を利用した発明を特許出願する場合、当該生物材料が当該発明を実施するために必要であることから、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が入手し易い場合を除いて、生物材料を寄託しなければならない。寄託義務に違反した場合、開示不十分として特許権は付与されない。なお、2011年専利法改正(2013年1月1日施行)により、寄託制度に関する規定が改正されている。

■詳細及び留意点

【詳細】

 生物材料又は生物材料を利用した発明を特許出願する場合、当該生物材料が当該発明を実施するために必要であることから、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が入手しにくいものであるときは、これを寄託しなければならない。寄託しなかった場合、開示不十分として特許権は付与されない(専利審査基準第1篇第8章)。

生物材料の寄託及び分譲の流れ(特許生物材料寄託マニュアル第12頁)

生物材料の寄託及び分譲の流れ(特許生物材料寄託マニュアル第12頁)

 

寄託・特許出願手続きの流れ1:外国(台湾と相互に寄託効力を承認しない)に寄託した出願人

寄託・特許出願手続きの流れ1:外国に寄託した出願人


寄託・特許出願手続きの流れ2:外国に寄託していない出願人

寄託・特許出願手続きの流れ2:外国に寄託していない出願人

(1)寄託機関

 台湾国内における寄託機関は、財団法人食品工業発展研究所である(専利審査基準第2篇第14章4.2.2)。

 国際寄託機関は、ブダペスト条約により特許微生物国際寄託機関の資格を持つ生物材料寄託機関である。

 

(2)寄託期限

・ 出願人は遅くとも出願日までに当該生物材料を寄託しなければならない(2011年改正専利法(以下、「改正専利法」という)第27条第1項)。

・ 台湾はブタペスト条約に加盟していないため、台湾以外のブタペスト締約国の寄託機関に既に国際寄託をしていたとしても出願日までに台湾の寄託機関へ当該生物材料を寄託する必要があるが、新専利法においては、台湾と寄託効力を相互に認める国の場合には、互恵原則に基づき、台湾国内で再度寄託する必要がなくなった(改正専利法第27条第5項)。但し、本文書作成時点では、まだ台湾と相互に寄託効力を認める国はない(特許生物材料寄託マニュアル(中国語「専利生物材料寄存説明手冊」)第42頁)。

 

(3)台湾寄託機関へ寄託する際の必要書類等

・ 寄託請求書(中国語「寄存申請書」)

http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual/pdf/table02_Ch.pdf より入手可能。

・  生物材料の基本情報(中国語「生物材料之基本資料」)

http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual/pdf/table03_Ch.pdf より入手可能。

・  生物材料のサンプル

・  特許出願のための生物寄託申請に関する委任状(書類作成等をスムーズに行うために特許代理人に委任することが望ましい。)

・  輸入許可証

http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual/pdf/appendix03_ImportPermitServiceApplicationForm_Ch.pdfより入手可能。

 感染性又は環境伝染性がある生物材料を国外から台湾へ輸入し、検疫に係わるときは、輸入許可主務機関の許可が必要であり、生物材料の関連資料を輸入許可主務機関に提出して、生物材料の輸入許可書の発行を申請する必要がある(輸入許可書費用:3,500台湾元/件(辦理專利生物材料輸入委託書第4条))。動物・植物は行政農委会、環境衛生は行政院の環境保護署、人体疫病は行政院の衛生署が、それぞれ管轄機関である。

 許可を受けていない場合、寄託が不受理事由に該当する。

・  費用(台湾特許出願に関する生物材料寄託弁法(中国語「有関専利出願之生物材料寄託辦法」)第19条~第23条。以下、「寄託弁法」という。)

 細菌、放線菌、酵母菌、カビ、椎茸類、プラスミド、ファージ:38,400台湾元/件

 ウィルス、動物細胞株、植物細胞株及びハイブリドーマ:52,800台湾元/件

 

(4)特許出願に際しての手続き

(i)国内寄託

・ 出願人は出願日の翌日から4ヶ月以内に、寄託機関、寄託日、寄託番号が明記された受託証を提出しなければならず、期間内に提出しなかった場合は寄託しなかったものとみなされる(改正専利法第27条第2項)。なお、専利法改正前は、出願日の翌日から3ヵ月以内に受託証を提出し、寄託機関等を出願願書に明記する必要があった(改正前専利法第30条第2項)。

・  専利法改正前は、寄託機関が受託証(寄託証明文書)を発行した後に生存確認が行われ、受託証とは別途発行される生存確認証明書を特許出願の実体審査請求時に提出しなければならなかったが、改正専利法においては、寄託機関が生存確認試験を行って微生物の生存を確認後に、受託証(寄託証明文書)が発行されることとなり、生存確認証明書が発行されることはなくなった(改正専利法第27条)。

・  国際優先権を主張する場合は、最も早い優先権日の翌日から16ヶ月が期限となる(改正専利法第27条第3項)。

 

(ii)国際寄託

・  出願前に、既にブダペスト締約国の寄託機関において寄託している場合、出願日の翌日から4ヶ月以内、或いは最も早い優先権日の翌日から16ヶ月以内に国際及び国内寄託機関により発行された証明を提出しなければならない(改正専利法第27条第4項)。

・ 台湾と寄託効力を相互に認める国の寄託機関へ出願日前に国際寄託をしている場合には、当該国の寄託機関より発行された証明文書を、出願日の翌日から4ヶ月以内、或いは最も早い優先日の翌日から16ヶ月以内に提出する(改正専利法第27条第5項)。

 

(5)寄託物の準備・保管形態

・ 乾燥管:単層又は複層ガラス管、長さ10cm以下、直径:1.6cm以下。

・ 冷凍試験管:冷凍に耐える材質で蓋はねじまき式、長さ4~5cm、直径1.1cm以下。

・  試管:長さ8~16.5cm、直径:1.0~1.6cm。

 

(6)寄託されている生物材料の分譲

・ 特許権の公告日から、寄託されている生物材料を分譲できる状態にしておかなければならない。

・ 特許権の公告前、改正専利法第41条第1項の補償金請求権の要件を満たし、書面により補償金請求通知を受けた相手方、または特許出願案が拒絶され、再審査を請求する者は、当該生物材料の分譲を受けることができる(審査基準第2篇第14章4.2.2)。

 

(7)再寄託・延長

・ 寄託機関が分譲できなくなった、若しくはできなかった時、寄託者は寄託機関の通知を受けた日から3ヶ月以内に再度当該生物材料を提供した場合、元寄託日を寄託日とすることができる(寄託弁法第17条第1項)。

・ 生物材料の性質により、又はその他正当な事由がある場合、寄託機関の許可を得て延長することができる(寄託弁法第17条第2項)。

・ 再提供した生物材料が期限内に寄託機関に送達されなかったときは、寄託機関に再度送達した日を寄託日とする(寄託弁法第17条第4項)。

 

(8)国内寄託の取下げ

 寄託者は、特許出願の査定が下される以前に寄託を取下げることができる。寄託が取下げられた場合、寄託機関は当該生物材料廃棄するか寄託者に返還しなければならず、これを寄託者及び特許庁に通知しなければならない(寄託弁法第11条)。

 

(9)寄託する必要のない生物材料

 出願日前に「当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が入手しやすいもの」、又は以下のいずれかの条件を満たすものは、寄託する必要がない(改正専利法第27条第1項但書、審査基準第2篇第14章4.2.3)。

・ 既に市場に流通しており公衆が購入することができる生物材料

・ 出願前、既に国内寄託機関或いはブダペスト条約により国際特許組織が指定した特許寄託機関に寄託し、自由に分譲できる生物材料

・  当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明細書の説明に従って過度の実験をする必要なく製作できる生物材料

 

【留意事項】

・  寄託していなかった生物材料が、改正専利法第27条第1項における「当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に入手できるもの」に属するかどうかについては、実体審査時に「充分に開示し、それに基づいて実施することができる」という要件を審査する段階で始めて確認される。しかし、当該要件を満たさないという理由で台湾特許庁から拒絶査定が下された時点では、受託証を補正することはできない。そこで、寄託する必要がないことが確実な場合を除いて、予め生物寄託を申請し、若しくは容易に入手できる生物材料であるという証明文書を取得することが望ましい。

・  改正専利法施行までに生物材料を寄託し、特許出願をしていたが、改正専利法施行後に実体審査がなされる場合については、旧法の規定に基づき実体審査請求時に生存確認証明書を提出すればよい(「新専利法過渡適用問題集整表」問3(2))。但し、2013年1月1日以前に寄託したが、2013年1月1日以降に特許出願がなされたものに関しては、出願日の翌日から4ヶ月以内、或いは優先権日の翌日から16ヶ月以内に提出した旧式受託証に生存確認証明書が添付されていなかった場合、特許庁が指定した期間内に生存に関する証明書を補正しなければならない。期限内に補正しなかった場合、寄託しなかったものとみなされる(寄託弁法第24条)。

・  2011年改正専利法施行前に、出願日の翌日から3ヵ月以内に受託証が提出されず、改正前専利法第30条第2項違反により生物材料を寄託しなかったものとみなされた特許出願が、改正専利法施行後もまだ査定されていない場合、改正専利法第27条第2項の規定が適用される。また、それが優先権を主張しており、最も早い優先日から16ヵ月以内の場合、改正専利法第27条第3項の規定が適用される(改正専利法第152条)。

・  財団法人食品工業発展研究所が寄託条件の整った一般案件に対し、生存確認試験を行い、受託証を発行するまでに要する時間は、約10営業日である(特許生物材料寄託マニュアル第44頁)。

■ソース
・台湾専利法(旧法) (第30条)
http://www.tipo.gov.tw/ch/Download_DownloadPage.aspx?path=1621&Language=1&UID=13&ClsID=14&ClsTwoID=16&ClsThreeID=31 ・台湾新専利法(2013年1月1日施行)
http://www.tipo.gov.tw/ch/Download_DownloadPage.aspx?path=1616&Language=1&UID=13&ClsID=14&ClsTwoID=15&ClsThreeID=28 ・専利法改正におけるすべての説明及び条文の対照表
http://www.tipo.gov.tw/ch/MultiMedia_FileDownload.ashx?guid=418c564c-7ab2-41f7-a629-bea95d5fef95 ・台湾特許出願に関する生物材料寄託弁法(2012年改正・2013年1月1日施行法)
http://www.tipo.gov.tw/ch/MultiMedia_FileDownload.ashx?guid=bcc4bc1d-3f15-4767-b729-e7d3d2ecdb74 ・台湾専利審査指南 第1篇第8章 生物材料寄託 第2篇第14章生物に関する発明
・新専利法過渡適用問題集整表
http://www.tipo.gov.tw/ch/MultiMedia_FileDownload.ashx?guid=1a3a2e0a-5d21-498f-9b97-779bfe2d20db ・財団法人食品工業発展研究所 特許生物材料寄託マニュアル(2012年12月試刷版)
http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual1/pdf/patent_manual.pdf ・財団法人食品工業発展研究所 生物資源保存及び研究センター ウェブサイト
http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual/PatentDeposit_02.jsp ・辦理專利生物材料輸入委託書
http://patent.bcrc.firdi.org.tw/manual/pdf/appendix03_ImportPermitServiceContract_Ch.pdf ・寄託物の準備・保管形態について(台湾特許庁ウェブサイト)
http://www.tipo.gov.tw/ch/News_NewsContent.aspx?NewsID=6274 (「寄存辦法附表修正對照表預告版」)
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所
SK特許業務法人
翼勝專利商標事務所 (ESSEN Patent & Trademark Office)
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2013.02.08
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