アジア / 出願実務
韓国における画像意匠の保護制度
2013年06月28日
■概要
韓国特許庁は、2003年7月から物品の液晶画面等の表示部に表示される図形等を保護する画像意匠制度を採用している。画像意匠の出願書類作成要領は、一般物品のそれと異なるため注意が必要である。■詳細及び留意点
【詳細】
画像意匠の登録に関して詳述する。
(1) 画像意匠として登録を受けるためには、物品の液晶画面等の表示部に表示される図形等すなわち画像図形が物品上に具現されなければならない(意匠審査基準第3条第1号ウ号)。
(2) 液晶画面等の表示部を持っている全ての情報化機器等において、画像が一時的に具現される場合であっても画像意匠を表示した状態で意匠登録を受けることができる。
(3) 画像意匠として登録可能な物品には、コンピューターモニター、携帯電話機、個人携帯情報端末(PDA)、自動車用自動航法装置(Navigator)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、複写機、浄水器、MP3プレーヤー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、デジタルカメラ、デジタルTV、現金自動預払機(ATM)、POS(Point of Sale)端末機等、液晶画面等の表示部を持っている全ての情報化機器が含まれる。
(4) 具体的な画像意匠の種類には、アイコン(Icon)、アイコンset、Website GUI(Grapic User Interface)、S/W GUI(Grapic User Interface)、Mobile GUI(Grapic User Interface)、情報家電 GUI(Grapic User Interface)、その他グラフィックイメージ等がある。
(5) 画像意匠の部分意匠登録出願の場合、一つの物品中に物理的に分離した2つ以上の部分意匠が示された場合には、1意匠1登録出願に違反するものとして扱う。ただし、形態的一体性が認められる場合には、1意匠と認められる(意匠審査基準第12条第1項第5号)。
(6) 画像意匠の登録を受けようとする場合には、物品と結合して全体意匠又は部分意匠で出願することができる。しかしながら、コンピューターモニターとあわせて全体意匠として出願する場合は、モニターが新規な形状でなければ、たとえ画像部分が新規であり、当該画像部分を要部と主張しても、全体外観上公知として拒絶される可能性が高いため、そのようなリスクを避けるために部分意匠で出願することが望ましい。
(7) 画像意匠が表示されている状態で部分意匠の意匠登録を受けようとする場合には、物品の液晶画面等の表示部に当該図形等が通電等によって表示されている状態を、斜視図及び6面図で記載する。但し、画像を正面図に表示すれば、それ以外の図面は省略することもできる。意匠法施行規則第5条第3項第2号)。
(8) 部分意匠の図面において、登録を受けようとする部分と登録を受けない部分との境界が不明確な場合には、その境界線を1点鎖線(-・-・-・-)で図示しなければならない。例えば、Icon set等の画像デザインを出願する場合には、当該画像意匠の境界部分を1点鎖線で図示しなければならない。図面の場合は、それ以外の方法(色分け等)による記載は認められない。なお、写真である場合は登録を受けない部分は黒色・無彩色とすることができるし、また、物品が黒色・無彩色である場合は有彩色でも可能である。
(9) 画像意匠が変化する場合、その変化に一定性がなければならず、また当該画像意匠の変化前後の図形に「形態的関連性」が認められなければならない。
(10)変化する画像意匠に関して意匠登録を受けようとするときには、出願書の「意匠の説明」欄に、「変化する」という趣旨の説明を記載しなければならない。また出願書の記載及び出願書に添付した斜視図と6面図だけではその変化前後の図形を充分に表現することができない場合には、変化前と変化後の状態が分かるような参考図を提出しなければならない。
【留意事項】
画像意匠自体のみでは意匠保護法上の保護対象になる物品ではないので、必ず物品の液晶画面等の表示部に具現しなければならない。また、画像意匠は、一般物品と異なるため意匠審査基準に記載されている図面作成要領をよく読んで出願書類を準備する必要がある。
■ソース
・韓国意匠法施行規則・韓国意匠審査基準
・画像意匠に関する意匠の出願要領(崔達龍国際特許法律事務所ウェブサイト)
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋■本文書の作成時期
2013.1.21