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中国における複数の意匠の出願方法

2013年05月24日

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■概要
中国では、原則として一件の意匠出願は一の意匠に限られる(一出願一意匠)が、同一物品に係る2以上の「類似意匠」、同一の大分類に属し且つセットで使用又は販売される物品の2以上の「組物の意匠」については、一件の出願として許される。もちろん、この「類似意匠」、「組物の意匠」を構成する各意匠でも、それぞれ一意匠ごとに出願することも可能である。
■詳細及び留意点

 「類似意匠」、「組物の意匠」は、我が国における「関連意匠」、「組物の意匠」とは異なり、単に出願の便宜のために、一出願中に多意匠を含ませるという出願の単一性を出願の便宜のみの観点から規定されたもの(専利法第31条第2項)で、当然に、「類似意匠」、「組物の意匠」を構成する各々の意匠には、それぞれを単独出願した場合と同様に意匠権、後願排除権が生ずることとなる。

 

(1)要件

(i)類似意匠

 同一物品(中国語「同一产品」)に関する2以上の類似意匠(中国語「相似外観設計」)については、出願人の定める基本意匠に類似することを条件に、一出願として単一性が認められる。

 この場合における「同一物品」とは、互いに類似するとされる「同一大分類に属する物品」を指すのではなく、その中の「個別の物品として同一のもの」を指す。

 従って、「食器」という大分類での同一性ではなく、例えば「コップ」同士、「皿」同士という概念が要求される(審査指南第1部分第3章9.1.1)。

 

(ii)組物の意匠

 同一の類別に属し、且つセットとして販売されまたは使用される2以上の個々の物品(中国語「产品」)の意匠は、組物の意匠(中国語「成套産品外観設計」)とすることで、一出願として単一性が認められる。

 この場合における「同一の類別」とは、互いに「同一大分類」に属することをいう。従って、例えば、一の意匠が「コップ」、他の意匠が「皿」で、同じ「食器」という同一大分類に属している場合、両物品が慣習上同時に使用されるので、組物を構成する物品とされる。

 そして、「組物」を構成すると認められる2以上の物品の個々の意匠が、共通する設計思想に基づいて、各物品の形状、模様又はその組合せ、並びにこれらと色彩の組合せについて共通の美感が創出されている場合に、組物の意匠としての出願の単一性が認められる(実施細則第35条第2項、審査指南第1部分第3章9.2、9.2.3)。

 

(2)多意匠一出願の方法

 複数の意匠が同一の物品に関する類似意匠または組物意匠に該当し、多意匠一出願の出願方法を利用する場合には、同日に1件の申請にまとめて出願することとなるが、その際、それぞれ下記の点に留意する必要がある(実施細則第35条、審査指南第1部分第3章9~9.3)。

 

(i)類似意匠

(a)  1件の出願における類似意匠の数は10以下でなければならない。10を超えている場合は審査官より審査意見通知書(中国語「审查意见通知书」)が出され、出願人が訂正してもなお欠陥を克服できない場合には当該出願は拒絶される。審査意見通知書が出された場合、出願人は10を超えた分の類似意匠を削除するしかない。

(b)  簡単な説明において複数ある意匠のうちの1つを基本意匠(中国語「基本外观设计」)として指定する必要があり、その他の意匠は基本意匠と類似するものでなければならない。類似意匠であるかを判断する場合、その他の意匠を基本意匠と単独で対比して判断すべきである。方式審査(中国語「初步审查」)の際に類似意匠に係る出願について専利法第31条第2項に適合するものか否かが審査され、一般的に、全体観察を経て、その他の意匠と基本意匠とが同一または類似した設計特徴(中国語「设计特征」)を備えており、かつ両者間の相違が局部における細かな変化、当該種別の物品の常用設計、設計ユニットの並びの繰り返し又は単なる色彩要素の変化などにある場合、通常、両者は類似する意匠である。

(c)  同一の物品に関する類似意匠出願は、組物の意匠を含んではならない。

 

(ii)組物の意匠

(a)  組物の意匠出願における意匠の数については制限がない。

(b)  組物の意匠には、一つ又は複数の物品の類似意匠を含んではならない。例えば、食事用のコップと取り皿を含めた組物の意匠の出願には、このコップと取り皿の二つ以上の類似意匠を含めてはならない。組物の意匠に一つ又は複数の物品の類似意匠が含まれていた場合、審査官より出願人に補正するよう審査意見通知書が発行される。

 

(3)その他

(i)  類似意匠、組物の意匠、いずれの多意匠一出願についても、上述した内容以外に、その各意匠又は一物品の意匠それぞれ登録要件を満たしていなければならない。各意匠又は各物品の意匠が登録要件を満たしていない場合、当該意匠或いは当該物品の意匠を削除しない限り、当該意匠出願は権利付与要件を備えないものとなる。

(ii) 二つ以上の意匠を一つの出願として提出する場合は、各意匠の通し番号をそれぞれの意匠物品の各図面又は写真の名称の前に表記しなければならない。

(iii)   多意匠一出願の官庁手数料は、通常の1件の出願の費用と同じである。

(iv) 全く同一の意匠(例えば、図面の作成方法のみ異なるもの、色彩のみ異なるが色彩についての保護を求めないもの)については多意匠一出願することができない。

(v)  同一の物品に関する類似意匠に該当しながら、組物の意匠にも該当する場合、どちらとして出願するかについて、出願人は自ら決定することができる。

 

【留意事項】

  • 「類似意匠」は、日本の「関連意匠制度」と同様に、一意匠一権利主義の例外でもあり、互いに類似関係にある意匠の併存が認められる唯一の制度である(専利法第9条)。従って、類似する可能性のある2以上の意匠については、出願時に類似意匠として多意匠一出願しておいた方が安全であり、また、費用面でも負担が少ない。
  • 「組物の意匠」についても、これを構成する各意匠について権利主張のできることから、要件を満たす限り、多意匠一出願形式での出願を採る方が、費用、出願・権利管理の面でも得策であるといえる。
■ソース
・中国専利法
・中国専利法実施細則
・中国専利審査指南 第1部分第3章 意匠専利出願の方式審査
・官庁手数料(中国特許庁ウェブサイト)
http://www.sipo.gov.cn/zlsqzn/sqq/zlfy/200905/t20090515_460473.html
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
三協国際特許事務所 弁理士 川瀬 幹夫
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2013.01.28

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