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韓国の実用新案制度について

2013年05月23日

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■概要
韓国での実用新案制度は一時的に無審査を採択したこともあったが、現在は審査後登録制度を採用している。すなわち特許と同一の審査制度を採択しているが、審査請求期間及び存続期間等は、特許制度と異なっている。特許よりは容易に登録されるが、権利解釈においては特許権よりは狭く解釈されるため、留意が必要である(実用新案法第2条、第12条、第22条)(特許法第2条、第59条、第88条)。
■詳細及び留意点

(1)実用新案の対象は、物品の形状、構造、組合せに関する技術的思想の創作である。電子回路は実用新案対象である物品に含まれるが、特許では登録が認められる方法は実用新案の対象外である(実用新案法第4条)。

(2)実用新案の審査請求期限は、出願日から3年で、特許の5年に比べて短い(実用新案法第12条)(特許法59条)。

(3)特許は高度性を要求しているが、実用新案は高度性を要求しない。しかし、最近はその差を大きく置かない傾向がある。とはいえ、差異はあり、審査での進歩性の判断時、特許は「容易に発明ができるか否か」を判断する一方、実用新案は「極めて容易に考案することができるか否か」を判断する。よって、特許と比べると実用新案は登録を受け易い(実用新案法第2条・第4条、特許法第2条・第29条)。例えば、飲料包装パック、車両用ハンドルカバー、人形の足部分、ハンガー、クリップ等が実用新案として登録されている。これらは、容易に発明ができるため特許としては登録を受けることは難しいが、極めて容易に発明することができるものではないと判断されたため、実用新案として登録を受けた例である。

 以下、進歩性の判断に関する大法院判決を紹介する。

(ⅰ)1995.12.12宣告、94후1787判決

 実用新案における考案というのは自然法則を利用した技術的創作をいうが、これは特許発明とは違い、創作の高度性を要さないので、公知公用の技術を結合した考案であっても結合前に各技術がもっていた作用評価の単純な結合ではなく、結合前に比べてより増進された作用評価が認定され、当該技術分野で通常の知識を持った者が容易に実施することができないときには、これを進歩性がある考案であるとする。

(ⅱ) 2006.10.12宣告、2006후1490判決

 その考案が属する技術分野で通常の知識を持った者が比較対象考案と周知慣用の技術によって、極めて容易に考案することができる構成であるというもので、その進歩性が認定されない。

(4)審査で実用新案登録決定されれば、3年間の登録料を納めれば実用新案権が設定され、権利存続期間は出願日から10年である(実用新案法第22条、特許法第88条)。

(5)実用新案権が設定されれば実用新案権登録公告されるが、これに異議があれば無効審判を請求することができる。無効審判は設定登録日から請求可能であり、登録公告日後3ヶ月以内は誰でも請求可能である。その後は利害関係人のみが請求できる(実用新案法第31条)。

(6)実用新案出願が審査で拒絶査定された場合、再審査請求または拒絶決定不服審判を請求することができる。補正が必要な場合、補正書の提出と共に再審査請求ができる。再審査で拒絶査定になれば、拒絶決定不服審判請求をすることができるが、この時には補正はできない(実用新案法第15条)。

(7)特許出願が審査で拒絶査定になれば、拒絶決定不服審判請求期限以内に実用新案出願に変更することができる。(実用新案法第10条)

(8)実用新案は特許に比べて簡単に創作できるものが多く、また比較的容易に権利取得ができるため、権利紛争は特許と比べると多い傾向にある。なお、登録後、権利行使時に技術明細書は必要ない。

 

【留意事項】

(1) 日本と違い実用新案権は審査を経た上で登録される。登録後の権利行使は特許と同一であるため(権利行使時に技術明細書は必要ない)、特許登録が難しい場合には実用新案で権利取得を試みることも検討に値する。

(2) 実用新案登録出願の審査請求期限は3年と、特許の5年より短いため、期限を超過しないように留意しなければならない。

(3) 実用新案権は特許権よりも容易に登録を受けられるが、裁判例を見ても権利が狭く解釈される傾向がある(大法院2006.5.25宣告、2005도4341判決等)。実用新案権は図面に記載された範囲に限定され、少し変更すれば侵害とは認められない場合が多々ある点に注意しなければならない。出願時から侵害が起こりそうな範囲を予めカバーするように、明細書を作成するよう検討が必要である。

(4) 実用新案権は侵害を受けやすいため、随時、市場調査等の監視を徹底して行う必要がある。

■ソース
・韓国実用新案法
・総合法律情報のウェブサイト
http://glaw.scourt.go.kr/ 上記サイトにて、事件番号で上記に記載した各大法院判決が検索可能。同サイトの使い方については、本データベース内コンテンツ「韓国の判例の調べ方」参照。
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
■本文書の作成時期

2013.1.17

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