アジア / 出願実務
台湾における特許出願制度概要
2012年07月31日
■概要
(本記事は、2022/7/26に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/24167/
特許出願(中国語「發明專利」)手続は、一般的に、方式審査、出願公開、審査請求、実体審査、特許査定、公告の順で進められる。
■詳細及び留意点
【詳細】
(1)出願書類
特許出願の際の提出書類は、願書、明細書、図面(必要な場合)である(専利法第25条第1項)。必要に応じて優先権証明書なども提出する。明細書及び必要な図面を日本語や英語などの外国語で提出した場合、中国語による翻訳文を提出する(専利法第25条第3項)。
(2)方式審査(中国語「程序審査」)
主に、様式、申請手数料、原本であるかなどの確認が行われる(専利法第17条、専利法施行細則第2条第2項、第4条第1項、同条第2項、第14条~第20条など)。必要書類の充足が確認されると、出願日が認定される(専利法第25条第2項~第4項)。
(3)出願公開
出願日(或いは優先日)の翌日から18ヶ月後に行われるが(専利法第37条第1項)、出願人による早期公開請求が可能(専利法第37条第2項)。出願日から15ヶ月以内に取り下げた場合、国家安全に関わる機密に及ぶ場合、公序良俗を害する場合は、出願公開はされない(専利法第37条第3項)。
(4)審査請求
誰でも出願日の翌日から3年以内に審査請求ができる(専利法第37条第1項)。出願公開後、第三者が業として出願発明を実施している場合、出願人は台湾特許庁に優先審査を請求することができる(専利法第40条第1項)。
(5)実体審査
(ⅰ)審査内容
日本と同じように、産業上の利用可能性、新規性、進歩性、単一性、明細書の記載、先願などの特許要件について審査され(専利法第21条、同法第22条第1項、同法第23条、同法第22条第4項、同法第24条、同法第26条、同法第31条、同法第32条など)、全ての特許要件を具備している場合、特許査定(中国語「核准審定」)が行われる。
(ⅱ)意見書及び補正書の提出
自発補正が可能であるが、審査において特許要件を具備していないとして拒絶すべきとする拒絶理由が通知されると、その応答期間に補正書及び意見書を提出することができる(専利法第43条第1項、同法第46条第2項)。
(ⅲ)審査ハイウェイ
台湾と日本の間で特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)が行われている。
(6)再審査
拒絶理由に該当するとして拒絶査定(中国語「不予專利之審定」)が出され、その査定に不服があるときは,審定書送達日の翌日から2ヶ月以内に理由書を添付して再審査を請求できる(専利法第48条第1項)。再審査請求の際、補正書を提出することができる(専利法第49条第1項)。再審査は、原審査に関与しなかった特許審査官が担当する(専利法第50条)。
(7)公告
特許査定書の送達日の翌日から3ヶ月以内に、証書料と1年目の特許料を納付すれば、当該特許は公告される(専利法第52条第1項)。故意なく納付期限を経過した場合、6ヶ月以内に1年目の特許料の倍額を納付することで公告される(専利法第52条第4項)。公告日から特許権は付与される(専利法第52条第2項)。特許権の存続期間は出願日から起算して20年である(専利法第52条第3項)。
(8)存続期間の延長
(ⅰ)延長できる発明
医療品、農薬品又はその製造方法の特許発明(専利法第53条第1項)
(ⅱ)延長期間
許可証取得のために特許発明が実施出来なかった期間内で、延長は認められる。延長期間は最長5年のため、実施出来なかった期間が5年を超えていても、5年を超えて延長が許されることはない(専利法第53条第2項)。延長請求は1回限り可能である(専利法第53条第4項)。
(ⅲ)延長の効果
延長は許可された有効成分や用途に限定された範囲で認められる(専利法第56条)。
(ⅳ)その他
延長登録申請後に特許権の満了時が到来し、その時点で延長登録申請の査定がなされていない場合は、当該存続期間は延長されたと擬制され、その後、延長を認めない査定が出たときは、存続期間満了時に特許権は消滅していたと扱われる(専利法第54条)。
【留意事項】
特許査定書を受けた場合、3ヶ月以内に1年目の特許料を納付する必要があるが、この期間内に特許料を納付できなくても、未納付が故意でなければ、6ヶ月以内に倍額納付することで救済されるので、特許を諦める必要はない。
■ソース
・専利法・専利法実施細則
・專利審査基準
・台湾特許庁ウェブサイト
・処理期限一覧
http://www.tipo.gov.tw/ch/AllInOne_Show.aspx?path=818&guid=d0896463-61d2-4ed0-ad0d-0454d7ef27ca&lang=zh-tw ・行政救済制度
http://www.tipo.gov.tw/ch/MultiMedia_FileDownload.ashx?guid=c76b7d0c-c202-48b6-b8a6-50c326d21617.pdf ・特許審査ハイウェイ
http://www.tipo.gov.tw/ch/ArtHtml_Show.aspx?ID=4cae1101-befa-478f-9ef9-9bcacede3301&path=4282 http://www.tipo.gov.tw/en/ArtHtml_Show.aspx?ID=1470084d-4abc-4e11-a34e-b81a467b30f6&path=2531
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所(作成:2012年7月27日)一般社団法人比較法研究センター 木下孝彦(作成:2012年7月27日)
特許庁総務部企画調査課 根本雅成(改訂:2013年6月11日)
■本文書の作成時期
2013.06.11