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台湾における特許権の存続期間の延長制度
2013年05月21日
■概要
(本記事は、2021/6/10に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20107/
台湾では、医薬品及び農薬品の販売に主務官庁の許可が必要であることに起因して、特許権存続期間中に特許発明を実施することができない期間が生じた場合、5年を限度に1回に限り、特許権存続期間を延長すること認められている。
■詳細及び留意点
【詳細】
(1)延長出願できる特許
延長対象は、医薬品、農薬品又はその製造方法に関する特許に限られる(専利法第53条第1項)。物質、混合物又はその製造方法の特許が該当し、医薬品又は農薬品の製造に関する中間体又は化学触媒剤等の特許は含まれない(審査基準第二篇「發明專利實體審査」第11章「專利權期間延長」2.1「專利權期間延長之專利種類」)。医薬品には、動物用のものは含まれない(専利法第53条第3項)。農薬品とは、農作物を害する病害虫の防除に用いられ、農作物の成長を調節し、その生理機能に影響を与え、昆虫の成長に有益な物質又は化合物を指す(農薬管理法第5条)。
(2)延長出願できる時期
最初の許可証を取得してから3ヶ月以内(専利法第53条第1項)。但し、特許権満了前の6ヶ月間は、延長出願できない(専利法第53条第4項)。
(3)延長の回数
延長出願を行える回数は一回のみである(専利法第53条第1項)。
(4)延長出願の書類
延長出願の際、特許番号、特許権者、延長理由及び延長期間、最初の許可証取得日などを記載した願書及び証明書類を台湾特許庁に提出する(専利法第53条第4項、特許権存続期間延長に関する審査規則第3条第1項(中国語「専利権期間延長核定辦法」)。
(5)延長期間
(ⅰ)医薬品及びその製造方法の場合
医薬品又はその製造方法の延長期間については、許可証取得のために国内外で行った臨床試験期間及び国内の検査試験登記申請に要する審査期間が考慮される(特許権存続期間延長に関する審査規則第4条)。
(ⅱ)農薬品及びその製造方法の場合
農薬品又はその製造方法の延長期間については、許可証取得のために国内外で行った農地試験期間及び国内の検査試験登記申請に要する審査期間が考慮される(特許権存続期間延長に関する審査規則第6条)。
(ⅲ)その他
延長期間は許可証取得に要した期間を超えられない。延長期間は最長5年のため、許可証取得に要した期間が5年を超えている場合でも、延長期間は5年になる(専利法第53条第4項)。特許取得後2年以上経過して当該許可を取得した場合に限り延長請求できるとの制限はなくなった。
(6)延長の効果
特許権存続期間の延長が認められるのは許可証に記載された有効成分や用途に限定される(特許権存続期間延長に関する審査規則第9条)。よって、特許権の範囲のうち、許可証に記載された有効成分や用途の範囲のみが存続期間の延長を受けられる。特許権の範囲内だが許可証の記載の範囲外の部分は、原則通り、出願日から20年で存続期間は満了する。
【留意事項】
延長出願について、その特許権の満了時に査定が出ていない場合、その延長出願について延長が許されたものと擬制される。その後、延長しない旨の査定が出たときは、その特許権は本来の満了時に消滅したとみなされる(専利法第54条)。延長を認める査定が出れば、延長状態が継続される。医薬品等の発明を特許権満了後に実施する場合、延長出願は公告されるので(特許権存続期間延長に関する審査規則第3条第3項)、延長出願の有無の確認を必ず行う必要がある。
■ソース
・台湾専利法http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm ・台湾専利審査基準 第2篇「發明專利實體審查」第11章「専利権期間延長」
http://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=422889&ctNode=6680&mp=1 ・特許権存続期間延長に関する審査規則
・特許権存続期間延長の決定方法
http://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?PCode=J0070015
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所(作成:2012年11月19日)特許庁総務部企画調査課 根本雅成(改訂:2013年7月16日)
■協力
一般財団法人比較法研究センター 木下孝彦■本文書の作成時期
2013.07.16