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韓国における類似意匠制度について

2013年05月16日

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■概要
類似意匠制度とは、自己の登録意匠や意匠登録出願した意匠(基本意匠)に物品の形状・色彩・模様等を変更した意匠を類似意匠として登録する制度である。意匠権は登録意匠またはこれに類似した意匠に及ぶが、その類似範囲は抽象的かつ不明確であるところ、類似意匠制度を利用して、類似範囲内の類似意匠の登録を受けることにより、その類似意匠が権利範囲であることを明確にすることができる。
■詳細及び留意点

(1) 類似意匠の登録は、自己の基本意匠の存在を前提にするため基本意匠が存在しなければならない。基本意匠権が消滅したり、基本意匠に関する意匠出願が無効、取下げ、放棄されたり拒絶決定が確定した場合には、類似意匠として登録を受けることができない(意匠法(韓国語「디자인보호법(デザイン保護法)」)第7条第1項)。なお、意匠法第16条によれば、同一人であっても同日出願又は先出願の意匠と類似する場合は登録できない内容になっており、同法第7条の規定と衝突するが、審査基準第8条及び第16条により、自己の基本意匠にのみ類似した意匠は先出願の例外として第7条が優先適用される。

 

(2) 類似意匠として登録を受けるためには、基本意匠に類似していなくてはならず、登録を受けた類似意匠又は意匠登録出願された類似意匠にのみ類似の意匠に対しては登録を受けることができない(意匠法第7条第2項)。

 

(3) 類似意匠登録出願人と、基本意匠の登録出願人又は意匠権者は同一人ではなければならない。

 

(4) 類似意匠登録を受けることができる物品の範囲は、基本意匠と同一物品及び類似物品である。この場合、類似物品とは、用途が同一で機能が異なるものを意味する(意匠審査基準第8条2号)。

 

(5) 意匠審査登録出願に関する類似意匠登録出願が、類似意匠の登録要件に違反した場合には拒絶理由になる(意匠法第26条第1項)。この場合、単独意匠を類似意匠に、類似意匠を単独意匠に変更することができる(意匠法第18条第2項)。意匠無審査登録出願に関する類似意匠登録出願については、次の事項を審査し、これに該当するものは拒絶理由通知対象となる(意匠法第26条第1項5号)。

・類似意匠登録された意匠又は類似意匠登録出願された意匠を基本意匠と表示した場合

・基本意匠の意匠権が消滅した場合

・基本意匠に関する意匠登録出願が無効・取下げ・放棄されるか意匠登録拒絶決定が確定した場合

・類似意匠無審査登録出願人が基本意匠の意匠権者又は基本意匠に関する意匠登録出願人と異なる場合

・類似意匠無審査登録出願された意匠が基本意匠に類似しない場合

 

(6) 意匠審査登録出願及び意匠無審査登録出願に関する類似意匠登録出願が、類似意匠の登録要件に違反しているにもかかわらず、登録された場合には無効事由となる(意匠法第68条第1項)。ただし、意匠法第7条2項で規定している登録された類似意匠にのみ類似の意匠は無効事由から除外される(意匠法第68条第1項第1号)。

 

(7) 類似意匠権は、基本意匠の意匠権と合体する(意匠法第42条)。すなわち、類似意匠権は基本意匠権と不可分の一体となり移転・消滅する。したがって、基本意匠権が無効・登録料不納・放棄等で消滅すれば、類似意匠権も消滅する。また、基本意匠の意匠権と類似意匠の意匠権は一緒に譲渡しなければならず、類似意匠のみ分離して譲渡することはできない(意匠法第46条第1項後段)。

 

(8) 基本意匠権の効力範囲は、登録意匠またはこれに類似した意匠まで及ぶ(意匠法第41条)。類似意匠登録は、基本意匠権の効力範囲を拡張するというよりは、基本意匠の類似範囲を確認するための確認説が有力である。

 

(9) 類似意匠は独自性も有しており、その登録に瑕疵がある場合は基本意匠とは別に単独で登録取消や登録無効になり、また、独自の原因によって消滅し、単独で権利範囲確認審判や無効審判の対象にもなる。

 

【留意事項】

(1) 類似した2つ以上の意匠を同日付で単独意匠として出願する場合、一番先に出願した件に対しては登録決定されると同時に、後の出願に対しては類似意匠に補正するようにという拒絶理由通知書が発送される。したがって韓国出願時に基本意匠にしようとする出願を必ず先に出願することが望ましい。この点に留意して韓国での出願が同日付出願でも2つ以上の意匠のうちどれを先に出願するかはあらかじめ考えておくのが望ましい。

 

(2) 日本で2つ以上の意匠出願を単独出願にして優先権主張をする場合、日本での出願番号順番に関係なく韓国では上記1項を考慮して出願手順を決めて出願することが望ましい

 

(3) なお、韓国特許庁は、現在意匠法改正作業中であり、類似意匠制度を廃止して関連意匠制度を導入する予定であるため、今後の動向に注意が必要である。

■ソース
・韓国意匠法
意匠審査基準
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
特許業務法人 深見特許事務所
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
■本文書の作成時期

2013.2.8

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