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(台湾)従属項に引用される独立項の請求対象と独立項の記載の不一致を単なる誤訳・誤記であるとの主張が認められなかった事例

2012年07月31日

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■概要
従属項における請求対象と独立項の記載の不一致が単なる誤訳・誤記であり、台湾特許庁はこれを理由に特許出願全体を拒絶すべきではないと出願人は裁判で主張したが、裁判所に認められなかった。
■詳細及び留意点

 出願人の特許出願に対して、台湾特許庁(知的財産局)は、従属項の請求対象と独立項の請求対象の記載に不一致があるとして期限までに補正するようと命じたものの、出願人が期限を過ぎても補正しなかった。台湾特許庁は、当該特許に形式的要件に不備があることを理由に出願を拒絶した。

 出願人は台湾特許庁の拒絶査定に不服であり、再審査を請求しても拒絶査定が維持され、そのため訴願を提起し、また訴願の棄却決定に対して台北高等行政裁判所に対し提訴した。本件の争点は、次の通りである。出願人の出願した46項の特許請求範囲のうち、その第1項は独立項であり、第5項は第1項の従属項である。第1項の請求対象は「ピストン・チャンバの組合せ(中国語「活塞─內室組合」)」と記載され、それに従属する第5項の請求対象は「ピストンとポンプの組合せ(中国語「活塞式泵組合」)」と記載されていた。台湾特許庁は、第5項の対象と第1項の対象が一致していないと認めた。一方、出願人は、その不一致が明らかに誤訳から生じたことが明確であることから、台湾特許庁は出願の全範囲につき拒絶査定をするべきではないと主張した。台北高等行政裁判所は、第1項の「ピストン・チャンバの組合せ」と第5項の「ピストンとポンプの組合せ」の記載には明らかな不一致があり争えない事実であると判断した。そして、拒絶査定が下された当時の専利法第32条第1項を斟酌し、特許出願が形式的若しくは実質的要件に合致しない場合、出願の全範囲を拒絶すべきであり、一部を許可し一部を拒絶してはならないと判断した。これにより、台湾特許庁の拒絶査定処分を維持した。

 

参考(台北高等行政法院の判決理由より抜粋):

三、經查,本件第00000000 號「包含有腔室和活塞之組合的裝置」發明專利申請案,依原告於 92 年 8 月 1 日申請,並經被告核准之專利說明書修正本內容觀之,其申請專利範圍第 1 項為獨立項,第 5 項為附屬於第 1 項之附屬項,然第 1 項之標的係為「活塞─內室組合」,第 5 項之標的卻為「活塞式泵組合」,故第 5 項所請求之標的未能與所依附之請求項標的一致,不符合專利法第 26 條第 4 項及其施行細則第 18 條第 3 項之規定。原告雖稱其專利說明書申請專利範圍第5 項為「誤譯」,其所載之標的係為「明顯之誤繕」云云;但無可否認,其呈現於申請專利範圍第1項及第5 項之申請標的,確實不一致,乃屬不可爭之事實。且查,被告已於93年5 月11日以(93)智專三(三)05089 字第09320423010 號再審查核駁理由先行通知書,明確通知原告本案申請專利範圍第5 項附屬項之標的與所依附請求項之標的不一致,申請專利範圍之敘述方式不符當時專利法施行細則第16條之規定,並限期於60日內提出申復說明及有關反證資料;惟原告逾期並未申復或修正,此有上開核駁理由先行通知書附原處分卷可稽,並為原告所不爭執;是被告已明確告知原告應修正之事項,已合法保障原告補正之權利,原告因自己之懈怠而失權即難歸責於他人。又按申請發明專利,應就每一發明提出申請,專利法第32條第1 項定有明文,此即所謂發明之單一性,因此,申請之發明專利如不合形式或實質之專利要件時,即應全部核駁,不能一部准許一部核駁。本案申請專利範圍第5 項附屬項之標的與所依附之第1項獨立項標的不一致,原告經受通知限期補正而不為,既如前述,則被告逕依現有之專利說明書內容予以審定,以本案不符法定專利要件為由,而為全部應不予專利之處分,自無違誤。

(日本語訳「三、審査したところ、本件第00000000号「空洞とチャンバの組合せを含む装置」の特許出願について、原告の民国92年8月1日で出願した、被告(台湾特許庁)が認めた特許明細書の補正書の内容を見ると、その出願の請求項1は独立項であり、第5項は1項の従属項であるが、第1項の対象が「ピストン・チャンバの組合せ(中国語「活塞─內室組合」)」であるのに対し、第5項の対象は「ピストンとポンプの組合せ(中国語「活塞式泵組合」)」であり、そのため第5項の請求対象が従属している請求項の対象と一致しておらず、専利法第26条第4項及びその施行規則第18条第3項の規定に合致していない。原告はその特許明細書特許請求の範囲の第5項は誤訳であり、その対象は明らかな誤記に該当する等主張している。しかし、その特許明細書の特許請求の範囲の第1項及び第5項の対象に明らかな不一致があることは否定できず、これは争うことのできない事実である。そして、被告は既に民国93年5 月11日付(93)智專三(三)05089字第09320423010号再審査核駁理由先行通知書において、本件特許請求の範囲の第5項従属項の対象と従属している請求項の間に不一致があり、特許請求の範囲の記載方式が当時の専利法施行細則第16条の規定に一致しておらず、60日の期限内に意見及び反証資料を提出することと明確に通知している。しかし、原告はこの期限を越えても意見又は補正をせず、上記の拒絶理由先行通知書でわかるように、このことは原告も争っていない。被告は既に明確に原告の原告が補正すべき事項を通知しており、合法に原告の補正の権利を保障しているのであり、原告が自己の懈怠による失権を他人の責任に帰すことは困難である。また、特許出願に関しては、一発明ごとに出願することが専利法第32条第1項に明文で規定されており、これはいわゆる発明の単一性の規定であるが、これにより、出願の特許請求の範囲が特許の形式又は実質要件に合致しない場合には、そのすべてを拒絶するべきであり、一部を特許し一部を拒絶するようなことはできない。本件は特許請求の範囲の従属項第5項の対象及び独立項第1項の対象の間に不一致があり、前述の通り原告は通知された補正期限を経過しても応答をしなかったものであり、被告は現在の特許明細書に従って査定しており、本件は特許要件を満たさないことからすべてに対して特許を与えない処分をしており、これに誤りはない。)

 

【留意事項】

 「発明の単一性」に違反していると認定されて出願を拒絶されないために、従属項と独立項の請求対象の翻訳は一致させなければならない。

 また、特許出願全体を拒絶されないために、明らかな誤記が生じた場合には補正可能な時期にすぐ補正すべきである。

■ソース
台北高等行政法院判決2006年8月9日民国94年度訴字第2860号
台湾最高行政法院判決2008年9月25日付民国97年度判字第873号
■本文書の作成者
特許庁総務課企画調査課 古田敦浩
聖島国際特許法律事務所
■協力
特許業務法人深見特許事務所 荒川伸夫
一般財団法人比較法研究センター 木下孝彦
■本文書の作成時期
2012.08.01
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