アジア / 出願実務
台湾における商標出願制度の概要
2023年01月12日
■概要
台湾における商標出願手続は、一般的に、方式審査、実体審査、登録査定、公告の順で進められる。なお、公告日から3か月以内であれば、誰でも異議申立をすることができる。■詳細及び留意点
図1. 台湾商標登録出願手続フローチャート図
1.出願
1-1.出願書類
願書、商標見本、委任状に加え、必要に応じて優先権証明書を提出する(商標法第19条第1項、第20条第4項、商標細則第5条第1項、第13条第1項)。
1-2.保護対象
台湾商標法では、商標を「識別性を具えた標識で、文字や図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音など、又はその結合によって構成するものをいう」(商標法第18条第1項)と定義しており、文字、図形、記号、立体形状からなる商標のみならず、色彩、動き、ホログラム、音からなる商標も出願することができる。
2.方式審査(中国語「程序審査」)
主に書類の様式(商標法第19条、商標法施行細則第2条、同細則第3条、同細則第4条、同細則第12条~同細則第19条など)、申請手数料(商標法第104条)などの確認が行われ、願書を提出した日が出願日として認定される(商標法第19条第2項)。
3.実体審査(中国語「實體審查」)
識別性の有無(商標法第29条第1項第3号、同条第3項)、先願登録商標との同一・類似、品質誤認の有無、公序良俗違反の有無など、登録を受けることができない商標(商標法第30条第1項、同条第4項)に該当しないかについて審査される。これらの登録要件を具備しない場合は拒絶理由が通知され、意見書で反論する機会が与えられる(商標法第31条第2項)。
4.補正・分割
指定商品や役務の減縮等の補正や出願の分割は、拒絶査定がなされる前まで、行うことが可能である(商標法第31条第3項)。
5.公告
登録査定書送達の翌日から2か月以内に、登録料を納付することによって、商標登録および公告がなされ、商標登録証が交付される(商標法第32条第2項)。2か月以内に納付できない場合でも、未納付が故意でなければ、6か月以内に2倍の登録料を納付することにより、救済される(商標法第32条第3項)。
6.異議申立
登録公告日から3か月以内であれば、誰でも異議申立ができる(商標法第48条第1項)。指定商品や役務単位で申立が可能(商標法第48条第2項)。副本送達後、商標権者は答弁書を提出して反論する(商標法第49条第2項)。異議決定により、異議理由が存在する指定商品や役務のみ取り消される(商標法第55条)。
7.商標権の効力
商標権は公告の日から効力を有し、存続期間は10年間である(商標法第33条、同法第34条)。更新回数に制限はない。
8.留意事項
登録査定後の登録料納付期間も異議申立期間も日本より長く、出願商標が本当に必要であるか、他人の登録商標に対して異議を申立てるかを検討するために、有効活用したいところである。
なお、商標の審査等にかかる期間については、【ソース】の「処理期限(商標處理時限)」を参照願いたい。
■ソース
・商標法https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/05/商標法(2016年12月15日施行)-.pdf
・商標法施行細則
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/05/商標法施行細則(2018年6月7日施行)-j-.pdf
・商標審査基準
https://chizai.tw/legal/#collapseFour-6
・台湾経済部智慧財産局ウェブサイト
https://www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html
*現在システムメンテナンス中のようです。
(https://cloud.tipo.gov.tw/maintain/tipo.html
・処理期限(商標處理時限)
https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-530-860377-edab4-201.html
・商標出願手続(商標審查及行政救濟流程)
https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-509-802503-f74d0-201.html
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2022.09.22