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台湾における意匠出願制度概要

2022年11月24日

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■概要
意匠(中国語「設計專利」)出願手続は、一般的に、方式審査、実体審査、登録査定、公告の順で進められる。
■詳細及び留意点

図1 台湾意匠登録出願手続フローチャート

1.意匠出願
 意匠出願は、出願権利者が願書、明細書、図面を台湾経済部智慧財産局に提出する(専利法第125条第1項)。必要に応じて、委任状や優先権証明書(パリ優先権を主張する場合)なども提出する(専利法第11条、専利審査基準第1篇第7章1.5)。

2.方式審査(中国語「程序審査」)
 主に、様式、申請手数料、原本であるかなどの確認が行われる(専利法第17条、専利法施行細則第2条第2項、同細則第4条第1項および第2項、同細則第14条~同細則第20条など)。必要書類が全て揃っていることが確認されると、出願日が認定される(専利法第125条第2項)。

3.実体審査
3-1.審査内容

 産業上の利用可能性、新規性、創作非容易性、公序良俗違反、先願、単一性などについて審査され(専利法第122条、第123条、第124条、第128条、第129条)、拒絶理由に該当しない場合は、登録査定が行われる(専利法第142条で準用する専利法第47条第1項、専利審査基準第3篇第3章)。

3-2.意見書および補正書の提出
 自発補正が可能であるほか、審査において拒絶理由が発見されて拒絶理由が通知されると、補正書および意見書を提出することができる(専利法第142条で準用する同法第43条第1項および同法第46条第2項)。

4.公告
 意匠登録許可査定書送達翌日から3か月以内に、証書料と初年度の特許料を納付すれば公告される(専利法第142条で準用する同法第52条第1項)。故意ではなく納付期限を経過した場合、6か月以内に1年目の特許料の倍額を納付することで公告される(専利法第142条で準用する同法第52条第4項)。公告日から意匠権は付与される(専利法第142条で準用する同法第52条第2項)。意匠権の存続期間は出願日当日から15年で満了する(専利法第135条)。

5.再審查
 拒絶査定書(専利法第134条)に不服があるときは,送達日翌日から2か月以内に理由を添付して再審査を請求できる(専利法第142条で準用する同法第48条)。

6.訴願
 行政不服申立ては、行政処分の送達後の翌日または公告期間満了翌日から30日以内に提出しなければならない(訴願法第14条第1項)。
 拒絶査定や無効審決が送達された日の翌日から30日以内に、行政不服申立の所轄官庁また行政処分をした機関(経済部の訴願審議委員会)にその旨を意思表示した場合も、30日以内に訴願書を補足することを条件に、法定期間内の訴願とみなされる(訴願法第57条)。
 手続の詳細は「台湾における知的財産に関する特許庁の審判決定に対する行政不服審査手続の概要」(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/20122/)のコンテンツは参照されたい。

7.留意事項
 意匠出願も特許出願と同様、外国語で出願してから中国語の翻訳文を提出することが可能なため(専利法第125条第3項、同条第4項)、優先権期限が迫っているときでも、優先権主張出願を諦めず台湾経済部智慧財産局に手続することを推奨する。

■ソース
・専利法
https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070007
・専利法施行細則
https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0070008
・専利審査基準 第1篇 第7章
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/05/第一篇第7章%E3%80%80優先権とグレースピリオド(2018.11.1施行).pdf
・専利審査基準 第3篇 第3章
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/09/第三篇第3章-専利要件(2020年11月1日施行).pdf
・台湾経済部智慧財産局
 〇專利各項申請案件處理時限表(専利出願案件の処理期限)
 https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-711-871531-ccfe4-101.html
・全國法規資料庫/訴願法
https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=A0030020
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2022.09.02

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