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中国で完成した発明に関する秘密保持審査制度

2013年04月16日

  • アジア
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
いかなる機関、組織又は個人も、中国国内で完成した発明を外国に出願する場合、先ず中国特許庁による秘密保持審査を受けなければならない。秘密保持審査を受けずに外国に特許又は実用新案を出願した場合、当該特許又は実用新案については、中国で権利付与されない。
■詳細及び留意点

 中国国内で完成した発明を外国に出願する場合、先ず中国特許庁(中国語「国家知识产权局」)による秘密保持審査(中国語「保密审查」)を受けなければならない(専利法第20条)。意匠は秘密保持審査の対象とならない。「中国で完成した発明」とは、発明/考案(中国語「技术方案」)の実質的部分が中国国内において完成されたものをいう(実施細則第8条)。

 秘密保持審査の手続きは、外国への出願方法によって異なる。

 

(1)中国に出願せず、直接外国へ出願又は外国機構を受理官庁として国際出願する場合

  • 外国へ出願する前に、中国特許庁に中国語で作成された秘密保持審査請求書と発明/考案の説明文書を提出しなければならない。なお、審査官の参考に供するために相応する外国語の文書を同時に提出することができる(実施細則第8条第2項第1号、審査指南第5部分第5章6.1.1)。実務上、出願予定の特許又は実用新案の内容について、明細書と同様に詳しく記載した説明書が提出される。
  • 秘密保持審査請求書が提出されると、審査官は予備秘密保持審査(中国語「初步保密审查」)を行う。書類に形式的不備がある場合には秘密保持審査請求は申し立てられていないものとみなす通知がなされ、請求人は改めて規定に合致した秘密保持審査請求を申し立てることができる。また、審査官は、明らかに秘密保持の必要がない場合には当該発明について外国で出願できる旨を、秘密保持を必要とする可能性がある場合にはその旨を請求人に通知するため、外国専利出願秘密保持審査意見通知書(中国語「外国申请专利保密审查意见通知书」)を発行する。また、秘密保持審査を必要とする場合には、請求人に対し、外国専利出願一時保留通知書が審査官より送付される。請求日より4ヵ月以内に外国専利出願秘密保持審査意見通知書を受け取っていない場合、秘密保持審査請求人は、当該発明について外国へ出願することができる(実施細則第9条、審査指南第5部分第5章6.1.2)。
  • その後、審査官は、さらなる秘密保持審査の結論に基づき外国専利出願秘密保持審査決定(中国語「外国申请专利保密审查决定」)を出し、当該発明の外国出願を承認するか否かを請求人に通知する。請求日より6ヵ月以内に外国専利出願秘密保持審査決定を受け取っていない場合、秘密保持審査請求人は、当該発明について外国へ出願することができる(実施細則第9条、審査指南第5部分第5章6.1.2)。

 

(2)中国に出願してから外国へ出願する場合

  • 出願人は、中国に出願してから外国へ出願する場合、中国での出願と同時に、または、その後外国へ出願するまでに、中国特許庁に秘密保持審査請求書を提出しなければならない(秘密保持審査請求書を提出していない場合は、請求を提出していないものとみなされる)。なお、外国へ出願する内容は中国出願の内容と一致していなければならない(実施細則第8条第2項第2号、審査指南第5部分第5章6.2)。
  • (1)の場合と同様に、請求日より4ヵ月以内に外国専利出願秘密保持審査意見通知書を受け取っていない場合、又は、請求日より6ヵ月以内に外国専利出願秘密保持審査決定を受け取っていない場合には、秘密保持審査請求人は、当該発明について外国へ出願することができる(実施細則9条、審査指南第5部分第5章6.1.2)。

 

(3)中国特許庁を受理官庁として国際出願(PCT出願)を提出する場合

  • 中国特許庁を受理官庁として国際出願(PCT出願)を提出する場合、出願と同時に外国への出願の秘密保持審査請求書を提出したとみなされる(実施細則第8条第3項)。
  • 国際出願が秘密保持を必要としない場合、中国特許庁は通常の国際段階の手続きに従い処理を行う。国際出願が秘密保持を必要とする場合、中国特許庁は出願日から3ヶ月以内に国家安全のために出願書類とサーチレポートを世界知的所有権機関(WIPO)に転送しないとの通知書を発行し、出願人とWIPOに本出願を国際出願として処理しないことを通知して国際段階の手続きを終了する。出願人は上記の通知を受け取った場合、当該出願の内容について外国に出願してはならない(審査指南第5部分第5章6.3)。

 

 上記(1)~(3)のいずれによる秘密保持審査請求についても、官庁手数料は発生しない。

 また、秘密保持審査請求手続きを代理人に依頼する場合には、特許等出願手続きと同様に、委任状が必要となる。

 

【留意事項】

(1)秘密保持審査は、国家の安全また重大な利益に関わる発明を外国に流出しないようにするために導入された制度であるため、一般的な技術に関わる発明に関しては、秘密保持審査を受けて、通常、外国への出願が許可され、許可されない割合は非常に低い。従って、中国で発明が生まれた場合、秘密保持審査を受ける手続きを進めると同時に、外国への出願の準備に早めに着手することが望ましい。

 

(2)秘密保持審査は、発明者の国籍を問わず、発明/考案の実質的部分が中国国内において完成されたかによってその要否が決定される。つまり、中国人発明者であっても外国人発明者であっても、中国国内において完成した発明を外国へ出願する場合は秘密保持審査を受けなければならない。

 

(3)日本企業の中国現地子会社の場合、中国で生まれた発明の内容を確認するために秘密保持審査の請求前に発明に関する説明文書が既に日本本社に送られていることがあるが、実務上、日本特許庁への出願日が中国での秘密保持審査決定書の期日よりも後であれば、当該日本出願を基礎出願として中国に出願する場合、権利化には影響しないと考えられる。

■ソース
・中国特許法
・中国専利法実施細則
・中国専利審査指南 第5部分第5章 秘密保持出願と外国専利出願の秘密保持審査
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
三協国際特許事務所 中国専利代理人 梁熙艶
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2012.12.25
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