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韓国における商標の冒認(模倣)出願に対する対策

2013年04月12日

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■概要
韓国内又は外国の需要者間に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標を模倣出願して不当な利益を得ようとするか、その特定人に損害を加えようとする等の不当な目的を持って使用する商標は、登録を受けることができない (商標法第7条第1項第12号)。つまり、外国の需要者間に特定人の商品であると認識されている程度の商標であれば、韓国ではそれら商標の模倣出願は登録を受けることができない。
■詳細及び留意点

(1)関連条文

 冒認出願の防止と関連する条項は、商標法第7条第1項第12号と商標法第7条第1項第12の2号である。

 商標法第7条第1項第12号「国内又は外国の需要者間に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標(地理的表示を除く)と同一又は類似の商標であって不当な利益を得ようとするか、その特定人に損害を加えようとする等の不正な目的を持って使用する商標」は登録を受けることができないと規定している。

 また、商標法第7条第1項第12の2号では「国内又は外国の需要者間に特定地域の商品を表示するものであると認識されている地理的表示と同一又は類似の商標であって、不当な利益を得ようとするか、その地理的表示の正当な使用者に損害を加えようとする等の不正な目的を持って使用する商標」は、登録を受けることができないと規定している。

 以下、この条文の解釈を記載する。

 

(i)「需要者」

 必ずしも複数国家の需要者であることを要せず、1カ国で認識されていれば足る。

 

(ii)「特定人の商品を表示するもの」

 その商標の使用者が具体的に誰であるかまで知らなくても、ある特定の出所があることを認識されていればよい(商標審査基準第26条)。

 

(iii)「不当な利益を得ようとするか、その特定人に損害を加えようとする等の不正な目的」

 商標権者が韓国内市場に進入することを阻止しようとするか、代理店契約締結を強制する目的で商標権者がまだ登録していない商標と同一又は類似の商標を出願した場合、著名商標と同一又は類似の商標であって、他人の商品や営業と混同を起こす心配はないとしても著名商標の出所表示機能を希釈化させる目的で出願した場合、創作性が認められる他人の商標を同一又は極めて類似に模倣して出願した場合等が該当する(商標審査基準第26条第2項)。

 

(ⅳ)「不正な目的」

 特定人の商標の周知・著名性又は創作性、特定人の商標と出願人の商標の同一・類似性、両当事者の関係、商品の同一・類似性の関連有無、取引実情等を総合的に考慮して判断する。

 

 上記の判断は、いずれも出願時を基準時点とする。また、この模倣出願による登録は、登録後5年の除斥期間の適用も受けない。(商標法第7条、第76条)

 なお、地理的名称に関しても正当な地理的表示使用権者ではない第三者が商標登録を受けて正当な地理的表示使用権者の地理的表示使用を排斥したり、高額の商標権移転料を要求する等の弊害を防止するために、これと関連した模倣出願は登録を受けることができないように実務上運用している。

 

(2)対策

(i)出願段階

 出願後、査定が下りる前の間はいつでも「情報提供」を行うことができるので、積極的に情報提供を行い登録されるべきでない出願が登録されるのを防ぐ。また、出願公告日から2ヶ月以内であれば異議申立申請を行う。

 

(ii)登録段階

(a)無効審判

 冒認出願が登録された後に発見されれば、登録無効事由(商標法第7条第1項第12号、同第12の2号)を検討して、無効審判請求をする。なお、韓国内外における周知・著名性については、例えば、周知性が高ければ不正な目的であると認められやすく、逆に、不正な目的であれば周知性がそれほど高くなくても認められることもある。どちらにしても、証拠資料は出来る限り多数提出するのが望ましい。

(b)不使用取消審判(商標法第73条第1項第3号)

 登録商標について最近3年間の使用事実があるかを調査し、使用事実がない場合には、不使用取消審判請求をする。(本データバンク内コンテンツ「韓国における商標の不使用取消審判制度」ご参照)

(c)不正使用取消審判(商標法第73条第1項第2号及び第8号)

 商標権者が故意で指定商品に登録商標と類似の商標を使用するか指定商品と類似の商品に登録商標又はこれと類似の商標を使用することにより、需要者をして商品の品質の誤認又は他人の業務に関連した商品との混同を生じさせた場合等には、不正使用取消審判請求をする。

(d) 代理人不当登録取消審判(商標法第73条第1項第7号)

 代理人等が、商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその商標を登録した場合には、当該登録の取消を求めることができる。

(e)その他

 先使用権が主張できるかどうか(商標法第57条の3)を検討したり、登録者から商標権を譲り受けたり、使用権を設定してもらうかどうかについて検討する。

 

【留意事項】

 商標出願は、出願後15日程度で、韓国特許情報検索サービス(www.kipris.or.kr)で出願情報公開されて検索することができるので、これを活用する等して平素から情報収集に努めるのが望ましい。

■ソース
・韓国商標法
・韓国商標審査基準
http://law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2000000082242 ・『条文別商標法解説』(韓国特許庁2007年発行)
・日本国特許庁委託事業「模倣対策マニュアル韓国編」(2012年3月、日本貿易振興機構)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/manual/pdf/korea2012_1.pdf
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■協力
2012.12.21
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