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台湾における商標登録を受ける権利及び商標権の共有について
2013年03月26日
■概要
台湾商標法は、共有制度に関する規定として第7条、第28条、第46条を設け、商標登録を受ける権利及び商標権の共有について明文化している。■詳細及び留意点
【詳細】
1.共同出願
商標法第7条では「二人以上が一つの商標を共有したいときは、全員の名義で出願しなければならない」と規定し、複数人が共同で商標出願することが可能であることを明確にしている。
2.共同出願の商標登録を受ける権利の移転等
商標法第28条は、共同商標出願の商標登録を受ける権利の移転等について規定する。権利の移転等は、商標登録を受ける権利単位で行う場合と、各共有者の共有持分単位で行う場合がある。
(ⅰ)商標登録を受ける権利単位で行う場合
商標登録を受ける権利を移転又は放棄する場合は、一般承継などの一定の場合を除き、共有者全員の同意が必要である(商標法第28条第1項及び第2項)。共同出願の指定商品の減縮又は分割を行う場合は、共有者全員の同意が必要となる(商標法第28条第5項)。
(ⅱ)各共有持分単位で行う場合
共有持分を移転する場合は、一般承継などの一定の場合を除き、共有者全員の同意が必要となるが(商標法第28条第1項)、放棄の場合は不要である(商標法第28条第2項)。放棄された共有持分は、他の共有者の持分比率に応じて、他の共有者に配分される(商標法第28条第3項)。共有者が死亡して承継人がいない場合も、同様に扱われる(商標法第28条第4項)。
3.共有商標権の変動等
商標法第46条は共有商標権の変動について規定し、商標権単位で行う場合と共有持分単位で行う場合がある。
(ⅰ)商標権単位で行う場合
実施許諾、再実施許諾、移転、放棄又は質権設定を行う場合は、一般承継及び強制執行などの一定の場合を除き、共有者全員の同意が必要である(商標法第46条第1項)。共有商標権の指定商品・役務の減縮又は分割を行う場合、他の共有者の同意が必要となる(商標法第46条第4項で準用する第28条第5項)。
(ⅱ)共有持分単位で行う場合
移転又は質権設定を行う場合は、一般承継及び強制執行などの一定の場合を除き、共有者全員の同意が必要となる(商標法第46条第1項)。共有持分を放棄すると、放棄した共有持分は他の共有者に持分比率に応じて配分される(商標法第46条第2項で準用する第28条第3項)。共有者が死亡して承継人がいない場合も、同様である(商標法第46条第3項で準用する第28条第4項)。
【留意事項】
商標権をA,B,Cが3:2:1の割合で持分を保有している場合、Aが持分をDに譲渡するにはBとCの同意を得なければならないが、持分を放棄するには他の共有者の同意は不要である。持分放棄の場合、Aの持分はBとCの比率に従い、Bに2、Cに1が配分される。このように、共有関係については、同意が必要になる場合や他の共有者に配分される場合があるなど複雑なので、注意を要する。
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所(作成:2012年11月15日)特許庁総務部企画調査課 根本雅成(改訂:2013年7月8日)
■協力
一般財団法人比較法研究センター 木下孝彦■本文書の作成時期
2013.07.08