アジア / 出願実務 | アーカイブ
韓国における意匠出願時の図面作成要領
2013年03月12日
■概要
(本記事は、2018/10/25に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16033/
韓国では、2010年1月1日より意匠保護法施行規則が改正・施行され、図面作成の要件を大幅に緩和し、斜視図の提出は必須ではなくなり、代わりに「デザイン全体形態と創作内容を明確に表現する図面」を提出すればよいことになった。しかし、立体図面の場合は、実務上は通常、図面を明確にするため、6面図以外に斜視図を提出する。また、図面を正投影図法で作成する場合は従来と同じく斜視図は必須であるので注意が必要である。
■詳細及び留意点
図面の作成方法については、意匠審査基準及び意匠法施行規則別紙第4号書式に規定されている。
(1)図面を正投影図法(韓国語「정투상도법(正投象図法)」)により作成する場合は、従来と同じく、6面図以外に斜視図を必ず提出しなければならない。なお、6面図のうち以下の場合には一部図面を省略することができる。
- 正面図と背面図が同じか対称である場合、背面図は省略可
- 左側面図と右側面図が同じか対称である場合、どちらか一つは省略可
- 平面図と底面図が同じか対称である場合、どちらか一つは省略可
- 常時設置または固定されており底面を見ることができない場合、底面図は省略可
(2)正投影図法以外の方法で、立体を表現する図面を作成する場合には、当該意匠の創作内容と全体的な形態を明確に把握することができるように1つ以上の図面で作成しなければならない。
(3)図面を三次元モデリング(Modeling)形態で提出する場合には、意匠の創作内容を最もよく表現している画面を静止画面として、ファイル形式は3DS(3D Studio)、DWG(Drawing)またはDWF(Design Web Format)で提出しなければならない(意匠法施行規則別紙第4号書式)。
(4)図面内には、中心線、基線、水平線等を表示するための細線または内容の説明をするための支持線、符号または文字を記入することはできない。ただし、陰影を加える場合には模様と混同されない範囲で、細線、点または濃淡等を制限的に使用することができ、断面を表示する場合、切断された部分にハッチング(連続した斜線)を使用しなければならない。
(5)動くもの、開閉できるもの等の意匠として変化前後の形態を其々の図面に表現しようとする場合には、意匠説明欄に「変化前の状態の図面は図面A、変化後の状態の図面は図面B」のような説明を明示する。
(6)物品の全体意匠中、一部を部分意匠として登録を受けようとすれば、その部分を実線で表現し、それ以外の部分に関する形状は破線で表現しなければならない。そして、意匠の説明欄に、「実線で表現された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」という表現を明記しなければならない。
また、部分意匠を写真で出願する場合、物品の全体意匠中、部分意匠として登録を受けようとする部分以外の部分については黒色等の無彩色で塗り撮影しなければならない。しかし、物品自体が無色である場合には他の色でも認められる(本データベース内コンテンツ「韓国における部分意匠制度の活用及び留意点」参照)。
(7)図面の代わりに写真を提出する場合には、写真の規格は最大横10cm×縦15cm以下、最小横7cm×縦10cmの大きさにしなければならない。図面の場合は、特に規定はないが、例えばA4用紙内に記載した図面が極めて小さかったり、鮮明でない場合は拒絶される。
(8)物品が平面であり、表面図と裏面図が同じか対称である場合、または裏面図に模様がない場合には裏面図を省略することができる。
【留意事項】
(1)日本での意匠出願を基礎として韓国に出願する場合、斜視図が漏れている場合が多い。韓国では、正投影図法による6面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図)を提出する場合には、必ず斜視図を提出しなければならない。
(2)6面図において、日本では立体形状を表現するために細線(陰影線)が許容されるが、韓国では許容されないため注意が必要である。また、6各図面同士の寸法が一致しなければならないので、図面作成時には各図面の縮尺が同一となるよう注意を払う必要がある(意匠審査基準第3条3-아-(6))。
(3)図面に代えて写真を提出する場合、遠近によって大きさが違ってくる場合にも拒絶理由書が発付される可能性があるので、写真撮影時に遠近の影響を最小化するように撮影する必要がある。
■ソース
・韓国意匠法・韓国意匠法施行規則
・韓国意匠審査基準
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
■本文書の作成時期
2012.12.20