アジア / 出願実務
台湾における特許出願制度概要
2022年07月26日
■概要
特許出願(中国語「發明專利申請」)手続は、一般的に、方式審査、出願公開、審査請求、実体審査、特許査定、公告の順で進められる。■詳細及び留意点
(1)出願書類
特許出願の際の提出書類は、願書、明細書、特許請求の範囲、要約、図面(必要な場合)である(専利法第25条第1項)。明細書、特許請求の範囲および必要な図面を日本語や英語などの外国語で提出した場合、中国語による翻訳文を提出する(専利法第25条第3項)。
(2)方式審査(中国語「程序審査」)
主に、願書、明細書、特許請求の範囲および図面の様式、出願手数料の納付状況の確認などが行われる(専利法第17条、専利審査基準第1篇第5章、第14章など)。必要書類の充足が確認されると、出願日が認定される(専利審査基準第1篇第5章)。
(3)出願公開
出願日(或いは優先日)から18か月後に行われるが(専利法第37条第1項、第4項)、出願人による早期公開請求が可能(専利法第37条第2項)。出願日から15か月以内に出願が取り下げられた場合、国防上の機密またはその他の国家安全に関わる機密に及ぶ場合、公序良俗を害する場合は、出願公開はされない(専利法第37条第3項)。
(4)審査請求
何人も出願日から3年以内に審査請求ができる(専利法第38条第1項)。出願公開後、特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施している場合、出願人は優先審査を請求することができる(専利法第40条第1項)。
(5)実体審査
(i)審査内容
発明該当性、産業上の利用可能性、新規性、進歩性、不特許事由、発明の単一性、記載要件、先願、拡大先願、補正要件、出願変更要件について審査される(専利法第21条、第22条、第23条、第24条、第26条、第31条、第32条第1項、第3項、第33条、第34条第4項、第6項、第43条第2項、第44条第2項、第3項、第46条、第108条第3項)。これらの要件を具備している場合、特許が許可される(専利法第47条)。
(ii)意見書および手続補正書の提出
出願人は、審査に際して自発的に手続補正書を提出することができる(専利法第43条第1項)。但し、専利法第46条第2項の規定に従って拒絶理由が通知されると、出願人はその応答期間内にのみ手続補正書と意見書を提出することができる(専利法第43条第3項)。
(iii)審査ハイウェイ
台湾と日本の間で通常型特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)およびPPH-MOTTAINAIが行われている。
(6)再審査
出願人は、拒絶査定に不服があるときは、査定書送達日から2か月以内に理由書を添付して再審査を請求できる(専利法第48条)。再審査請求の際、手続補正書を提出することができる(専利法第49条第1項)。再審査は、原審査に関与しなかった特許審査官が担当する(専利法第50条)。
(7)公告
特許出願の許可査定書の送達後3か月以内に、証書料と1年目の特許料を納付すれば、当該特許は公告される(専利法第52条第1項)。故意なく納付期限を経過した場合、納付期限の満了後6か月以内に1年目の特許料の倍額を納付することで公告される(専利法第52条第4項)。公告日から特許権は付与される(専利法第52条第2項)。特許権の存続期間は出願日から起算して20年である(専利法第52条第3項)。
(8)存続期間の延長
(i)延長できる発明
医療品、農薬品またはその製造方法の特許発明(専利法第53条第1項)である。
(ii)延長期間
許可証取得のために特許発明を実施出来なかった期間内で、延長は認められる。延長期間は最長5年のため、実施出来なかった期間が5年を超えていても、5年を超えて延長が許されることはない(専利法第53条第2項)。延長の申請は1回に限り可能である(専利法第53条第1項)。
(iii)延長の効果
存続期間の延長が許可された特許権の範囲は、許可証に記載される有効成分や限定される用途にのみ及ぶ(専利法第56条)。
(iv)その他
延長登録申請後に特許権が満了し、その時点で延長登録申請の査定がなされていない場合は、期間延長は許可されたと擬制され、その後に延長が拒絶された場合、その特許権の存続期間は、本来の存続期間が満了した日までとされる(専利法第54条)。
■ソース
・台湾専利法(日本語)https://chizai.tw/test/wp-content/uploads/2021/11/20191017-%E5%B0%82%E5%88%A9%E6%B3%95%EF%BC%882019%E5%B9%B411%E6%9C%881%E6%97%A5%E6%96%BD%E8%A1%8C%EF%BC%89-j.pdf
・台湾専利法(中国語)
https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249
・專利審査基準(日本語)
https://chizai.tw/legal/#collapseThree-6
・專利審査基準(中国語)
https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/lp-682-101.html
・PPHネットワーク
https://www.jpo.go.jp/toppage/pph-portal-j/network.html
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2022.03.08