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中国での商標出願における商品/役務名称の記載に関する留意点

2022年03月17日

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■概要
中国で商標を出願する際、出願人はその商品/役務の区分を指定するだけでなく、商品/役務の名称まで記載しなければならず、商品/役務名称の記載は、原則、中国の「類似商品及び役務の区分表」に基づいて行う。区分表に記載されていない商品/役務名称の場合についても具体的な商品/役務名称を記載した方が良く、審査において補正命令が出された場合には、商品等をより明確に特定するために、資料を提出して審査官にその商品/役務の詳細を説明することができる。
■詳細及び留意点
(1)商品/役務(中国語「服务」)指定の原則
 商標法第22条によれば、商標登録出願人は、一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる。つまり、現在は単区分出願と多区分出願の両方が可能である。商標を使用する商品/役務の区分および商品/役務名称は、中国商標局(中国語「商标局」)により編集/発行された「類似商品及び役務の区分表(中国語『类似商品和服务区分表』)」(以下、「区分表」という。)に基づいて記載しなければならない。ただし、商標局は定期的に、「区分表」に収録されていないが認められる商品・役務リストを公表しているので、当該リストにおいて認められている商品・役務を記載してもよい。

 一商標出願では、同じ区分に属する商品/役務を同一官庁手数料で10個まで指定できるが、指定商品/役務が10個を超えると、官庁手数料として、11個目以降の商品/役務1個につきCNY30の追加料金が発生する。電子出願の場合、官庁手数料が10%割引される(参照:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/21329/)。
 ただし、出願後、同じ区分において指定商品/役務を追加することは認められず、その場合は、新たな出願をしなければならない。

(2)商品/役務名称の記載
(i)「類似商品及び役務の区分表」を参照
 中国で商標出願をする際は、できるだけ区分表および商標局の定期公表された商品・役務リストを参照する。出願しようとする商品/役務の名称が区分表、または上記商品・役務リストに記載されている場合、その名称を直接利用して出願することができる。

例:
区分 区分表記載の商品/役務名称 出願記載見本
6 未加工または半加工の金属(金属を除く)060182 区分6
建築用金属製建具または金具060140 商品/役務
未加工または半加工の金属
建築用金属材料060291 建築用金属製建具または金具
建築用金属材料

(ii)「類似商品及び役務の区分表」の活用
 区分表に記載される具体的な商品/役務名称には包括的な上位概念の表現もあり、これらを指定すれば比較的広い範囲で保護を受けることが可能である。
 区分表において包括的な上位概念の表現がなされているものとしては、下表に挙げたもの等がある。これらを指定して出願した場合、方式審査において審査官に認められる(区分表に記載されていない上位概念を出願した場合は審査官に認められない可能性が高い)。

例:
区分 具体的な商品/役務名称(上位概念) 方式審査通過の可否
1 工業用化学品010176
3 化粧品030065
10 医療用機械器具100114
16 紙160006
25 被服250045
42 受託による研究及び開発420161

(iii)「類似商品及び役務の区分表」に記載されていない商品/役務名称の記載
 出願人が実際に生産・販売している商品が区分表にない場合、実際の商品の名称のままで出願することもできる。その後、補正命令(中国「补正通知」)を受けた場合、商品のカタログなどの資料を提出して、審査官に説明することができる。
 下記例は、区分表に記載されていない商品の名称を記載して出願し、審査官が理解しにくいところがある等のために補正命令が出されたが、カタログ等を提出して認定された例である。

例:
区分 具体的な商品/役務名称 方式審査 通過の可否
16 油取り紙
12 乗物用空気バネ
12 全地形対応車
25 乳首被覆用パッド(被服)

 ただし、法改正後、指定商品/役務の審査が厳しくなり、補正通知の回数制限も定められ、原則、補正応答の機会は1回しかない。そのため、補正通知に応答する際、区分表または商標局が定期的に公表している商品・役務リストに記載されている商品/役務に補正することが望ましい。要求された商品/役務の削除は特に問題ないが、区分表または上記商品・役務リストに記載されていない商品/役務に補正する場合は、当該出願が不受理になる恐れがあることに留意が必要である。

(ⅳ)包括的な概念の具体化/細分化
 包括的な概念は複数の区分に属する可能性があるので、区分表を参考にして、その原材料/用途/機能などを限定し、または具体化して、対応の区分において出願する必要がある。

例:
包括的な概念 方式審査
通過の可否
商品/役務名称の提案 方式審査
通過の可否
容器 × 6類:金属製包装容器060231
16類:クリーム用紙製容器160115
20類:プラスチック製包装容器200100
21類:家庭用または台所用の容器210199
手袋 × 25類:手袋(被服)250067
28類:運動用グローブまたは手袋280072、ゴルフ用手袋280153など
9類:事故防護用手袋(運動用具に属するものを除く)090274、潜水用手袋090275、工業用X線防護手袋090276など
10類:医療用手袋100043
11類:電熱式の手袋C110062
家庭用電気製品 × 7類:洗濯機070234;食器洗浄機070231など
9類:テレビ090468;電話機090423など
11類:冷蔵庫110274、電子レンジ(台所用具)110317など
ミネラルウォーター × 5類:医療用ミネラルウォーター050129
32類:ミネラルウォーター(飲料)320015
○○およびその部品付属品 × 削除または具体的な名称に変更
この区分に含まれる全ての商品 × 削除または具体的な名称に変更

(3)中日指定商品/役務の相違点
(i)同じ指定商品であるが、異なる区分に属するもの

例:
具体的な商品/役務名称 日本区分 中国区分
衛生マスク 5 10

(ii)日本特有の商品/役務名称は、中国で修正/変更する必要がある。

例:
区分 日本特有の
商品/役務名称
方式審査
通過の可否
中国での修正/変更案 方式審査
通過の可否
9 電子応用機械器具およびその部品 × 9類0901類似群:電子計算機、電子計算機の周辺機器、電子計算機用プログラム(ダウンロードできるもの)
9類0911類似群:電子顕微鏡
9類0913類似群:集積回路など
35 小売および卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 × 商品+第35類の「販売促進のための企画および実行の代理、他人の事業のために行う物品の調達およびサービスの手配、輸出入に関する事務の代理または代行、広告宣伝」など
42 電子計算機・自動車その他の用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門な知識·技術または経験を必要とする機械の性能·操作方法などに関する紹介および説明 × 41類:トレーニング

(4)留意事項
a)中国の商品/役務の類似群は日本のものとは異なっており、当該商品の属する区分そのものも異なる場合があるので、出願に際しては注意深く検証しておく必要がある。なお、区分表は改訂により変更される場合があることに留意すべきである。
b)使用を予定する商品の属する類似群が明確な場合、上記(2)(ii)の通り、区分表に記載された包括的な上位概念で当該類似群商品を指定商品とすれば、使用商品を含む広い範囲での保護を受けることができるが、上位概念表示は商品の範囲が曖昧になる可能性も高いため、実際の使用商品が当該上位概念表示の商品に含まれるか否かは、現地代理人とよく相談して判断する必要がある。(例:包括的な上位概念「被服」は、区分表によれば、「靴下」や「マフラー」や「帽子」など」と類似しないため、前記商品についての保護を受けたい場合は「被服」ではなく別途指定する必要がある。)したがって、指定商品は、使用商品を含むと考えられる上位概念表示と、使用商品の具体的な名称を表示することが安全である。
c)現地に確認済みであれば上位概念の選択を誤る可能性は低いが、未確認であれば、日本側で自ら判断することは好ましくない。現地代理人に自社商品/役務の説明を行って自社商品/役務を含む商品/役務名称を選択するよう依頼することが好ましい。また、「この商品/役務を含むできるだけ広い上位概念の商品/役務名称を選択してほしい」と指示することも可能である。

※本文書中に例示した区分表記載の商品/役務の名称や区分番号は、2021年1月に発行された2021年版区分表によるものである。
■ソース
・中国商標法
・中国「類似商品及び役務区分表」(2021年版)
http://sbj.cnipa.gov.cn/sbsq/sphfwfl/200902/W020211027547094157104.pdf
・商標登録申請書(中国語「商标注册申请书」)
http://sbj.cnipa.gov.cn/sbsq/sqss/202112/W020211231502438069536.docx
(4、5頁目に出願時の注意事項が記載されている。費用納付については18番参照。)
・日本「類似商品・役務審査基準」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/document/ruiji_kijun11-2021/ruiji_kijun11-2021-all.pdf
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2021.12.08

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