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中国における特許出願の補正

2012年12月28日

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■概要
中国では、通常出願、パリルート出願、PCT出願において、明細書や図面などの特許出願書類に不備があった場合、下記の通り、その出願の自発補正を行うことができる。また、補正命令を受けた場合には、その補正命令で指摘を受けた不備についてのみ補正を行うことができる。
■詳細及び留意点

(1)通常出願とパリルート出願の補正時期と補正できる内容

 特許(中国語「发明专利」)の通常出願とパリルート出願の補正時期・内容は以下の通りである。

補正時期 補正できる内容 留意点
(i)審査請求時(実施細則第51条第1項)(*) 全ての出願書類について自発的に補正することができる。 補正は、出願時の原明細書及び特許請求の範囲に記載した範囲(中国語「原说明书和权利要求书记载的范围」)を越えてはならない(専利法第33条)。
(ii)中国特許庁(中国語「国家知识产权局」)が発行した実体審査に入る旨の通知書(中国語「进入实质审查阶段通知书」)を受領してから3ヶ月以内(実施細則第51条第1項)
(iii)中国特許庁が発行した拒絶理由通知書(中国語「审查意见通知书」)に対して応答する時(実施細則第51条第3項) 拒絶理由通知書で指摘された不備についてのみ補正することができる。

(*)出願と同時に審査請求をすると、(i)の自発補正の機会を失うことになる。

 

(2)PCT出願の補正時期と補正できる内容

 PCT出願については、以下の時期・内容で補正することができる。

補正時期 補正できる内容 留意点
(i)中国国内段階移行手続きを行う時(PCT条約第28条、第41条) 明細書(中国語「说明书」)、図面(中国語「附图」)、特許請求の範囲について、自発的に補正することができる。 補正は、PCT出願時明細書(図面を含め)及び特許請求の範囲に記載した範囲を越えてはならない(専利法第33条)。
また、請求項の数が10項を超えた場合、出願手数料は国際公開公報に基づき計算されるので、中国国内移行手続きを行う際に請求項を削除しても、出願料を減らすことはできない。
(ii)審査請求時(実施細則第112条による実施細則第51条1項の適用)(**) 全ての出願書類について自発的に補正することができる。
(iii)中国特許庁が発行した実体審査に入る旨の通知書を受領してから3ヵ月以内(実施細則第112条による実施細則第51条1項の適用)
(iv)拒絶理由通知書に応答する時(実施細則第112条による実施細則第51条3項の適用) 拒絶理由通知書で指摘された不備についてのみ補正を行うことができる。

 (**)国内移行と同時に審査請求を行う場合、(ii)の自発補正の機会を失うことになる。

 

(3)PCT出願における中国語明細書及び特許請求の範囲の誤訳訂正

補正時期 補正できる内容 留意点
中国特許庁による中国国内公開公報の公開準備作業が完了するする前(実施細則第113条第1項第1号) 中国語明細書、特許請求の範囲、または図面における中国語訳文(中国語「中文译文」) 当該補正にかかる官庁手数料:CNY300/回
中国特許庁が発行した実体審査に入る旨の通知書を受領してから3ヶ月以内(実施細則第113条第1項第2号) 当該補正にかかる官庁手数料:CNY1,200/回
中国特許庁が発行した訳文訂正通知書(中国語「通知书的要求改正译文」)に対して応答する時(実施細則第113条第3項) 通知書で指摘された誤訳についてのみ補正することができる。 当該補正にかかる官庁手数料:方式審査段階ではCNY300/回、実体審査段階ではCNY1,200/回

 

【留意事項】

 出願が実体審査に入り、拒絶理由通知書が通知された場合、実施細則第51条第3項の規定によると、上記の通り、出願書類の補正は拒絶理由通知書で指摘された不備についてのみに限定されることになる。ただし、実施細則第51条の運用については、個々の審査官に一定の裁量権が与えられており(専利審査指南第2部分第8章5.2.1.3)、規定を厳格に守られることが要求されている印象はあまりなく、実務上、拒絶理由通知書を受けてから、再度その発明の特徴を検討し、引用文献及び諸外国の審査状況を考慮した上で、クレーム補正を行うことはよくある。期待通りの権利取得ができるかどうかは実施細則第51条の運用実態によるため、審査官によってばらつきはあるが、クレームの補正によって、審査官が従来技術を再び調査しなければならないような場合でない限り、その補正が拒絶理由通知書に指摘されていない内容であっても認められる可能性はある。従って、拒絶理由通知書に応答する際、審査官に指摘されていない内容について補正する必要があれば、自発的に補正を行ってみる価値があると思われる。

 なお、上記表の留意点欄に記載されている、専利法第33条のいわゆる新規事項の追加の禁止については、中国特許庁の運用としては「出願時に記載された内容から直接的に疑義なく確定できるものでなければならない」とされており、「明示的記載+自明事項」が新たな技術的事項を導入しないものとして認める日本の運用に比べて、かなり厳しいため、注意を要する。 

■ソース
・中国専利法
・中国専利法実施細則
・中国専利審査指南 第2部分第8章 実体審査手続
・PCT条約
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pa_co/pct/mokuji.htm ・PCT出願の中国国内移行における誤訳訂正の官庁手数料
http://www.sipo.gov.cn/zlsqzn/sqq/zlfy/200905/t20090515_460473.html
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
三協国際特許事務所 中国専利代理人 梁 熙艶
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
一般財団法人比較法研究センター
■本文書の作成時期

2012.10.11

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