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韓国における特許審査ハイウェイによる優先審査の活用

2020年12月10日

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■概要
 特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)は、各特許庁間の取り決めに基づき、第1庁(先行庁)で特許可能と判断された発明を有する出願について、出願人の申請により、第2庁(後続庁)において簡易な手続で優先的に審査が受けられるようにする枠組みである。韓国でも近年活用が増加しており、特に問題がなければ、PPHに基づき韓国での優先審査を申請された特許出願に対して2〜3か月以内に審査結果が出る。
■詳細及び留意点

(1)対象となる特許出願

 韓国の特許庁長官が外国の特許庁長官と優先審査することに合意した特許出願であって、対象国等*1に出願した特許出願の出願日または優先日のいずれか早い日と韓国特許出願の優先日が同じ特許出願、対象国等で国際調査や国際予備審査が行われた国際出願の国際出願日または優先日のいずれか早い日と韓国特許出願の優先日が同じ特許出願が対象となる(特許・実用新案優先審査に関する告示第4条第3号)。

 

*1: 特許庁ホームページに掲載されている対象国や地域、以下の(a)~(c)等(https://www.kipo.go.kr/en/HtmlApp?c=100016&catmenu=ek02_02_03

 

 韓国特許庁が施行するPPHプログラムは、以下のとおりである。

(a)IP-5特許審査ハイウェイ(韓国、日本、アメリカ、中国、EPO)、

(b)グローバル特許審査ハイウェイ(韓国、日本、米国、カナダ、フィンランド、ロシア等の21カ国)、

(c)メキシコ、フィリピン、台湾、ユーラシア(2019.1.1〜)ベトナム、サウジアラビアとの特許審査ハイウェイ

 

 例えば、日本の特許出願については、下記の出願が対象となりうる。

(i)日本の特許出願を基礎としてパリ条約による優先権を主張し、韓国に出願した場合

(ii)優先権主張なしのPCT出願において日本と韓国を指定し国内段階移行手続をした場合

(iii)上記の出願を分割する場合

 

(2)要件

<PPHによる優先審査>

 (i)韓国特許出願(以下「本願」という)とこれに対応する対象特許庁の特許出願(以下「対応出願」という)は、最先の優先日が同じでなければならない。

 (ii)対応出願には、対象特許庁が最新の審査通知書で特許可能であると判断した請求項がなければならない。

 (iii)本願の全ての請求項は、対応出願で特許可能であると判断を受けた請求項と対応していなければならず、対応していない場合には補正しなければならない。

 (iv)本願において審査請求手続が行われていなければならない。

 

<PCT-PPHによる優先審査>

(i)韓国特許出願とこれに対応する国際出願は最先の優先日が同じでなければならない。

(ii)国際出願には、最新の国際段階の審査で「肯定的な審査結果」を受けた請求項が含まれていなければならない。

「肯定的な審査結果」とは、

①対象特許庁で対応国際出願の国際調査が行われ、国際調査見解書(WO/ISA)で新規性、進歩性および産業上の利用可能性が全てあると判断を受けた場合、

②対象特許庁で対応国際出願の国際予備審査が行われ、国際予備審査見解書(WO/IPEA)で新規性、進歩性および産業上の利用可能性が全てあると判断を受けた場合、

③対象特許庁で対応国際出願の国際予備審査が行われ、国際予備審査報告書(IPER)で新規性、進歩性および産業上の利用可能性が全てあると判断を受けた場合、である。

(iii)本願出願の全ての請求項は、対応出願で特許可能であると判断を受けた請求項と対応しなければならず、対応しない場合には、対応するように補正されなければならない。

(iv)本願出願において審査請求手続が行われていなければならない。

 

 以下、図1および図2に優先審査を申請することができる例を示す。

 

<PPHによる優先審査>

01KR43_1

図1

 

<PCT-PPHによる優先審査>

01KR43_2

図2

 

(3)手続

(i)特許審査ハイウェイを利用した優先審査を請求する前に、(通常の)審査請求手続を行わなければならない(同日付も可能)。その後、優先審査申請書を提出し、その申請書に特許審査ハイウェイによる優先審査申請説明書を添付しなければならない。

(ii)優先審査申請書の提出時に、①対応出願の審査通知書写し、②対応出願で特許可能であると判断を受けた請求項の写し、③対応出願の審査段階で引用された先行技術文献の写しを添付し提出しなければならない。

 ①、②について、韓国語または英語ではない言語で作成された場合、韓国語または英語の翻訳文を提出しなければならない。また、①、②が、対象特許庁の審査情報閲覧システム(DAS:Dossier Access System)を通じて容易に入手することができる場合は提出を省略することができる。

 ③について、特許文献は提出を省略することができ、非特許文献は必ず提出しなければならない。

(iii)優先審査申請人は、対応出願で特許可能であると判断を受けた請求項と本願出願請求項の差異の対応関係を説明する請求項の対応関係の説明表を提出しなければならない。この対応関係説明表には、請求項ごとに相応するという根拠を記載しなければならない。

 

留意事項

(1)特許審査ハイウェイによる優先審査は、実用新案登録出願は対象に含まれず、特許出願のみが対象となる。

(2)日本での審査において特許可能な請求項がなければならないというのは、特許査定が出たことのみを意味するものではない。拒絶査定を受領したとしても、その出願に特許可能な請求項がある場合や、審査中に拒絶理由通知を受けた段階で、特許可能な請求項が明示されている場合には、優先審査請求をすることは可能である。

(3)日本における審査結果を利用して、韓国で特許審査ハイウェイの適用を受けるためには、両国の審査時期を調整しなければならない。日本で早期審査等を活用して可能な限り早く審査を受けるようにし、韓国では審査請求の時期を遅くし、日本の審査結果が出る時期に合わせる必要がある。その他にも、例えば、韓国で拒絶理由を受けた時点で期間延長し、最長4か月まで意見書提出期日を延長することにより韓国の審査を遅らせる方法も考えられる。なお、通常、対応国の出願において審査が着手されていないことが要件となるが、韓国では審査に着手していても特許審査ハイウェイの適用を受けることができる。

 

■ソース
・韓国特許庁告示第2019-9号(2019.07.09)特許・実用新案 優先審査の申請に関する告示
(韓国語URL)
http://www.law.go.kr/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000180197
・上記告示の日本語訳(崔達龍国際特許法律事務所ウェブサイト)
http://www.choipat.com/menu31.php?id=99
・IP5 PPH及びグローバルPPHによる優先審査申請手続き
韓国語:https://www.kipo.go.kr/upload/sil_kuk/ip5_highway_kor.pdf
英語:https://www.kipo.go.kr/upload/sil_kuk/ip5_highway_eng.pdf

・韓国特許庁ウェブサイト
特許審査ハイウェイ
https://www.kipo.go.kr/en/HtmlApp?c=100016&catmenu=ek02_02_03
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2020.02.05

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