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シンガポールにおける特許制度のまとめ-実体編

2020年05月19日

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■概要
シンガポールにおける特許制度の運用について、その実体面に関する法令、出願実務を関連記事とともにまとめて紹介する。
■詳細及び留意点

1. 特許制度の特徴

 

 シンガポールでは、直接または特許協力条約(PCT)を通じて特許を出願できる。出願後、方式審査に合格したのち、出願人は、①調査請求、調査結果確認後に審査請求、②調査および審査の同時請求、③審査請求、④補充審査請求、をすることができ、その調査報告または拒絶意思(理由)通知に対して応答する必要がある(ただし、補充審査(修正実体審査請求、いわゆる外国ルート)は2020年1月1日以降の出願からは利用不可)。実質的または補充的な審査手続中に、審査官は、「書面による意見書」を発行することにより、特許出願に対する拒絶理由を通知することができる。出願人は、「書面による意見書」に応じて、出願書類を修正する機会、および/または意見を提出する機会を持つ。審査官のすべての拒絶理由が解決された場合、シンガポール知的財産庁(IPOS)が適格通知を発行し、出願人は特許の付与を取得するために付与料を支払うように請求される。

 シンガポール特許法第34条に基づき、シンガポールの居住者は、シンガポール国外に発明の特許を出願する前に、登録官によって付与された書面による権限を取得する必要がある。

 シンガポールの特許制度は、他の国とは異なり、前記①~④のとおり調査審査のさまざまなルートを提供している。出願人は、他の国からの調査レポートに依存することも、対応する出願に依存することも可能であるが、修正実体審査(上記の補充審査、いわゆる外国ルート)は2020年1月1日以降の出願から利用できなくなる。

 シンガポールの特許制度は、実用新案登録を提供していない。

 

関連記事:「シンガポールにおける特許出願制度概要」(2019.7.25)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17577/

 

関連記事:「シンガポールの特許関連の法律、規則、審査基準等」(2019.2.21)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16562/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許年金制度の概要」(2018.10.11)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15963/

 

関連記事:「シンガポール知的財産庁の特許審査体制」(2018.9.11)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15739/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許を受けることができる発明と特許を受けることができない発明」(2016.5.26)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11247/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許審査ハイウェイ(PPH)の利用」(2016.1.19)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10214/

 

関連記事:「日本とシンガポールにおける特許出願書類・手続の比較」(2019.11.7)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17897/

 

関連記事:「日本とシンガポールにおける特許審査請求期限の比較」(2019.11.7)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17900/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許審査迅速化の方法」(2019.10.17)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17822/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許出願の補正の制限」(2019.10.17)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17824/

 

関連記事:「シンガポールの庁指令に対する応答期間」(2019.10.17)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17826/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許出願制度」(2019.10.15)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17804/

 

関連記事:「シンガポールにおけるパリ条約ルートおよびPCTルートの特許出願の差異」(2019.10.15)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17808/

 

関連記事:「シンガポールにおける特許法改正の概要(2014年2月14日施行、2017年10月30日一部改正)」(2019.10.15)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17810/

 

2. 発明の保護対象

 

 シンガポールの法律は、「発明(invention)」という言葉の定義を提供していない。ただし、IPOSの審査ガイドラインの8.9~8.38項では、「主題(subject matter)」が「発明」と見なされないものについてのガイダンスを提供している。

 

関連記事:「シンガポールにおけるコンピュータソフトウエア関連発明等の特許保護の現状」(2019.1.15)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16391/

 

関連記事:「シンガポールにおける医薬用途発明の保護制度」(2018.2.27)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14586/

 

3. 特許を受けるための要件

 

 法第13条(1)によれば、特許性のある発明は、新規性、進歩性、および産業上の利用可能性という3つの基準を満たすものである。第13条(2)および(3)は、攻撃的、不道徳、または反社会的行為を助長する発明は特許性がないと規定している。

 

関連記事:「シンガポールにおける特許新規性喪失の例外」(2017.6.22)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13824/

 

4. 職務発明の取り扱い

 

 法第49条は、従業員の発明に対する権利を扱っている。発明が従業員の通常の職務の過程で行われた場合、または従業員に特別に割り当てられた義務で行われた場合、または職務の性質および責任のために発明が生じた場合、従業員によってなされた発明は雇用者に属するものとみなされる。それ以外の従業員が行った発明は、従業員のものとみなされる。

 

関連記事:「シンガポールにおける職務発明・職務創作制度」(2013.12.3)

https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/4819/

 

5. 特許権の存続期間

 

(1)存続期間

 付与された特許の保護期間は、特許の出願日から20年である(法第36条(1))。特許は、その期間内に更新料が支払われなかった場合、更新料の支払について規定された期間の終了時に効力を失うものとする(第36条(2))。

 

(2)特許権の存続期間の延長制度

 特許の所有者は、特許の期間を延長するために登録官に申請することができる。その条件は、法第36A条に記載されている。

 

(3)審査の遅延による存続期間の延長補償

 審査が予想よりも長くかかった場合、特定の種類の合理的な遅延があったと登録官が認めれば、保護期間が延長される。シンガポール特許規則の規則51A(5)は、不合理な遅延を構成するものをさらに詳しく説明している。

 

(4)その他

 拒絶理由の通知が発行されると、これに応答するため、出願人には2か月が与えられる(法第29A条(2)(a))。この期限は、特許様式45を提出することにより、規則108(4)(a)に基づいて18か月までさらに延長できる。

 法第36条(3)によれば、特許の存続期間の満了後6か月の猶予期間があり、更新料と所定の追加料金を支払うことができる。その後、特許は、期限が切れていないかのように扱われる。

■ソース
<シンガポール知的財産庁>
https://www.ipos.gov.sg/ ・調査および審査ガイドライン(Search and Examination Guidelines)
https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/guidelines-and-useful-information/examination-guidelines-for-patent-applications-at-ipos_2019-apr.pdf
<シンガポール法令オンライン(Singapore Statute Online)>
・シンガポール特許法
https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994 ・シンガポール特許規則
https://sso.agc.gov.sg/SL/PA1994-R1
<特許庁>
・シンガポール特許法改正に伴う外国ルート(修正実体審査)の廃止について
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/sg/foreign_route.html
■本文書の作成者
デゥリュー・アンド・ネピア法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.08.20

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