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韓国における意匠の一部審査登録制度
2020年04月30日
■概要
(本記事は、2022/1/25に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/21961/
韓国の意匠登録出願は、実体審査を経るものと経ないものに分かれている。流行性が強く、ライフサイクルが短い特定の物品については、早期権利化のため、方式審査のみを行い登録される(意匠法(韓国語「디자인보호법(デザイン保護法)」第37条4項))。このような制度は1998年3月1日に初めて意匠無審査登録制度として導入された。その後2014年7月1日から意匠一部審査登録制度に変更され、対象物品も縮小された。
■詳細及び留意点
韓国における、意匠一部審査登録出願について下記のとおり詳細を説明する。
- 意匠一部審査登録出願の対象物品
意匠一部審査登録出願をすることができる意匠は物品類区分(ロカルノ分類)のうち、産業通商資源部令で定める下記の物品に限られる。
・第2類(衣類およびファッション雑貨用品)
・第5類(繊維製品、人造および天然シート織物類)
・第19類(文房具、事務用品、美術材料、教材)
- 出願手続および審査
(1)意匠一部審査登録出願の手続は意匠審査登録出願と同一であるが、意匠一部審査登録出願の対象物品は、意匠審査登録出願ではなく意匠一部審査登録出願で出願手続しなければならない。
(2)工業上利用することができないか、国内または国外で広く知られている形状・形・色彩またはこれらの結合により容易に創作することができる意匠は登録を受けることができない(意匠法第62条12項)。
(3)情報提供がある場合、審査官は客観的な拒絶理由が発見されれば、実体審査をできるように規定されている(意匠法第62条4項)。
(4)意匠一部審査登録出願をした場合、所定の方式審査後、拒絶理由がなければ登録になり、出願から登録までは平均3~4か月程度かかる(意匠審査登録出願の場合、出願から登録まで1年程度である)。
- 意匠一部審査登録出願の登録後の異議申立
(1)意匠一部審査登録出願で登録された意匠権の中には、実体的登録要件が欠如した意匠が存在する可能性があるため、意匠一部審査登録出願で登録された案件については異議申立制度が採用されている(意匠法第68条)。
(2)意匠一部審査登録出願で登録された意匠権については、設定登録日から意匠一部審査登録出願の登録が公告された日から3か月になる日までの間、誰でも異議申立が可能である。審査官3人の合議制により審議され、取消理由ありと判断されれば、登録された意匠権は取り消される(意匠法第68条第11項・第70条)。
- 留意事項
(1)旧法の意匠無審査登録制度では意匠無審査出願の対象品目を18分類において幅広く許容したが、2014年7月1日付施行の改正法(2014年1月21日公布)では名称を意匠一部審査に変更するとともに、この制度の対象品目を3分類(ロカルノ分類 第2類、第5類、第19類)まで大幅に縮小した。したがって、出願時には、意匠出願の対象物品が意匠一部審査登録出願の対象物品に該当するかを確認しなければならない。なお、誤って意匠一部審査登録出願の対象物品を含む意匠審査登録出願をした場合、方式審査で補正指示が出され、意匠一部審査登録出願へ補正することは可能である。
(2)意匠一部審査登録出願をして登録となれば、意匠権は発生するが、権利を行使する際には当該権利が本当に有効かどうかを権利者自身が判断しなければならない。明らかな無効事由があるにもかかわらず権利を行使した場合は、権利濫用と判断される可能性もあるので注意が必要である。
■ソース
韓国特許庁ホームページ 意匠一部審査登録制度https://www.kipo.go.kr/kpo/HtmlApp?c=8039&catmenu=m11_03_08
デザイン分類コード
https://www.kipo.go.kr/kpo/BoardApp/UPatentApp?c=3001&catmenu=m06_07_04
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2019.08.13