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中国における特許・実用新案の分割出願

2020年04月28日

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■概要
中国では、特許・実用新案出願が2つ以上の発明/考案を含む場合、特定の時期であれば、出願人は、自発的にまたは審査官の審査意見に従い、分割出願を行うことができる。ただし、分割出願は親出願の種類(発明/実用新案)を変えてはならず、かつ、親出願に記載された範囲を超えてはならない。
また、2019年11月1日施行の特許審査指南の改正が公表され、単一性欠陥の指令を受けた分割出願の再分割出願の提出時期が明確にされた。
■詳細及び留意点

(1)分割出願(中国語「分案申请」)できる時期

 (i)審査係属中の出願については、特許権、実用新案権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月(登録手続期間)以内であれば、出願人は、いつでも分割出願を提出することができる(実施細則第42条)。ただし、上記登録手続期間が満了した後、拒絶査定が確定された後、取り下げされた後(みなし取下げの場合を含む)等には、分割出願をすることができない(審査指南第一部分第一章5.1.1)。

 

 (ii)拒絶査定を受けた出願については、不服審判請求の有無を問わず、拒絶査定の通知書を受領してから3か月以内であれば、分割出願を行うことができる。また、不服審判の係属中および不服審判の審決に対する審決取消訴訟係属中においても、分割出願を行うことができる(審査指南第一部分第一章5.1.1)。

 

 (iii)単一性欠如で拒絶理由通知が出された場合、出願人は応答期間内に単一性のないクレームを削除する補正を行う必要がある。削除されたクレームについては、拒絶理由に応答する際に、または、上記(i)または(ii)を参考に、適時に分割出願を行うことができる(審査指南第一部分第一章5.1.1)。

 

 (iv)2019年11月1日に改正された特許審査指南が施行され、審査指南第一部分第一章5.1.1(3)では「ただし、審査官が、分割通知書または審査意見通知書において、分割出願に単一性の不備が存在していることを通知し、出願人が審査官の審査意見に従って分割出願を再度提出した場合、該分割出願の申請書を再度提出すべき時期は、単一性の不備のある分割出願に基づいて判断するものとする。」として、単一性不備の指摘を受けた場合に、従来の規定では不明確であった再分割出願の申請書の提出時期を、親出願ではなく子の出願(分割出願)が係属中に行わなければならないことを明確にした。また、「規定に適合していない場合、上記分割出願に基づく分割は認められず、審査官は、当該分割出願を提出されなかったものとみなす通知書を発行し、案件終了の処理を行う。」と示している。

 

(2)分割出願は親出願(第1次に提出した出願)に基づき提出しなければならない(実施細則第43条、審査指南第一部分第一章5.1.1、第一部分第二章10)。

 (i)分割出願の種類(特許/実用新案/意匠)は、親出願の種類と一致しなければならない。

 (ii)分割出願は親出願の優先権を享有できる。

 (iii)分割出願の出願人は親出願の出願人と一致しなければならない。

 (iv)分割出願人の発明者は親出願人の発明者の全員またはその中の一部でなければな

 らない。

 (v)分割出願が認められた場合、分割出願の出願日は実際の提出日ではなく、親出願の

 出願日が援用される。

 

(3)分割出願に必要な書類(審査指南第一部分第一章5.1.1)

 ・分割出願の願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約など

 ・親出願の出願書類の謄本

 ・親出願における本分割出願と関連する他の書類(例えば、優先権証明書)の謄本

 ・親出願の国際公開が外国語の場合、親出願の国際公開公報(中国語「国际公开文本」)の謄本

 

(4)分割出願の補正

 分割出願は、審査官によって、専利法実施細則第42条、第43条に基づいて、形式要件や、親出願に記載された範囲を超えていないかどうか、単一性を満たすかどうか等の審査が行われ、分割要件を満たしていない場合には補正命令(中国語「补正通知」)が出される。出願人が所定の期限内に補正命令に応答しなかった場合、分割出願は取り下げられたものとみなされる(審査指南第一部分第一章5.1.1)。

 また、補正しても分割要件の不備を克服できなかった場合には、分割出願は拒絶される。

 

(5)分割出願の費用

 分割出願の費用は、明細書の中国語への翻訳料が不要(親出願の中文明細書利用可)である他は、通常の新規出願の料金と同様である。

 

(6)留意事項

 ・分割出願を提出した後の各法定期限は、親出願の出願日(優先権を主張する場合は優先日)から起算する。既に満了になった、または分割出願を提出したその日から期限日まで2か月を切ってしまった各種の期限に対しては、分割出願を提出したその日から2か月以内または受理通知書を受領してから15日以内に各種の手続を補完する必要があることに留意すべきである(審査指南第一部分第一章5.1.2)。

 

 ・「分割出願は親出願に記載された範囲を超えてはならない(審査指南第二部分第六章3.2)」との基準は、日本と同じく、新規事項の判断と同様に行なわれている。しかし、中国の審査実務において、新規事項に該当するかどうかの判断は日本と比べて厳しい。たとえば、親出願の明細書に記載された実施例を概念化するようなクレーム(具体例+自明事項)を新たな分割出願として出願することは難しい。中国の実務上、親出願で削除されたクレームを分割出願として出願することが多く、その意味では、親出願の出願時に必要と思われる概念をできるだけクレームしておくべきであろう。

 

■ソース
・中国専利法実施細則
・中国特許審査指南
  第一部分第一章 発明専利出願の方式審査
  第一部分第二章 実用新案専利出願の方式審査
  第二部分第六章 単一性と分割出願
・費用について http://www.cnipa.gov.cn/zhfwpt/zlsqzn_pt/zlsqdfy/index.htm
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.11.05

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