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マレーシアにおける特許の単一性要件と分割出願

2020年04月23日

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■概要
(本記事は、2024/4/2に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/38473/

マレーシアにおいて、特許出願人は、所定の期間内であれば、出願が単一性の要件を満たさない場合、その不備を是正する手段として分割出願することができるほか、自発的に分割出願を行うことも可能である。ただし、分割できる時期は制限されており、また原出願の明細書に記載された範囲を超えてはならない。
■詳細及び留意点

(1)特許出願の単一性要件

 マレーシアにおいて、特許出願は、発明の単一性を満たさなければならない(マレーシア特許法第26条)。

 

 次の場合は、発明の単一性を満たしているとされる。

・対象となる製品に関する独立クレームに加えて、その製品の製造のために特に採用される方法についての独立クレーム、および、その製品の使用に関する独立クレーム

 

・対象となる方法に関する独立クレームに加えて、その方法を実施するために特に工夫された装置または手段に関する独立クレーム

 

・対象となる製品に関する独立クレームに加えて、その製品の製造のために特に採用された方法に関する独立クレーム、および、そのような方法を実施するために特に工夫された装置または手段に関する独立クレーム

 

(2)単一性要件の不備を是正するための分割出願*1

 単一性要件を満たさない出願については分割出願によって、その不備を是正できる(マレーシア特許法第26B条(1))。

 実体審査において、出願された特許が単一性の要件を満たしていないと判断された場合、単一性要件を満たしていない旨の報告書が審査官から発せられ(マレーシア特許法第30条(1)(2)に基づく報告書)、その報告書について意見書を提出するためおよびこれらの要件を遵守するために出願を補正するための機会を与えられる。出願人は、この報告書の発行日から3か月以内であれば、当該特許の分割出願を行うことができる(マレーシア特許規則19A(a))。

 なお、単一性要件の不備を補うための分割出願を行う場合、分割出願について実体審査(または修正実体審査)を求める請求は、出願の分割を申し立てるときに行わなければならない。

 

(3)自発的な分割出願*1

 上記(1)の単一性要件の不備を補うための分割出願のほか、出願人は自発的に分割出願することもできる。この場合、審査官から最初に送付される報告書(マレーシア特許法第30条(1)(2)に基づく報告書)の発行日から3か月以内に分割の申立てをしなければならない(マレーシア特許規則19A(b))。最初の報告書の受領前に自発的に出願を分割することはできない。

 なお、自発的な分割出願を行う場合も、分割出願について実体審査(または修正実体審査)を求める請求は、出願の分割を申し立てるときに行わなければならない(マレーシア特許規則27(2)、27A(2))。

 

*1: 2016年6月1日発行のPractice Direction No. 2/2016により分割出願期限の起算日が「the date of mailing」から「the date of examination report」に改正された。

 

(4)分割出願の範囲

 分割出願においては、原出願の明細書に記載された範囲を超えてはならない(マレーシア特許法第26B条(1))。分割出願に新規事項が含まれていると判断され、出願人が当該新規事項を除外することを拒んだ場合には、分割出願は拒絶される。

 

(5)分割出願の出願日

 分割出願は、原出願の出願日に出願したものとして取り扱われる。(マレーシア特許法第30条(2))。

 

(6)分割出願の手数料

 分割出願に係る手数料は、通常の特許出願と同じく、オンラインで行う場合には260マレーシアリンギット、それ以外の場合には290マレーシアリンギットである。

 

(7)留意事項

・一般的に、出願と関連する競業他社の製品を市場で発見し、他社製品を技術的範囲に含むようにクレームを構成したい場合、他社製品の構成が含まれるように親出願のクレームを補正しつつ、自社製品との関係でより広い特許を取得するべく分割出願を行う等の方法で分割出願を戦略的に利用し得る。

・ただし、マレーシアにおいて特許出願の分割を行うことができる時期は、上述の通り、限定的であるため、このような戦略的な分割出願が活用できる場面も限定的になる。

 

■ソース
マレーシア特許法
マレーシア特許規則
Practice Direction No. 2/2016
http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2016/08/NoticeClearcut2016.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.08.09

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