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日本とマレーシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

2020年04月23日

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■概要
日本およびマレーシアにおいては、それぞれ所定の期間、特許出願について分割出願を行うことができる。マレーシアにおいては、(特許または拒絶)査定の発行までの期間は、指令分割の場合は当該審査報告書の発行日から3か月以内、自発分割の場合は最初の審査報告書の発行日から3か月以内は分割出願を行うことができる。なお、2016年6月1日発行のPractice Direction No. 2/2016により分割出願期限の起算日が「発行日」に改正された。
■詳細及び留意点
  1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

・平成19年(2007年)3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかにより、時期的要件が異なる。

・平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願を行うことができる。

・平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願を行うことができる。

 

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内(第44条第1項第1号)

 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

  (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)

  (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)

  (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)

  (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)

 (i)前置審査において特許査定がされた場合(第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)拒絶査定不服審判において拒絶査定が取り消され、審決により審査に差し戻され、特許査定がされた場合(第160条第1項)

 

 なお、拒絶査定不服審判を請求した場合の特許をすべき旨の審決の謄本送達後は分割出願することはできない。加えて、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

 

条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

 

一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。

 

二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定及び第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。

 

三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内にするとき。

 

2~4(略)

 

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその新たな特許出願をすることができる。

 

  1. マレーシアにおける特許出願の分割出願の時期的要件*1

(a)指令分割(単一性要件違反の指摘を含む審査報告書に対して行う分割出願)の場合、特許規則19A(a)に基づき、当該審査報告書の発行日から3か月以内

 

(b)自発分割(出願人が自発的に行う分割出願)の場合、特許規則19A(b)に基づき、最初の審査報告書の発行日から3か月以内

 

*1: 2016年6月1日発行のPractice Direction No. 2/2016により分割出願期限の起算日が「the date of mailing」から「the date of examination report」に改正された。

 

条文等根拠:特許法第26B条、特許規則19A

 

マレーシア特許法 26B 出願の分割

(1)出願人は、所定の期間内に、その出願を2以上の出願に分割することができる(「分割出願」)。

ただし、個々の分割出願は、原出願における開示を超えてはならない。

 

(2)個々の分割出願は、原出願の優先日を享受するものとする。[法律A648:s.14による挿入、法律A863:s.13による改正]

 

マレーシア特許規則 19A 出願の分割

特許法第26B条(1)の適用上、

(a)ある出願が、特許法第26条の違反を理由に同法第30条(1)または第30条(2)の下になされた審査に関する審査官の報告書中の異論に従い分割される場合、かかる分割の申立は、当該報告書が発行された日から3か月以内になされなければならず、また

 

(b)その他の場合は、出願は、出願人自身の自発的意志により、特許法第30条(1)または第30条(2)に基づき作成された審査官の最初の報告書の発行日から3か月以内に、分割を申し立てることができる。

 

日本とマレーシアにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

マレーシア

 

 

分割出願の時期的要件(注)

 

 

補正ができる期間

(指令分割の場合)
審査報告書の発行日から3か月以内

(自発分割の場合)
最初の審査報告書の発行日から3か月以内

(注)査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

 

 

■ソース
・日本特許法
・日本特許・実用新案審査基準
・マレーシア特許規則
・Practice Direction No. 2/2016
http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2016/08/NoticeClearcut2016.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.07.12

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