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台湾における新規性喪失の例外について

2020年04月14日

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■概要
台湾における専利出願において、所定の公知事実については、専利法上の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる。特許・実用新案出願、意匠出願のいずれにも当該規定が設けられている。
なお、2017年5月1日より新規性喪失の例外の適用対象が拡大され、また、特許および実用新案の適用期間が改正された。
■詳細及び留意点

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新規性喪失から出願手続までの概要

 

1.新規性喪失の態様

(i)刊行物への掲載(専利法第22条第1項第1号)

 ここでいう刊行物とは、公開発行することを目的として、文字や図面などの方式で記載する情報伝達媒体のことを指す。世界のどのような場所または文字で公開されているかを問わず、手書きのものでも構わない。インターネット上の情報の他、学生論文、交談記録、講演原稿、放送内容も含まれる(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.2.1)。

 

 公開発行とは、実際に公衆に開示することのみならず、知られる状態に置く場合も含まれる。公衆が実際に閲覧してその内容を知る必要はない。書籍や学術論文を図書館の閲覧コーナーに置く、或いは図書館の図書目録に編集された状態も公開発行に該当する。但し、内部刊行物は、外部に公開頒布された証拠がない限り、公開発行に該当しない(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.2.3)。

 

 審査で引用される公開発行の刊行物は、当該専利の出願日より前(出願当日を含まない)のものとなり、優先権を主張する場合は、優先日より前(優先権当日を含まない)のものとなる。重版の刊行物は、初版発行日が公開日となる(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.2.2)。

 

(ii)公然実施(公用)(専利法第22条第1項第2号)

 ここでいう実施とは、物品或いは方法に技術・機能を応用する実施行為の他、製造、販売の申し出、販売、輸入する行為も含まれる(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.3)。これらの実施行為により技術内容が開示されるか、公衆に知られる状態にするのが、ここでいう公然実施である。公然実施があれば、実際に公衆に知られたかは問わない(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.3)。

 

(iii)公衆に知られていること(公知)(専利法第22条第1項第3号)

 上記以外の行為により技術開示がなされて公知になった状態が該当する。例えば、会話、講演、会議、ラジオ放送やテレビ放送、模型やサンプルを展示することが挙げられる(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 2.5.4)。

 

2.特許・実用新案出願の場合

 公知になった場合でも、出願人の意図または意図に反した漏洩のいずれかによる公知であれば、その公知事実に基づいて新規性を否定されない。ただし、法に基づき台湾または海外の公報に公開されたことが出願人の意図による場合は適用されない(専利法第22条第3項、第4項)。

 

(i)新規性喪失の例外事由

 新規性または進歩性喪失の例外は、特許公報でなされた公開が適用から除外され、「出願人の意図による公開」と「出願人の意図に反する公開」という2つの状況が適用対象となる。

 いわゆる「出願人の意図による公開」とは、公開は出願人の意思によるもので、出願人自らがなしたものに限らない。この状況の公開の行為主体には出願人、出願人が委任、同意、指示した者等を含む。出願人が2人以上であるとき、以前の公開行為は出願人全体が行ったものである必要はなく、個別の出願人が単独で行ったものでもよい。さらに個別の出願人がその他の出願人の同意を得たか否かを問わず、いずれも「出願人の意図による公開」に該当する。

 いわゆる「出願人の意図に反する公開」とは、出願人が公開を望まないのに公開されてしまったものをいう。この状況の公開の行為主体には出願人から委任、同意、指示を受けていない者、秘密保持義務に違反するまたは違法の手段での発明に係る脅迫、詐欺、窃取を行う者等が含まれる(専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 4.5)。

 

(ii)適用可能期間

 新規性喪失した日の翌日から起算して12か月以内である。新規性を喪失してから日本に特許出願してパリ優先権主張を伴う専利出願を台湾にする場合、新規性喪失の例外規定が適用される期間は、パリ優先権主張の有無に関係なく、新規性喪失した日の翌日から12か月なので、注意を要する(専利法第22条第3項、専利審査基準 第二篇 特許の実体審査 第三章 特許の要件 4.3)。

 

(iii)証明書

 新規性喪失の例外の適用を受ける意思表示は願書で行い、新規性喪失の例外が適用される事実を示す証明書を添付する必要がある。証明書は形式如何を問わず、規定された例外事由に該当することが示されていればよい(専利法施行細則第16条第3項)。

 

3.実用新案出願の場合

 専利法の特許出願における新規性喪失の例外の規定を準用しており、特許出願の新規性喪失の例外規定の適用と同様の適用を受けることができる(専利法第120条で準用する第22条第3項)。

 

4.意匠出願の場合

 意匠出願においても新規性喪失の例外の規定がある。出願人の意図によるものまたは意図に反する漏洩について、新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる。ただし、法に基づき台湾または海外の公報に公開されたことが出願人の意図による場合は適用されない(専利法第122条第3項、第4項)。

 なお、意匠の新規性喪失の例外が適用可能となる期間は新規性を喪失した日の翌日から起算して6か月以内である(専利審査基準 第三篇 意匠の実体審査 第三章 意匠登録の要件 4.3)。

 

5.留意事項

 新規性喪失の例外規定を適用しても、出願日が新規性を喪失した日に遡及するわけではない。つまり、新規性喪失の例外の適用を受けて特許出願をしても、第三者が同じ技術を出願前に公知にしていれば、その特許出願は新規性がないとして拒絶される。また、第三者が同じ技術を先に特許出願している場合も、先願主義に従い、後の特許出願は拒絶される。新規性喪失の例外の適用を受けられる場合でも、このようなリスクを避けるため、できるだけ早く出願する必要がある。

■ソース
台湾専利法
http://law.moj.gov.tw/LawClass/LawContent.aspx?PCODE=J0070007 台湾専利審査基準 第二編 特許実体審査 第三章 特許要件
http://chizai.tw/uploads/20170929_1553430151_20170929-%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%AF%87%E7%AC%AC3%E7%AB%A0%EF%BC%8820170701%E6%96%BD%E8%A1%8C%EF%BC%89-j.pdf 台湾専利審査基準 第三篇 意匠の実体審査
https://www.tipo.gov.tw/public/Attachment/74281573129.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.08.16

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