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日本とベトナムにおける特許審査請求期限の比較

2020年04月02日

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■概要
(2022年10月4日訂正:
本記事のソース「ベトナム産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号」のURLが、リンク切れとなっていたため、修正いたしました。)

日本における特許の審査請求の期限は、日本出願日(優先権主張の有無にかかわらず)から3年であり、ベトナムにおける特許の審査請求期限は出願日(優先権主張を伴う場合には優先日)から42か月である。
■詳細及び留意点

1.日本における審査請求期限

日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

 

出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

 

PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

 

なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

 

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第4項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

 

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

特許出願があったときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

 

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

 

4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

 

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。

 

7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかった場合に準用する。

 

8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があったときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

 

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあっては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

 

2.ベトナムにおける審査請求

ベトナムにおいては、実体審査を受けるためには実体審査請求を行う必要がある。実体審査請求は、出願日または該当する場合は優先日から42か月以内に行うことができる。実体審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

なお、ベトナムにおいては何人も実体審査請求を行うことができる。

 

条文等根拠:知的財産法第113条第1項および第3項、産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号第25条1.a (ii)

 

ベトナム知的財産法 第113 発明登録出願の実体審査請求 第1項

(1)出願日または該当する場合は優先日から42か月以内に、出願人または如何なる第三者も、国家工業所有権庁に対して、実体審査手数料を納付することを条件として、当該出願の実体審査を請求することができる。

 

ベトナム知的財産法 第113 発明登録出願の実体審査請求

第3項

本条1項および2項に規定する期限内に実体審査が請求されなかった場合は、当該特許出願は、当該期限の満了時に取り下げられたものとみなす。

 

ベトナム産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号 第25条1.a (ii)

実体審査請求は、特許出願については優先日から42か月、実用新案出願については36か月以内に提出しなければならない。実体審査期限は、不可抗力事象(自然災害、戦争等)や客観的障害(病気、出張など)が存在する場合*1には延長することができるが、6か月を超えてはならない。

*1: 2018年1月15日施行の産業財産権に関する省令第16/2016/TT-BKHCN号により変更された。

 

◆日本の基礎出願について優先権を主張しベトナムに出願した場合には、以下のようになる。

日本とベトナムにおける特許審査請求期限の比較

  日本 ベトナム
提出期限 3年 42か月
基準日 日本の出願日 日本の基礎出願日(優先日)
■ソース
日本特許法
ベトナム知的財産法 法律50/2005/QH11(2005年11月29日発行)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/626826/5.1.+Luat+So+huu+tri+tue+2005.pdf/5a8cbdf8-c7c1-457e-b9db-b5a696a76ed7 ベトナム知的財産法(改正) 法律36/2009/QH12(2009年6月19日発行)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/626826/5.2.+Luat+So+huu+tri+tue+sua+doi.pdf/a268a18f-eb19-4884-892e-eeae913d7d47 ベトナム産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号(2007年3月1日施行)
https://www.most.gov.vn/vn/Pages/ChiTietVanBan.aspx?vID=28583&TypeVB=1 ベトナム産業財産権に関する省令第16/2016/TT-BKHCN号(2018年1月15日施行)
https://www.most.gov.vn/vn/Pages/ChiTietVanBan.aspx?vID=28856&TypeVB=1
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.07.11

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