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日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

2020年03月24日

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■概要
(本記事は、2024/10/17に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/40075/

(2022年7月26日訂正:
本記事のソース「台湾専利法」のURLが、リンク切れとなっていたため、修正いたしました。)

日本および台湾においては、それぞれ所定の期間、特許出願について分割出願を行うことができる。台湾においては、原出願の特許査定書の送達日から30日以内、または、原出願の再審査の査定前に分割出願を行うことができる。なお、2019年11月1日施行予定の改正専利法により特許査定後の分割出願の可能な期間が特許査定書の送達日から3か月になることが公表されている。
■詳細及び留意点

1.日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかによって、時期的要件が異なる。

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願することができる。

 平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願することができる。

 

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内(第44条第1項第1号)

なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

 (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)

 (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)

 (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)

 (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)

 (i)前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定

 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。

一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。

 

二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定及び第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。

 

三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内にするとき。

2~4(略)

 

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条又は第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその新たな特許出願をすることができる。

 

2.台湾における特許出願の分割出願の時期的要件

・原出願の再審査の査定前に分割出願が可能

・原出願の特許査定書の送達日から3か月以内*1に分割出願可能

 

条文等根拠:専利法(日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当。以下「専利法」。)第34条、第157条の3

 

台湾専利法 第34

特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知または出願人の請求により、出願を分割することができる。

 

分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。

原出願の再審査の査定前

原出願の特許査定書の送達日から起算して3か月以内*1

 

分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。

 

分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲または図面に開示された範囲を超えてはならない。

 

第2項第1号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。

 

第2項第2号規定により分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。原出願は、査定時の特許請求の範囲および図面をもってこれを公告するものとする。

 

台湾専利法 第157条の3*2

本法中華民国108年(西暦2019年)4月16日改正法の施行前に、すでに査定又は処分された専利出願について、第34条第2項第2号、第107条第2項第2号に規定された期間を越えていない場合、改正施行後の規定を適用する。

 

*1: 2019年11月1日施行予定の改正専利法により特許査定後の分割出願の可能な期間が30日から3か月になることが公表されている。第157条の3に基づき2019年8月1日の登録査定から遡及適用される。

 

*2: 2019年11月1日施行予定の改正専利法に新設された。

 

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

台湾

分割出願の時期的要件(注)

補正ができる期間

出願係属中
原出願が初審査、または再審査係属中に可

(注)査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

■ソース
台湾専利法
https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.07.03

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