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韓国意匠出願手続における期日管理
2020年03月19日
■概要
韓国におけるデザイン(意匠)出願から登録までにおいて、手続上定められた期日がある。延長が可能なものと不可のものがあるので、十分注意して期日管理を行う必要がある。■詳細及び留意点
(1)デザイン出願
パリ条約による優先権主張する場合は、第1国出願の出願日から6か月以内に韓国に出願しなければならない。この期間は不変期間である(デザイン保護法第51条)。優先権主張をしない場合は、新規性喪失の例外規定が適用される場合を除いて、国内外に公知になる前に出願しなければ新規性は認められない。
(2)委任状
代理人によって出願をする場合、デザイン出願時に委任状を提出しなければならない。委任状を出願と同時に提出しない場合は、通常30日以内に委任状を提出することを要求する補正指示書が出される。この期間は1か月の延長が可能である(通常は4回まで延長可能)。韓国は包括委任制度が採択されており、包括委任状を一回提出すれば、その後の出願等の手続きには委任状は必要ない。
(3)新規性喪失の例外
出願前に販売または展示場に出品した場合は、優先権主張と関係なく、公知された日から12か月以内に韓国に出願しなければ新規性喪失の例外規定を受けられない。なお、新規性喪失の例外の主張が可能な期間は第62条のよる「デザイン登録拒絶決定」または第65条による「デザイン登録決定」の通知書の発送前までである(デザイン保護法第36条)。また、新規性喪失の例外の適用を受けても、適用を受けることができる公知デザインで新規性などを否定されないという効果に留まり、出願日は実際に韓国に出願した日である。よって、この規定に基づく出願をする場合でも、先出願の地位を確保するために、優先権主張もしながら可能な限り早く出願するのが望ましい。その理由は、公知日から優先権主張日の間に第三者の同一創作の出願がある場合、本人も第三者も登録を受けることができなくなるからである。
(4)審査時の拒絶理由通知書
審査時に拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受け取った場合、意見書および補正書の提出期日は、通常発送日から2か月にあたる日が期日として明記・指定されている。この期日は、1か月ずつ4回延長が可能で、必要ならば4か月を一度に延長することも可能である。延長費用は、1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォン、3回目は6万ウォン、4回目は12万ウォン、一度に4か月延長する場合は23万ウォンである。
(5)再審査請求
審査で拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)を受けた場合、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内にデザイン登録出願書に添付された図面、図面の記載事項および写真や見本を補正して、当該デザイン登録出願に関する再審査を請求することができる(デザイン保護法第48条、64条、120条、160条)。なお、再審査請求をするときには補正は必須である(補正を希望しない場合は、再審査請求ではなく拒絶査定不服審判を請求することができる)。上記期間は、外国人の場合30日ずつ2回(内国人は1回)延長することができる。1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォンである。(デザイン保護法第17条、第64条)
(6)拒絶査定不服審判
審査または再審査で拒絶査定を受けた場合、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内に特許審判院に拒絶決定不服審判を請求することができる。この期間は、外国人の場合30日ずつ2回(内国人は1回)延長することができる。1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォンである。(デザイン保護法第17条、第120条、127条)。
審判請求書には請求の理由を記載しなければならないが、具体的な請求の理由は後に提出が可能である。具体的な請求の理由を記載しないで審判請求書を提出する場合は、補正命令を受けるので、該当補正命令書に記載されている期限までに請求の理由を提出すればよい。この期限は延長が可能である(延長回数や期間についての定めはない)。また、請求の理由を提出した後は、審理終結前までは自発的に何度でも請求の理由を補充することは可能である(審判便覧第3編第4章 4.請求理由の補充がある場合の取扱い)。
(7)異議申立
デザインにおける異議申立制度は、デザイン一部審査登録出願にのみ適用される。デザイン一部審査登録出願は、方式審査後、登録公告決定されるが、異議申立は、デザイン権の設定登録がある日から登録公告日後3か月以内にすることができる(デザイン保護法第68条)。なお、異議申立を行った場合、異議申立の期間経過後30日以内であれば異議申立の理由および証拠を補正することができる。(デザイン保護法第69条)。
(8)登録査定
審査で登録査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)を受けた場合、登録査定日から3か月以内に3年分の登録料を納付しなければならない(デザイン保護法第79条)。この期間が経過すれば、6か月の追納期間内に追加費用が付加される(デザイン保護法第82条)。
【留意事項】
(1)期間を延長する際、特に送達日から計算が必要な場合等、十分注意を払う必要がある。期間計算は、2か月延長するのかまたは1か月の期間延長を2回分まとめてするのか等様々な事情により少しずつ異なり得るため、考えられ得る候補日の中で一番直近の期日を念頭に置いて手続きを行うのが安全である。なお、韓国では、デザイン関連の期間計算方法はデザイン保護法第16条で定められており、原則として初日不算入である。
(2)期間延長申請手続は期限前に行っても期限の翌日から計算される。例えば、期日が25日である場合、5日前の20日に1か月の期間延長申請をしたとしても、次の期日は翌月の(20日ではなく)25日となる。
■ソース
・韓国デザイン保護法・特許料等の徴収規則
・審判便覧(下記ウェブサイト内のPDFファイル)
https://www.kipo.go.kr/ipt/BoardApp?boardType=publication&c=1003&seq=3469
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■協力
崔達龍国際特許法律事務所■本文書の作成時期
2019.07.01