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トルコにおける特許を受けることができる発明とできない発明

2019年12月05日

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■概要
トルコにおける特許および特許の保護については、産業財産法第6769号で規定されている。産業財産法は、特許性の要件および特許を受けることができない発明に関する明確な規定を有する。
■詳細及び留意点

 産業財産法第82条第1項によると下記のものは発明の性質を有していないとみなされる。すなわち、特許性の他の要件を満たしたとしても、下記のいずれかの事項または活動に該当する場合、その事項または活動自体は、特許を受けられない。

(1)発見、科学理論、数学的方法

(2)精神的活動、取引または商行為および遊戯を行うための計画、方法、枠組みおよび規則

(3)コンピュータ・プログラム

(4)美的性質を有する生産物、文学および芸術作品、並びに科学作品

(5)情報の提供

 

 さらに、産業財産法第82条第3項によれば、下記の発明は特許を受けることができない。

(1)公共の秩序または公序良俗に反する発明

(2)植物または動物の生産に関する本質的な生物学的方法および植物または動物の品種。ただし、微生物学的方法または微生物学的方法による生産物を除く。

(3)人体または動物の体に適用される手術方法および診断方法を含む、すべての治療方法

(4)形成または発達の様々な段階における人体およびある遺伝子配列または一部の遺伝子配列を含む人体の一部の単なる発見

(5)人間のクローン作成プロセス、人間の伴性遺伝の遺伝的同一性の変更プロセス、人間の胚を産業または商業の目的で使用すること、人間または動物に重要な医学的効用を提供せずに動物に痛みを与える可能性がある遺伝的同一性の変更プロセスおよびその結果得られる動物

 

 産業財産法第82条第1項で規定されているように、コンピュータ・プログラムそれ自体は範囲外となるが、技術的な問題を解決するコンピュータ・プログラムまたはコンピュータ・プログラムを内蔵する装置は特許により保護されうる。例として、2つのモバイルデバイス間でより速いデータ通信を提供する手段を実現するコンピュータ・プログラム、通信システムの資源割当を実現するプログラムまたはデータの暗号化を提供するプログラムなどが挙げられる。

 

 トルコはTRIPS協定や欧州特許条約(以下「EPC」という)などの国際条約に加盟している。憲法第90条第5号によると、適切に施行された基本的権利および自由に関する国際条約と法律が、同一の問題で異なるルールを含むために不一致が発生する場合、国際条約のルールが適用される。TRIPS協定第27条の規定およびEPC第52条(1)の同様の規定により、コンピュータ・ソフトウェアが実装されたコンピュータ装置に関する発明は、トルコにおいて特許性があると考えられる。しかし、ソフトウェアを直接的に特許により保護することはできない。ソフトウェアおよびソースコードはトルコにおいて知的および美術的著作物法第5846号により、著作権により保護されている。

 

 トルコ憲法第90条によると、適切に施行された国際条約は法令とみなされ、EPC規則もトルコ共和国の法律と同様の法的効果を発生するため、EPO審判部の決定は、トルコ特許商標庁(以下「TÜRKPATENT」という)の判断にも影響を与えるはずであるところ、たとえばEPO審判部の審決T1173/97によれば、ソフトウェアが特許適格とされるためには、1個のソフトウェア・プログラムと1個のコンピュータの間に通常の技術的相互作用を超えたさらなる技術的効果が存在しなければならないとされている。

 

 産業財産法によると、医療目的の医薬品はその他の要件が満たされた場合特許を受けることができるが、人間または動物の体に適用される診断方法を含む全ての治療方法は特許の範囲外となる。これは、一般大衆の利益を考えれば、一人の権利所有者に治療方法に関する独占権を与えることが望ましくないという理由に基づく。

 

 TÜRKPATENTの実務によれば、医薬品については、新規の有効成分が他の特許要件を満たす限りにおいて特許権の対象となりうることに加え、既存の有効成分であっても、その有効成分が新たにある病気の治療に用いることができることが発見された場合も、他の特許要件を満たすものであれば、その既存の有効成分は、特許権の対象となりうる。

 

 動植物の生産に係るバイオテクノロジーに関する発明は特許を受けることができない。また、産業財産法によると、微生物発明を除く、植物または動物の生産に関する本質的な生物学的方法および植物または動物の品種も特許保護の対象外とされている。

 

 TRIPS協定第27条第3項の規定によれば、加盟国は、微生物以外の植物および動物、ならびに、植物または動物の生産に関する実質的に生物学的といえる方法(生物学的ではないものまたは微生物学的方法のものを除く)は特許付与の範囲外とすることができる。しかし、EPC第53条(b)によると、微生物学的な方法およびその方法により得られた生産物には特許が与えられる可能性がある。

■ソース
・トルコ特許商標庁ウェブサイト
http://www.turkpatent.gov.tr/TURKPATENT/ ・トルコ産業財産法第6769号
http://www.mevzuat.gov.tr/MevzuatMetin/1.5.6769.pdf ・トルコ産業財産法第6769号の適用に関する規則
https://www.turkpatent.gov.tr/TURKPATENT/resources/temp/C633D924-0B9B-4A65-80BE-FA6C55E9BE0E.pdf ・トルコ共和国憲法
https://global.tbmm.gov.tr/docs/constitution_en.pdf ・欧州特許条約(EPC)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/epo-jyouyaku.pdf ・TRIPS協定
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/trips/index.html ・EPO T1173/97 (Computer program product/IBM) of 1.7.1998
https://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/recent/t971173ex1.html
■本文書の作成者
ベーカー&マッケンジー法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.02.06

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