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トルコにおける商標異議申立制度
2019年12月05日
■概要
トルコにおける商標については、2017年1月10日に施行された産業財産法(法律第6769号、以下「産業財産法」)および2017年4月24日に施行された産業財産法の適用に関する規則で規定されている。出願要件を満たし、かつ絶対的拒絶理由による拒絶の対象となっていない商標出願は、商標公報で公告される。異議申立は、商標出願の公告後2月の間可能である。異議申立期間は延長されない。
■詳細及び留意点
【詳細】
産業財産法第5条で商標登録の絶対的拒絶理由が、同第6条で商標登録の相対的拒絶理由が規定されている。
商標登録の絶対的拒絶理由は下記のとおりである。
(1)産業財産法第4条により商標とならない標章
(2)識別性がない標章
(3)種類、特徴、品質、意図された目的、価値若しくは産地を示すために、または商品もしくは役務の生産時期その他の特徴を示すために取引で使用される要素または特徴のみにより、または専らかかる要素もしくは特徴により構成される商標
(4)同一または類似の商品および役務に関して、先に登録された商標または先に出願された商標と同一のまたは区別できない程度に類似する商標
(5)取引実務において全ての当事者が広く使用している表記もしくは名称のみにより、または専らかかる表記もしくは名称により構成されている商標、または、特定のグループの職人、商人または専門家を識別するために使用されている商標
(6)商品の形状、商品の性質に由来する実質的な価値をその商品に与える形状、または技術的結果を得るために必要な形状からなる標識
(7)商品および役務の質や産地について公衆を欺く可能性のある商標
(8)パリ条約第6条の3により拒絶される標章
(9)パリ条約第6条の3には該当しない場合でも、歴史的および文化的価値に基づいて一般に知られたバッジ、エンブレムまたは盾および標識が組み込まれた商標
(10)宗教的シンボルを含む標章
(11)公の秩序または道徳に反する標章
(12)登録された地理的表示から成り立つまたは登録された地理的表示を含む標章
また、商標登録の相対的拒絶理由は下記のとおりである。
(1)同一または類似の商品または役務に関する同一または類似の先行商標が存在するために、先行商標と関連することを含め公衆に混同を生じさせる可能性が存在する場合
(2)商標所有者の代理人が、所有者の同意または正当な理由なく、自己の名義で登録出願をした場合
(3)未登録の商標その他の商標に関する権利が、出願日または優先日の前に取得されている場合
(4)商標が、同一または類似の商品および役務に関して、パリ条約の第6条(2)に該当する周知の商標と同一または類似である場合
(5)商品および役務が同一または類似していない場合でも、登録商標または先に出願された商標が公衆からの評判を有していて、かかる評判のため、出願された商標が、正当な理由なしに不当な利益を得るか、先行商標の評判を毀損しまたはその特徴を害する場合
(6)商標に名称、会社名、写真、著作物その他の知的財産が含まれている場合
(7)出願商標が、同一または類似の商品および役務につき登録された団体商標または保証商標であり、出願商標が、団体または保証商標の不更新に伴う存続期間満了から3年以内に出願された場合
(8)出願された商標が、同一または類似の商品および役務に関して、先行商標と同一または類似しており、出願された商標が、先行商標の不更新に伴う存続期間満了から2年以内に出願されている場合
(9)出願された商標が不正の目的で出願された場合
異議申立期間は、商標出願の公告から2月の間である。
異議申立は、書面で理由を記載し、TÜRKPATENTに提出する必要がある。異議申立が規定されている期間内に提出されない場合、異議申立はなかったものとみなされる。また、異議申立の審査のためには、異議申立期間内に料金が支払われ、その支払いに関する情報をTÜRKPATENTに提出する必要がある。
TÜRKPATENTは、被異議申立人に、異議申立に関する意見を提出するための期間として1月期間を与える。TÜRKPATENTは必要に応じて、追加の情報、書類および理由に関する説明を行うために、当事者にさらに1月の期間を与えることもできる。この期間内に要求された追加の情報、書類、説明および見解を提出しない場合、異議申立は存在する情報および書類により審査される。
TÜRKPATENTから不利な決定を受けた当事者は、決定が通知されてから2月以内に、書面で理由を付して、再審査部に不服申立てをすることができる。この再審査部がTÜRKPATENTの最終決定機関となる。再審査部から不利な決定を受けた当事者は、決定の通知日から2月以内に管轄裁判所に訴訟を起こすことができる。
トルコを対象国として選択してなされた国際登録出願に基づく出願も、トルコに直接行われた国内出願と同じ異議申立理由が適用される。国際登録出願に異議申立がされた場合、その異議申立についての結果のみがWIPO国際事務局へ通知される。トルコの国内出願と大きく異なる点は、国際登録出願人に対して、異議申立の審査中に、異議申立がなされた場合の通知が行われず、異議申立が認められたか否かが通知されるにとどまることである。このため、異議申立に対して意見を提出する機会を失わないために、出願人が出願状況を追跡することが重要である。異議申立に対する意見を提出しない場合、決定に対する不服申立手続が使用できるのみとなる。
【留意事項】
産業財産法では、第三者による意見提出も規定されている。商標出願の公告後、何人も、商標出願が同一、または類似の商品もしくは役務に関して登録されていること、またはその他所定の理由で登録できないことを理由とともに記載した書面を、商標が登録されるまでの間、TÜRKPATENTに提出することができる。
■ソース
・トルコ特許商標庁ウェブサイトhttp://www.turkpatent.gov.tr/TURKPATENT/
■本文書の作成者
ベーカー&マッケンジー法律事務所■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2019.02.18