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トルコ商標制度概要

2019年11月28日

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■概要
トルコにおける商標保護は、産業財産法(法律第6769号、以下「産業財産法」)で規定されている。原則として、商標権は登録により成立し付与されるが、産業財産法は、商標を登録せずに使用している者にも先使用者としての優位性を与えており、登録された商標権に対して、その商標を、より以前から使用しており、かつ初めて作り出したことを証明した先使用者は保護されうる。

■詳細及び留意点

 トルコ特許商標庁(以下、「TÜRKPATENT」)に行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査され、絶対的拒絶理由の審査を通過した商標は、商標公報(以下、「公報」)で公告される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人により絶対的または相対的拒絶理由に基づいて異議申立が可能である。

 商標登録の有効期間は、出願日から10年である。商標登録更新料を支払うことにより、10年ごとの更新が可能となっている。登録日から5年間使用されていない商標は、商標の不使用取消請求により取り消される。

 

1. 産業財産法

 トルコの国内法において商標法は、2017年1月10日に施行された産業財産法第6769号および2017年4月24日に施行された産業財産法の適用に関する規則で規定されている。

トルコは、「先使用主義」を認めている。

 

2. 標章

 ある商品または役務を、他の事業の商品または役務から区別し、商標として登録された場合に、その商標権者に保証される保護の対象を明確に理解できる形式で登録簿に表示できる場合には、下記の標章は商標として登録される。

・文字

・名称

・図形

・立体的形状

・色彩(審査は、色彩が具体化された一定の形の中で使用される場合、識別性を有するか否かの観点から行われる。)

・スローガン

・音

・匂い(出願に化学式を添付する必要がある。)

・トレードドレス

・動き(動きの標章を示す画像の連続は動きの出願時に提出する必要がある。さらに、明確で包括的な動きの説明、提出された画像の説明ならびに画像の数および順番を含む動きの明細書が提出される必要がある。出願対象の動きに関する電子ログを、コンピューター環境で見て保存することができる形で保存されたCDを出願時に提出する必要がある。)

 TÜRKPATENTは、味の商標に関する出願を認めていない。

 

3. 分類

 トルコにおいて、商品および役務は、「標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」(以下、「ニース協定」)に従って分類される。

 商標出願は、複数の分類についても行うことができる。

 商標出願は、出願人の要求に基づいて、TÜRKPATENTにより出願が登録されるまで、複数の出願に分割することができる。分割のために、申請書および料金の支払いを示す書類をTÜRKPATENTに提出する必要がある。登録された商標は分割することができず、分割された出願は、再度まとめることができない。

 

4. 出願

 商標出願は、TÜRKPATENTが有効と認める出願フォームを用いて作成し、TÜRKPATENTに提出する。出願フォームには、下記の情報を記載する必要がある。

  • 出願人の身分および連絡先情報
  • 出願が代理人により行われる場合、代理人の身分および連絡先情報
  • 優先権の主張があれば、その優先権に関する情報
  • 商標の見本
  • 商標の見本でローマ字以外の文字が使用されている場合、その文字に対応するローマ字
  • 商標出願に係る商品または役務のニース協定における区分番号およびこの番号に従って作成されたリスト
  • 権限者の署名
  • 出願料、出願範囲内に複数の商品または役務の分類がある場合、追加の分類の料金が支払われたことを示す書類
  • 同意書が提出される場合には、その同意書に関する情報
  • 共同出願人の代表者がいる場合には、その代表者に関する情報
  • 追加の文書や添付資料がある場合には、それらの資料に関する情報

 

 優先権を主張する場合は、下記の情報もTÜRKPATENTに提出する必要がある。

  • 所轄官庁から取得した優先権を示す書類の原本および特定の要件(トルコ国籍、大学以上を卒業、十分な外国語能力があることの証書を有する等)を満たす翻訳者が承認したトルコ語翻訳(出願から3月以内にTÜRKPATENTに提出されない場合、優先権を利用することはできない)
  • 優先権の主張に関する料金が支払われたことを示す書類

 

 パリ条約またはWTO設立協定の加盟国の国民またはこれらの国の国民ではないが居住所または商業施設がこれらの国にある自然人、法人、またはこれらの相続人は、これらの政府の所轄官庁に、商標登録のために適切に行った出願日から6月以内にパリ条約の条項の範囲内で同一の商標および商品および役務について、トルコでの出願について優先権を利用することができる。

 

 商標出願は、電子署名(GSMの認証するモバイル証明を含む。以下同じ。)を使用して、または予約による出願により、行うことができる。

 

予約による出願:電子署名所有者でないものは、個人番号または税金番号により、オンライン文書システムにログインし、出願を開始することができる。この場合、予約システムにより作成された出願フォームを30日以内にTÜRKPATENTに持参または郵送により提出することにより出願業務は完了する。

 

オンライン出願:電子署名所有者は、出願業務を電子署名によりオンライン文書システムにログインすることで行うことができる。

 

5. 審査

 TÜRKPATENTに行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人は、絶対的および相対的拒絶理由に基づいて異議申立を行うことができる。

 公告された商標について、異議申立がなされなかった場合、または行われた異議申立が最終的に理由なしとされ、登録料が支払われたことに関する情報を含む不足書類が、期間内にTÜRKPATENTに提出された場合、出願は登録簿に登録され、公報で公告される。

 絶対的拒絶理由に基づいて、TÜRKPATENTにより商標出願が拒絶された出願人は、決定通知日から2月以内に、書面で理由を記載してTÜRKPATENTの決定に異議申立を行うことができる。

 出願人の異議申立がTÜRKPATENTにより認められた場合、商標出願は公報で公告される。

 TÜRKPATENTが、産業財産法の範囲内で行った決定により不利益を被る当事者は、この決定に対し、再審査評価委員会に異議申立を行うことができる。

 異議申立は、決定通知から2月以内に書面で理由を記載してTÜRKPATENTに行われる。異議申立が審議されるためには、異議申立期間内に料金を支払い、同期間内に料金の支払いが行われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出しなければならない。

 TÜRKPATENTは、異議申立に関する見解を通知するために、出願人に1月の期間を与える。

 再審査評価委員会決定により不利益を被る当事者は、決定に対し、決定が自身に通知されてから2月以内に、アンカラの民事知財裁判所に訴訟を起こすことができる。

 

6. 登録証

 産業財産法第22条によると、「出願が瑕疵なく行われ、または瑕疵が除かれ、審査、公告が行われ、異議申立が行われず、または行われた異議申立のすべてが最終的に拒絶され、登録料が支払われたことに関する情報も含む不足文書が期間内にTÜRKPATENTに提出され、すべての段階が完了した出願は登録簿に登録され、公報で公告される」。

 登録証は、その要求があり、料金が支払われた場合に与えられる。

 

7. 更新

 登録商標の保護期間は、出願日から10年である。この期間は10年ごとに更新できる。

 更新請求は、商標権者により、保護期間の満了日の6月前までの期間に行い、同期間内に更新料が支払われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出する必要がある。期間内に請求が行われない、または更新料が支払われたことに関する情報がTÜRKPATENTに提出されない場合、更新請求は、保護期間満了日から6月以内に、追加料金を支払うことにより行うことも可能である。

 

8. 商標の使用

 正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が、登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年連続して中断されている商標は、商標権登録が取消の対象となる。

 商標が、商標権者のライセンスに基づき、ライセンシーによって使用されることも商標者による使用として認められる。

 

 下記の状況も商標の使用とみなされる。

  • 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
  • 商標を輸出のためだけに商品またはその包装に使用すること

 

9. 無効

 絶対的および相対的拒絶理由が存在する商標は、裁判所による商標権の無効に関する決定の対象となる。

 利害関係人、検察官、または関係する公的機関は、商標権の無効を裁判所に請求することができる。

 商標権者は、自らの商標登録より遅れる商標登録について、その商標の使用を知っていた、または知りえたにもかかわらず、連続して5年間の商標の使用を黙認した場合、その商標登録が悪意でなされたものでない限り、自らの商標登録を無効の理由として主張できない。

 先行する商標との混同の可能性(Likelihood of confusionおよびLikelihood of association)があるとの主張により起こされた無効訴訟において、使用証拠の要求は抗弁として主張することができる。この場合、使用に関する5年の期間は、訴訟日を基準とする。無効が要求されている商標の出願日または優先日において、原告の商標が最低5年間登録されている場合、原告は出願日または優先日に、産業財産法第19条第2項で規定されている使用証拠要件を満たしていることを証明する必要がある。

 

10. 商標権の取消

 下記の場合、請求に基づきTÜRKPATENTにより商標権の取消決定がなされる(産業財産法第192条によると、この権限は産業財産法の施行から7年後に、民事知財裁判所からTÜRKPATENTに移転する)。

  • 正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が商標の登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年間連続して中断されている場合
  • 商標登録者が必要な措置等を取らなかった結果、商標が、登録されている商品または役務の普通名称として浸透した場合
  • 商標権者またはそのライセンシーによる使用の結果、商標が登録されている商品または役務の性質、品質または産地に関して、国民に誤解を生じさせる場合
  • 証明商標または団体商標が契約書に反する形で使用されている場合

 

 商標権の取消は利害関係人が請求することができる。商標権の取消請求は、請求日に登録簿に所有者として登録されている者、またはその承継人を相手方として請求する。

 

 

■ソース
・トルコ特許商標庁ウェブサイト
http://www.turkpatent.gov.tr/TURKPATENT/
■本文書の作成者
ベーカー&マッケンジー法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2019.02.18
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