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日本とインドにおける特許出願書類・手続の比較

2019年10月29日

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■概要
主に日本で出願された特許出願を優先権の基礎としてインドに特許出願する際に、必要となる出願書類についてまとめた。日本とインドにおける特許出願について、出願書類と手続言語についての規定および優先権主張に関する要件を比較した。
■詳細及び留意点

 

<日本における特許出願の出願書類>

 

1)出願書類

 所定の様式により作成した以下の書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

条文等根拠:特許法第36条

 

日本特許法 第36条(特許出願)

 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。

 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

 二 発明者の氏名及び住所又は居所

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 発明の名称

 二 図面の簡単な説明

 三 発明の詳細な説明

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。

6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

 二 特許を受けようとする発明が明確であること。

 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。

 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

 

2)手続言語

 日本語

 

3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否

 英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4

 

日本特許法 第36条の2

 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。

2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。

3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。

4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。

6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

 

日本特許法施行規則 第25条の4(外国語書面出願の言語)

 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。

 

4)優先権主張手続

 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を最先の優先権主張日から1年4月、またはその優先権の主張を伴う特許出願の日から4月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。

 また、優先権を証明する書類(優先権証明書)を優先権主張の基礎とした出願日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。

条文等根拠:特許法第43条、特許法施行規則第27条の4の2第3項

 

日本特許法 第43条(パリ条約による優先権主張の手続)

 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日

 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。

4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。

5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。

6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。

7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。

8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。

9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。

 

日本特許法施行規則 第27条の4の2第3項

3 特許法第四十一条第四項及び第四十三条第一項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。

一 特許出願(特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願を除く。)について、同法第四十一条第一項、第四十三条第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から一年四月の期間が満了する日又はこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から四月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)

二 特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願について、同法第四十一条第一項又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日から一年四月、同法第四十四条第一項の規定による新たな特許出願に係るもとの特許出願の日、同法第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係るもとの出願の日若しくは同法第四十六条の二第一項の規定による特許出願の基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から四月又は同法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願をした日から一月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)

三 特許法第四十一条第一項の規定による優先権の主張(同項第一号に規定する正当な理由があるときにするものに限る。)をする場合 当該正当な理由がないものとした場合における当該優先権の主張を伴う特許出願をすることができる期間の経過後二月

四 特許法第四十三条の二第一項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張をする場合 当該優先権の主張に係るパリ条約第四条C(1)に規定する優先期間の経過後二月

 

 

<参考URL>

(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))

https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html

 

<インドにおける特許出願の出願書類(パリルート)>

 

1)出願書類

 特許法および特許規則にて規定された以下の書面を提出する。

・願書(様式1)

・完全明細書(特許請求の範囲、要約および必要な図面含む)(様式2)

・外国出願に関する情報の陳述・宣誓(様式3)(インド出願日から6月以内)

・発明者である旨の宣誓(様式5)

・出願人としての資格の証明(インド出願日から6月以内)

・委任状(様式26)(特許代理人を通じて提出される場合)(インド出願日から3月以内)

 提出する資料が英語で記載されていない場合、その英訳文も提出する。

 

 明細書に記載される請求項中の構成要素の後に括弧で括った参照番号を記載しなければない(規則13(4))。

 要約書の冒頭に発明の名称を記載しなければならない(規則13(7)(a))。要約書中の構成要素の後に括弧で括った参照番号を記載しなければならない(規則13(7)(d))。

 また、要約書は150語を超えてはならない(規則13(7)(c))。

条文等根拠:インド特許法第7条,第8条,インド特許規則10,12,13,135

 

インド特許法 第7条(出願様式)

(1)特許出願については、出願ごとに1発明に限るものとし、所定の様式により特許庁に提出しなければならない。

(1A)インドを指定してされた特許協力条約に基づく各国際特許出願は、対応する出願がインドにおいても長官に提出されているときは、本法に基づく出願とみなされる。

(1B)(1A)にいう出願および指定官庁または選択官庁としての特許庁により処理されるその完全明細書の提出日は、特許協力条約に基づいて付与される国際出願日とする。

(2)出願が発明についての特許出願権の譲渡によって行われるときは、出願とともにまたは出願後所定の期間内に、出願権についての証拠を提出しなければならない。

(3)本条に基づく各出願については、出願人が当該発明を所有している旨を明示し、かつ、真正かつ最初の発明者である旨主張する者を指名しなければならず、またそのように主張する者が出願人または出願人の1でないときは、当該出願にはそのように指名された者が真正かつ最初の発明者であると信じる旨の出願人の宣言を含めなければならない。

(4)各当該出願(条約出願でなくまたはインドを指定して特許協力条約に基づいてされた出願でないもの)には仮明細書または完全明細書を添付しなければならない。

 

インド特許法 第8条(外国出願に関する情報および誓約書)

(1)本法に基づく特許出願人がインド以外の如何なる国においても、同一もしくは実質的に同一の発明について単独でもしくは他の何人かと共同で特許出願を行っている場合、または自己の知る限りにおいて当該出願が、何人かを通じてもしくはその者から権原を取得した何人かによって行われている場合は、当該出願人は、自己の出願とともに、またはその後長官が許可することがある所定の期間内に、次に掲げるものを提出しなければならない。

 (a)当該出願の明細事項を記載した陳述書、および

 (b)前号にいう陳述書の提出後所定の期間内にインド以外の何れかの国にした同一または実質的に同一の発明に係る他の各出願(ある場合)について、インドにおける特許付与日まで、前号に基づいて必要とされる明細を書面で随時長官に通知し続ける旨の誓約書

(2)インドにおける特許出願後であって、それについての特許付与または特許付与拒絶まではいつでも、長官は、インド以外の国における出願の処理に関する所定の明細を提出することを出願人に要求することもでき、その場合、出願人は、自己に入手可能な情報を所定の期間内に長官に提出しなければならない。

 

インド特許規則10(第7条(2)に基づく出願権の証拠の提出期間)

 発明特許の出願権の譲渡によりされた特許出願において、当該出願権の証拠が出願と共に提出されない場合は、出願人は、当該出願の後6月以内に、そのような証拠を提出しなければならない。

 

説明-本条規則の適用上、インドを指定する国際出願に対応する出願の場合における6月の期間は、対応する出願がインドにおいてされた実際の日付から起算する。

 

インド特許規則12(外国出願に関する陳述書及び誓約書)

(1)第8条(1)に基づいて特許出願人による提出を必要とする陳述書及び誓約書は、様式3により作成しなければならない。

(1A)出願人が第8条(1)に基づいて陳述書及び誓約書を提出する期間は、出願日から6月とする。

 

説明-本条規則の適用上、インドを指定する国際出願に対応する出願の場合の6月の期間は、当該対応する出願がインドにおいてされた実際の日付から起算する。

(2)特許出願人が、第8条(1)(b)に基づいて当該人が提出すべき誓約書において、何れかの国において行った他の出願に係る詳細について長官に通知し続けるべき期間は、当該出願日から6月とする。

(3)第8条(2)に基づいて長官によりその旨の命令があるときは,出願人は,発明の新規性及び特許性についての拒絶理由(ある場合)に関する情報並びに容認された出願のクレームを含めて長官が必要とするその他の明細を、長官からの当該通知の日から6月以内に提出しなければならない。

 

インド特許規則13(明細書)

(1)各明細書は、仮明細書か又は完全明細書かを問わず、様式2により作成しなければならない。

(2)第16条に基づく分割出願に係る明細書には、分割出願の出所である原出願の番号への言及を含めなければならない。

(3)第54条に基づく追加特許に係る明細書には、主特許の番号又は場合により主特許の出願番号への言及及び当該発明が既に付与され又は出願された主特許の明細書においてクレームされた発明についての改良又は変更を含む旨の明確な陳述を含めなければならない。

(4)発明が図面による説明を必要とする場合は、当該図面は、規則15の規定に従って作成し、明細書と共に提出し、かつ、図面で示された特徴が括弧に入れたそれぞれの参照記号により辿られるクレームを含め、明細書で詳細に言及しなければならない。

ただし、完全明細書の場合において、出願人が仮明細書と共に提出済みの図面を完全明細書のための図面として又はその一部として採用することを希望するときは、完全明細書において仮明細書と共に提出済みのものであるとして言及すれば十分とする。

(5)発明の理解に不必要であると長官が認める関連性のない事項又はその他の事項は、名称、明細書、クレーム及び図面から除外しなければならない。

(6)完全明細書を添付した出願(条約出願でなく又はインドを指定して特許協力条約に基づいてされた出願でないもの)の場合を除き、当該発明の発明者であることに関する宣言書は、様式5により、完全明細書と共に提出するか、又は完全明細書提出の日から様式4による申請に基づいて長官が許可することがある1月の期間満了前の何れかの時点で提出しなければならない。

(7)(a)第10条(4)(d)に基づいて規定され、明細書に添付される要約の記載は、発明の名称で始めなければならない。発明の名称は、発明の特有の特徴を通常15語以下で開示しなければならない。

 (b)要約には、明細書の記載事項の簡潔な概要を含めなければならない。当該概要は、発明の属する技術分野、既存知識と比較した発明の技術的進歩性及び推論的な用途を除く発明の主要用途を明確に表示しなければならない。必要な場合は、要約は発明を特徴付ける化学式を含まなければならない。

 (c)要約は、通常150語以下で記載しなければならない。

 (d)明細書が何らかの図面を含むときは、出願人は、公開時に要約に添付することができる図面の1図又は例外的に複数の図を要約に表示しなければならない。要約に記載され、かつ、図面により明示される主要な特徴の各々には、当該図面において使用される参照符号を付記しなければならない。

 (e)要約は、特定の技術分野における調査をするため、特に明細書自体を調べる必要があるか否かの評価を可能にするような効率的な文書を構成するように作成しなければならない。

(8)第10条(4)(d)(ii)(A)に基づく寄託についての言及を明細書においてする期間は、出願日から3月とする。

 

インド特許規則135(代理権)

(1)法及び本規則の目的での代理人への授権は、様式26により又は委任状の形式で、当該出願又は書類の提出日から3月の期間内に提出しなければならず、不履行の場合は、当該出願又は書類に関する如何なる行為も当該不備が除去されるまで行えないものとする。

(2)(1)に基づいて委任がされた場合は、代理人に対する法又は本規則に基づく何らかの手続又は事項に関して代理人に対してされる何れの書類の送達も、その者に委任を行った者に対する送達とみなすものとし、何らかの手続又は事項に係る者に対してすることを指示された全ての通信は、当該代理人に宛ててすることができ、かつ、それに関する長官の面前への全ての出頭は、当該代理人が又は当該代理人を介して、することができる。

(3)(1)及び(2)の如何なる規定にも拘らず、長官は、必要と認めるときは、出願人、異議申立人又は当該手続若しくは事項についての当事者の自身による署名又は出頭を命じることができる。

 

2)手続言語

 ヒンディー語または英語

条文等根拠:インド特許規則9

 

インド特許規則9(書類及び写し等の提出)

(1)宣誓供述書及び図面を除き,全ての書類及び写しは次の通りとする。

 (a)ヒンディー語又は英語(長官による別段の指示又は許可がある場合はこの限りでない)により,高さ0.28cm以上の大きく読みやすい文字で,消えにくいインクを用い,行間は1.5行以上のスペースとし,紙の片面にタイプ又は印刷すること

 (b)使用する用紙は,柔軟で,丈夫で,白色で,滑らかで,光沢がなく,耐久性のある約29.7cmx21cmのA4紙で,余白は上及び左に少なくとも4cm,下及び右に少なくとも3cmとすること

 (c)用紙下部の中央にアラビア数字の連番を付すこと,及び

 (d)明細書各頁及びクレーム各頁の5行目毎に,左余白の右半分に付番すること

(2)判読できない又はヒンディー語若しくは英語以外の筆記文字で書かれた署名には,ヒンディー語若しくは英語によるその名称の翻字を大文字で添える。

(3)特許出願がヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表を開示する場合は,ヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表は出願と共にコンピューター解読可能なテキスト形式で提出し,ヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表のプリントは提出の必要がない。

(4)全ての書類の追加の写しは,長官の要求があれば所轄庁に提出する。

(5)出願人及びその他の者の名称及び住所は,それらの者の国籍及び識別に必要なその他の明細と共に,完全な形で提出する。

 

3)手続言語以外の明細書での出願日確保の可否

 不可

 

4)優先権主張手続

 優先権主張を行うことができる。優先権証明書(またはDASコード)は、インド特許出願日から3月以内に提出する必要があり、優先権証明書が英語で記載されていない場合、優先権証明書の認証された英訳文を提出する必要がある。優先権証明書または認証された英訳文を提出していない場合で、長官から要求された場合、その通知の日から3月以内に提出することができる。

条文等根拠︓インド特許法第136条、第138条、インド特許規則121、長官通知2018/63

 

インド特許法 第136条(条約出願に関する特則)

(1)各条約出願には、

 (a)完全明細書を添付し、

 (b)保護出願又は場合により最初の保護出願をした日及び条約国を明示し、また

 (c)出願人又はその前権原者がその日前に条約国において当該発明に係る保護出願を一切したことがない旨を記載しなければならない。

(2)第10条の規定に従うことを条件として、条約出願と共に提出された完全明細書については、条約国においてされた保護出願に係る発明の改良又は追加についてのクレームであって、当該出願人が第6条の規定に基づき別個の特許出願ができた筈の改良又は追加についてのクレームを含むことができる。

(3)条約出願は、本法の規定に基づいて当該出願ができた筈の日付より後の日付まで、第17条(1)に基づいて、後日付とすることはできない。

 

インド特許法 第138条(条約出願に関する補則)

(1)この章の規定に従って条約出願をする場合において、出願人は、長官から要求されたときは、完全明細書に加え、第133条にいう条約国の特許庁に対して当該出願人が提出しもしくは寄託した明細書またはこれに対応する書類であって、長官の納得するように認証されたものの写しを、長官による通信の日から所定の期間内に、提出しなければならない。

(2)当該明細書またはその他の書類が外国語による場合において、長官から要求されたときは、当該明細書またはその他の書類の英語による翻訳文であって宣誓供述書またはその他により長官の納得するように証明されたものを提出しなければならない。

(3)本法の適用上、条約国に出願した日とは、条約国の特許庁の長が作成した証明書その他によって長官が当該条約国において出願されたと認める日をいう。

(4)インドを指定して特許協力条約に基づいてされた国際出願は、場合により第7条、第54条、および第135条に基づく特許出願の効力を有し、国際出願において提出の名称、明細書、クレームおよび要約並びに図面(ある場合)について、本法の適用上、これらを完全明細書と解する。

(5)特許出願および指定官庁としての特許庁により処理されたその完全明細書の提出日は、特許協力条約に基づいて付与される国際出願の日とする。

(6)インドを指定したかまたはインドを指定かつ選択した国際出願の出願人により、国際調査機関または予備審査機関に対して提案された補正(ある場合)については、出願人が希望するときは、特許庁に対して行った補正と解する。

 

インド特許規則121(明細書等を提出すべき期間)

 第138条(1)に基づいて出願人が明細書または対応する書類の写しを提出すべき期間は、長官による通知の日から3月とする。

 

・長官通知2018/63(2018年3月12日)(WIPO DASの運用開始公告)

https://ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/News/397_1_WIPO_Digital_Access_Service.pdf

 

5)その他の書類

1)外国出願に関する情報の陳述・宣誓

 特許出願人がインド以外の国に、同一発明について特許出願を行っている場合、インド出願日から6月以内に、その対応外国出願についての情報を提出しなければならない。

条文等根拠:インド特許法第8条(既出)、インド特許規則12(既出)

2)発明者である旨の宣誓、出願人としての資格の証明、委任状

 上記出願書類の他、代理人を通じて出願手続きを行う場合、出願人の署名による委任状(様式26)の提出が要求される。優先権主張に基づくインド出願の出願人は、基礎となる出願の出願をする権利を有する旨の宣誓を上記願書(様式1)又は別書面としての宣誓書(様式5)で行うことで出願人としての資格を証明できる。

条文等根拠:インド特許法第8条(既出)、インド特許規則135(既出)

 

 

 

日本とインドにおける特許出願書類・手続の比較

 

日本

インド

出願書類

所定の様式により作成した以下の

書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

 

所定の様式により作成した以下の

書面を提出する。

・願書

・完全明細書

・外国出願に関する情報の陳述・宣誓

・発明者である旨の宣誓

・出願⼈としての資格の証明

・委任状

手続言語

日本語

ヒンディー語または英語

手続言語以外の明細書での出願日確保の可否

英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

不可

優先権

主張手続

優先権主張書を、最先の優先権主張日から1年4月、またはその優先権主張を伴う出願から4月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。

また、優先権証明書を基礎出願の日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。

優先権証明書(またはDASコード)は、インド特許出願日から3月以内に提出する必要があり、優先権証明書が英語で記載されていない場合、優先権証明書の認証された英訳文を提出する必要がある。優先権証明書または認証された英訳文を提出していない場合で、長官から要求された場合、その通知の日から3月以内に提出することができる。

その他

(日本での出願には、在外者であるか否かを問わず、委任状の提出は必須ではない。)

 

■本文書の作成者
株式会社サンガムIP
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.02.01

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