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日本とシンガポールにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較
2019年10月10日
■概要
日本およびシンガポールにおいては、それぞれ所定の期間、特許出願について分割出願を行うことができる。シンガポールにおいては、(i)原出願の登録料の納付、(ii)原出願の拒絶、放棄または取下げのいずれかの前まで分割出願を行うことができる。■詳細及び留意点
日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
平成19年3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかによって、時期的要件が異なる。
平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願することができる。
平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願することができる。
(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
(i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
(ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
(iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号
(iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)
(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
(i)前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
(ii)審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。
(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)
(3)に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。
条文等根拠:日本特許法第44条
日本特許法 第44条 特許出願の分割
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一または二以上の新たな特許出願とすることができる。
一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内にするとき。
二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定および第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があった日から30日以内にするとき。
三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月以内にするとき。
2~4(略)
5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
7 第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその新たな特許出願をすることができる。
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シンガポールにおける特許出願の分割出願の時期的要件
2014年2月14日以降になされた、シンガポール出願、シンガポール国内移行および分割出願を対象とする時期的要件は、以下の(i)または(ii)の手続前までとなる。
(i)原出願の登録料の納付
(ii)原出願の拒絶、放棄または取下げ
条文等根拠:シンガポール特許法第26条(11)
シンガポール特許法 第26条 出願日
(11)特許出願が行われた後であって、第30条(c)の条件が満たされる前、若しくは出願が拒絶、取下げ、取下げ擬制、放棄擬制または放棄になる前に、
(a)当該先の出願に含まれる主題の一部に関して、規則に従って、原出願人またはその権原承継人により新出願が行われ、かつ
(b)当該新出願に関して、第84条に違反することなく、(1)(a)、(b)および(c)(i)または(ii)の条件が満たされた場合には、
当該新出願は、その出願日として当該先の出願の出願日を有するものとして取り扱われる。
(参考)
シンガポール特許法 第30条 特許付与
以下の条件がすべて満たされた場合,登録官は出願人に特許を付与する。
(a)すべての方式要件が満たされていること,
(b)出願人が第29条A(1)又は29条B(5)(b)(i)に基づく特許付与手続を進める許可の通知を受領したこと,かつ
(c)特許付与に係る所定の文書が提出されていること。
日本とシンガポールにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較
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日本 |
シンガポール |
分割出願の 時期的要件 |
1.補正ができる時または期間 (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く) (ii)審査官から拒絶理由通知を受けた場合の指定応答期間内 (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の指定応答期間内 (iv)拒絶査定不服審判請求と同時
2.特許査定の謄本送達後30日以内(以下の(i)(ii)の特許査定を除く) (i)前置審査における特許査定 (ii)審決により、審査に付された場合における特許査定
3.最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内 |
1.原出願の登録料の納付の前まで 2.原出願の拒絶、放棄または取下げの前まで |
■ソース
・日本特許法https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=334AC0000000121 ・シンガポール特許法
https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994
■本文書の作成者
ナガトアンドパートナーズ■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2018.12.20