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日本とロシアにおける特許出願書類・手続の比較

2019年09月17日

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■概要
日本で出願された特許出願を優先権の基礎としてロシアに特許出願する際に、必要となる書類および関連する法令についてまとめた。日本とロシアにおける特許出願について、出願書類と手続言語についての規定および優先権主張に関する手続を比較した。
■詳細及び留意点

<日本における特許出願の出願書類>

 

1) 出願書類

所定の様式により作成した以下の書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

条文等根拠:特許法第36条

 

日本特許法第36条(特許出願)

 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。

 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

 二 発明者の氏名及び住所又は居所

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 発明の名称

 二 図面の簡単な説明

 三 発明の詳細な説明

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。

6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

 二 特許を受けようとする発明が明確であること。

 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。

 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

 

2) 手続言語

日本語

 

3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否

 英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4

 

日本特許法第36条の2

 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。

2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。

3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。

4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。

6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

 

日本特許法施行規則第25条の4(外国語書面出願の言語)

 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。

 

4) 優先権主張手続

 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を最先の優先権主張日から1年4か月、またはその優先権の主張を伴う特許出願の日から4か月の何れか遅い日までの間、に特許庁長官に提出しなければならない。

 また、優先権を証明する書類(優先権証明書)を優先権主張の基礎とした出願日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。

条文等根拠:特許法第43条、特許法施行規則第27条の4の2第3項

 

日本特許法第43条(パリ条約による優先権主張の手続)

 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日

 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。

4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。

5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。

6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。

7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。

8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。

9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。

 

日本特許法施行規則第27条の4の2第3項

3 特許法第四十一条第四項及び第四十三条第一項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。

一 特許出願(特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願を除く。)について、同法第四十一条第一項、第四十三条第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から一年四月の期間が満了する日又はこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から四月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)

二 特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願について、同法第四十一条第一項又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日から一年四月、同法第四十四条第一項の規定による新たな特許出願に係るもとの特許出願の日、同法第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係るもとの出願の日若しくは同法第四十六条の二第一項の規定による特許出願の基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から四月又は同法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願をした日から一月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)

三 特許法第四十一条第一項の規定による優先権の主張(同項第一号に規定する正当な理由があるときにするものに限る。)をする場合 当該正当な理由がないものとした場合における当該優先権の主張を伴う特許出願をすることができる期間の経過後二月

四 特許法第四十三条の二第一項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張をする場合 当該優先権の主張に係るパリ条約第四条C(1)に規定する優先期間の経過後二月

 

 

<参考URL>

(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))

https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html

 

 

<ロシアにおける特許出願の出願書類(パリルート)>

 

1) 出願書類

民法(第4法典第7編第72章第5節)および特許関連行政規則にて規定された以下の書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

・委任状(経済開発省令2016年第316号第28条第4項)

条文等根拠:民法第1374条、第1375条、経済開発省令2016年第316号第28条第4項

 

ロシア民法 第1374条(発明、実用新案または意匠の特許付与を求める出願の提出)

  1. 発明,実用新案又は意匠の特許付与を求める出願は,本法に基づき特許を取得する資格がある者(「出願人」)により,知的財産権を所管する連邦行政機関に提出される。
  2. 発明,実用新案又は意匠に対する特許付与を求める出願はロシア語で記載される。その他の出願書類はロシア語又は他言語で記載される。出願書類が他言語で記載される場合は,ロシア語による翻訳文が出願に添付される。
  3. 発明,実用新案又は意匠に係る特許付与を求める出願は,出願人により署名されるものとし,弁理士又はその他の代理人を介して出願する場合には,出願人又は出願を提出する出願人の代理人により提出される。
  4. 発明,実用新案又は意匠の特許付与を求める出願書類の要件は,本法に基づき知的財産権の分野における規範的及び法的規制を執行する連邦行政機関により定められるものとする。
  5. 2014年10月1日に停止…連邦法N35-FZ2014年3月12日公布

 

ロシア民法 第1375条(発明の特許付与を求める出願)

  1. 発明の特許付与を求める出願(「発明出願」)は,単一の発明又は単一の発明概念を形成する一群の発明と関連するものとする(「発明の単一性の要件」)。
  2. 発明に係る願書には,次に掲げるものを含めるものとする。

 (1) 発明者及び出願人‐特許を受ける権利を有する者‐並びに各人の居所又は所在地を表示する特許付与を求める出願

 (2) 当該技術の熟練者が当該発明を実施することを可能にする程度に当該発明の本質を十分詳細に開示する発明の説明

 (3) 発明の本質を明確に表現しかつその説明に十分に基づいた発明のクレーム

 (4) 図面及びその他の資料。ただし,発明を理解する上で必要な場合

 (5) 要約

  1. 発明出願の出願日は,知的財産権を所管する連邦行政機関による,特許付与の請求,発明の明細並びに明細中に言及されている場合は図面を含む出願の受理日であり,前記書類のすべてが同時に提出されなかった場合は最終の文書の受理日であるとされる。

 

経済開発省令2016年第316号第28条

 方式審査において、民法第1384条第3項で提供される訂正書類または欠落書類(以下、要求書類という。)の要求は方式審査の開始から2か月以内に出願人に送付される。

 書類を要求する項目は次のとおりである。

1)~2) (省略)

3) 出願書類がロシア語以外の言語で提出された場合、出願書類のロシア語訳の欠如;

4) 法定代理人の権限を確認する民法第1247条第1項により提供される、弁理士でない出願人の代表者が署名した場合を含む、委任状がないという出願手続違反;

5)~6)(省略)

7) 民法第1382条第1項、第3項によって定められた条約優先権を主張する手続違反。

(以下略)

 

ロシア民法 第1384条第3項(発明出願の方式審査)

  1. 発明出願が出願書類に係る要件に適合していない場合は,知的財産権を所管する連邦行政機関は,出願人に対し通知を送付し,当該通知の発送から3月以内に,訂正された書類又は欠けている書類を提出するよう求めるものとする。出願人が所定の期間内に当該書類を提出せずかつ期間延長を求める申立も提出しない場合は,出願は取り下げられたものとみなされる。前記の連邦行政機関は,当該期間を10月を越えない範囲で延長することができる。

 

ロシア民法 第1247条第1項(弁理士)

  1. 知的財産権を所管する連邦行政機関に対する手続は,出願人,権利者,その他の者,又は当該連邦行政機関に登録された弁理士を介して,又はその他の代理人を介して,これを行うものとする。

 

ロシア民法 第1382条第1項、第3項(条約による発明,実用新案又は意匠の優先権)

  1. 発明,実用新案又は意匠についての優先権は,工業所有権の保護に関するパリ条約の同盟国における発明,実用新案又は意匠に係る最初の出願日により決定されるものとする(「条約による優先権」)。但し,知的財産権を所管する連邦行政機関に対して,発明又は実用新案の出願は上記の優先日から12月以内に,及び意匠の出願の出願は上記の優先日から6月以内に提出されたことを条件とする。出願人の支配が及ばない事情により,所定の期間内に条約優先権の主張を伴う出願が提出できなかった場合,当該期間は,2月を超えない範囲内で知的財産権を所管する連邦行政機関がこれを延長することができる。
  2. (省略)
  3. 発明又は実用新案出願に関して条約優先権を行使することを希望する出願人は,工業所有権の保護に関するパリ条約の加盟国の特許部局に最初の出願を提出してから16月以内に,知的財産権を所管する連邦行政機関に通知し,かつ,最初の出願の認証謄本を同連邦行政機関に提出するものとする。

この期間内に最初の出願の認証謄本が提出されなかった場合でも,知的財産権を所管する連邦行政機関は,前記期間内に出願人が当該連邦行政機関に提出した申立に基づき,条約優先権を承認することができる。ただし,最初の出願の謄本が最初の出願の提出から14月以内に最初の出願の提出先である特許部局から出願人により請求され,かつ,出願人がそれを受領してから2月以内に知的財産権を所管する連邦行政機関に提出されることを条件とする。

知的財産権を所管する連邦行政機関は,発明又は実用新案の優先権に係る主張の有効性の確認が当該発明又は実用新案の特許性の確認に関連している場合にのみ,発明又は実用新案に係る最初の出願のロシア語への翻訳文を出願人に要求することができる。

 

2) 手続言語

 ロシア語

 

3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否

 手続言語以外で記載された明細書でも出願日は確保できる。

 出願時にロシア語翻訳の添付がない場合は、翻訳文の提出を求める通知の発送日から3か月以内に提出しなければならない。

条文等根拠:民法第1374条(前出)、経済開発省令2016年第316号第28条第3項(前出)

 

4) 優先権主張手続

 発明,実用新案又は意匠についての優先権は,知的財産権を所管する連邦行政機関に対する,発明,実用新案又は意匠の出願の提出日に確立される。

 発明又は実用新案出願に関して条約優先権を行使することを希望する出願人は,最初の出願を提出してから16月以内に,知的財産権を所管する連邦行政機関に通知し,かつ,最初の出願の認証謄本を同連邦行政機関に提出するものとする。

条文等根拠:民法第1381条第1項、第2項、第1382条第1項、第3項(前出)、経済開発省令2016年第316号第28条第7項(前出)

 

ロシア民法 第1381条第1項、第2項(発明,実用新案又は意匠の優先権の確立)

  1. 発明,実用新案又は意匠についての優先権は,知的財産権を所管する連邦行政機関に対する,発明,実用新案又は意匠の出願の提出日に確立される。
  2. 発明,実用新案又は意匠についての優先権は,出願人が追加資料を別の出願として提出する場合は,当該追加資料の受理日により決定されるものとする。但し,追加資料が請求された解決の本質を変更するとの認識を理由に追加資料を斟酌することができない旨の通知を知的財産権を所管する連邦行政機関から出願人が受領した後3月以内に当該別出願が提出されたこと,当該出願の提出日に上述の追加資料を含む出願が取り下げられておらず,かつ取り下げられたものと見なされていなかったことを条件とする。

 

 

 

日本とロシアにおける特許出願書類・手続の比較

 

日本

ロシア

出願書類

所定の様式により作成した以下の書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

民法および経済開発省令にて規定された以下の書面を提出する。

・願書

・明細書

・特許請求の範囲

・必要な図面

・要約書

・委任状

手続言語

日本語

ロシア語

⼿続⾔語以外の明細書での出願⽇確保の可否

英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

願書はロシア語で、その他の書類が他言語で記載される場合は、ロシア語の翻訳文を、通知の送達から3か月以内に提出しなければならない。

優先権主張手続

優先権主張書を、優先権書類を最先の優先権主張日から1年4か月、またはその優先権主張を伴う出願から4か月の何れか遅い日までの間、に特許庁長官に提出しなければならない。

また、優先権証明書を基礎出願の日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。

ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。

発明,実用新案又は意匠についての優先権は,知的財産権を所管する連邦行政機関に対する,発明,実用新案又は意匠の出願の提出日に確立される。

発明又は実用新案出願に関して条約優先権を行使することを希望する出願人は,最初の出願を提出してから16月以内に,知的財産権を所管する連邦行政機関に通知し,かつ,最初の出願の認証謄本を同連邦行政機関に提出するものとする。

その他

(日本での出願時には、在外者であるか否かを問わず、委任状の提出は必須ではない。)

法定代理人の権限のないものが手続きを行う場合、委任状を提出しなければならない。委任状が不備の場合、通知の送達から3か月以内に提出しなければならない。

 

 

■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2018.11.28

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