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台湾特許出願のクレームにおける開放形式の記載(例:「~を含む」)と閉鎖形式の記載(例:「~からなる」)について

2012年10月09日

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■概要
「包含」、「包括」のような開放形式の記載、「由…組成」のような閉鎖形式の記載、「基本上由…組成」のような半開放形式の記載の区別があり、台湾特許出願のクレームの記載においてそれぞれの区別に注意して記載を選択する必要がある。
■詳細及び留意点

 台湾特許出願においても、「包含」、「包括」(comprising、containing、including(日本語訳「~を含む」))のような列挙された構成要素以外の構成要素を含む開放形式の記載、「由…組成」(consisting of(日本語訳「~からなる」))のような列挙された構成要素以外の構成要素を含まない閉鎖形式の記載、「基本上(主要、實質上)由…組成」(consisting essentially of(日本語訳「実質的に~からなる」))のような実質的に発明の主要な技術的特徴に影響を与えない構成要素を含み得る半開放形式の記載がある。

 

 また、台湾専利審査基準上、「構成」(composed of(日本語訳「~から構成される」))、「具有」(having(日本語訳「~を有する」))、「係」(being(日本語訳「~である」))のような記載は明細書中の上下の文脈で開放式、閉鎖式あるいは半開放形式のいずれでもあり得るとされ、これらの記載については個々の案件ごとに認定するとされている。

 

 このようなクレームにおける基本的な記載の区別は特許実務上重要なものであり、クレームの範囲に大きな影響を及ぼし得るものであるため、その意味に注意して記載を選択する必要がある。また、このような記載の認定は国・地域によって変わって来ることがあり得ることにも合わせ留意する必要がある。

 

参考(台湾専利審査基準第2篇第1章より):

3.3.4連接詞

請求項中所載之發明為元件、成分或步驟之組合者,該請求項需要一個連接詞介於前言部分與特徵部分之間。連接詞有開放式、封閉式、半開放式及其他表達方式:

 

3.3.4.1開放式

開放式連接詞係表示元件、成分或步驟之組合中不排除請求項未記載的元件、成分或步驟,如「包含」、「包括」(comprising、containing、including)等。

 

3.3.4.2封閉式

封閉式連接詞係表示元件、成分或步驟之組合中僅包含請求項中所記載之元件、成分或步驟,如「由…組成」(consisting of)等。被依附之請求項使用封閉式語言,其附屬項不得外加元件、成分或步驟。

 

3.3.4.3半開放式

半開放式連接詞介於以上開放式與封閉式之間,係表示元件、成分或步驟之組合中不排除說明書中有記載而實質上不會影響請求項中所記載的元件、成分或步驟,如「基本上(或主要、實質上)由…組成」(consisting essentially of)等。請求項若以半開放式連接詞撰寫,認定上不排除說明書中已記載而實質上不會影響申請專利之發明主要技術特徵的元件、成分或步驟,例如「一種主要由成分A組成之物」,說明書中若載明申請專利之發明得包含任何已知之添加物,如乳化劑,且並無證據顯示乳化劑之添加實質上會影響申請專利之發明的主要技術特徵時,則認定上不排除乳化劑。

 

3.3.4.4其他

請求項若以其他連接詞撰寫,則須參照說明書上、下文意,依個案予以認定。「構成」(composed of)、「具有」(having)、「係」(being)等連接詞究竟屬於開放式、封閉式或半開放式連接詞,應參照說明書上、下文意,依個案予以認定。例如「一種具有編碼人類PI序列之cDNA」,由說明書中若可瞭解該cDNA尚包含其他部分,則認定該連接詞「具有」為開放式連接詞。

 

(日本語訳)

3.3.4 連接詞

請求項中に記載されている発明の構成要素、成分あるいは手順の組合せにおいては、請求項は前言部分と特徴部分の間に連接詞を置く必要がある。連接詞には開放形式、閉鎖形式及びその他の表示形式がある。

 

3.3.4.1 開放式

「包含」、「包括」(comprising、containing、including)のような開放式の連接詞によって表される構成要素、成分あるいは手順の組合せにおいては、請求項に記載されていない構成要素、成分あるいは手順を排除しない。

 

3.3.4.2 閉鎖形式

「由…組成」(consisting of)のような閉鎖形式の連接詞によって表される構成要素、成分あるいは手順の組合せにおいては、請求項中の記載されている構成要素、成分あるいは手順のみを含む。被引用請求項において閉鎖形式の記載を用いた場合、その引用請求項において他の構成要素、成分あるいは手順を追加することはできない。

 

3.3.4.3 半開放形式

「基本上(主要、實質上)由…組成」(consisting essentially of)のような半開放形式の連接詞は上記の開放形式と閉鎖形式の中間に一位置しており、それによって表される構成要素、成分あるいは手順の組合せにおいては、明細書中に記載され請求項中に記載されている構成要素、成分あるいは手順に実質的に影響を与えないものを排除しない。請求項に、「ある種のものは主に成分A組成の物からなる」というような、半開放形式の連接詞がある場合、明細書中に記載されている実質的に発明の主要な技術的特徴の構成要素、成分あるいは手順に影響を与えないものを排除しないと認定する、例えば、明細書中に特許出願の発明が乳化剤のような任意の既知の添加物を含むと明らかに記載され、乳化剤の添加が特許出願の発明の主要な技術的特徴に実質的に影響を与えることを示す証拠がない時、乳化剤を排除しないと認定する。

 

3.3.4.4 その他

請求項にその他の連接詞がある場合、明細書中の上下の文脈を参照し、個々の案件ごとに認定する。「構成」(composed of)、「具有」(having)、「係」(being)等は明細書中の上下の文脈で開放式、閉鎖式あるいは半開放形式のいずれでもあり得るため、個々の案件ごとに認定する。例えば「ある種のものはヒトPI遺伝子配列のcDNAを有する(「具有」)」と書かれている場合、明細書中においてcDNAがその他の部分も含み得ると解釈される場合には、当該「具有」という連接詞は開放形式の連接詞と解釈する。

 

【留意事項】

「包含」、「包括」のような開放形式の記載、「由…組成」のような閉鎖形式の記載、「基本上由…組成」のような半開放形式の記載の区別があり、台湾特許出願のクレームの記載においてそれぞれの区別に注意して記載を選択する必要がある。また、このような記載の認定は国・地域によって変わって来ることがあり得ることにも合わせ留意する必要がある。

■ソース
台湾特許審査基準
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 古田敦浩
■協力
聖島国際特許法律事務所
一般財団法人比較法研究センター 木下孝彦
■本文書の作成時期

2012.09.23

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