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2012年10月09日
(1)対象となる特許出願
(i)日本で特許出願し、これを基礎としてパリ条約による優先権を主張し、韓国に出願した特許出願
(ii)優先権主張がないPCT出願の国内段階移行出願であって、そのPCT出願が日本と韓国を指定しているもの
(iii)上記による特許出願の分割出願
(2)要件
(i)日本特許庁で特許が可能であると判断された請求項がなくてはならない。即ち、日本で特許査定を受けたか、また拒絶理由通知書や拒絶査定を受けていたとしても、その中に、特許可能であると明示された請求項があればよい。
(ii)韓国での特許出願の請求項が日本で特許可能とされた請求項と実質的に同一でなければならない。両者が異なる場合には、韓国特許出願において補正をしなければならない。なお、特許可能であると判断された請求項に特定事項を付加し限定した場合や、翻訳の差異、請求項の記載形式(従属項または独立項)の差異などは、実質的に同一の範囲とされる。
(3)手続
(i)特許審査ハイウェイを利用した優先審査を請求する前に、(通常の)審査請求をしなければならない(同日付も可能)。その後、優先審査申請書を提出し、その申請書に、特許審査ハイウェイによる優先審査であることを表示する。
(ii)韓国での特許出願の請求項が日本で特許可能とされた請求項と実質的に同一でない場合には、実質的に対応する形にする補正書を提出する。
(iii)優先審査請求時に、日本での特許可能な請求項と韓国の特許出願の請求項との間の対応関係説明書を添付する。対応関係説明表には、請求項ごとに実質的に同一である根拠を記載する。例えば、請求項を直訳した場合には同一である旨を記載し、単なる翻訳上の差異がある場合にはそのような差異があっても実質的に同一である旨の説明を記載する。
特許審査ハイウェイの利用において上記以外に特許請求範囲の写しと審査関係通知書の写し等が必要となる場合もあるが、日本の場合は、そのような証拠書類の提出を省略することができるため不要である。
【留意事項】
(1)特許審査ハイウェイによる優先審査は、実用新案登録出案は対象に含まれず、特許出願のみが対象となる。
(2)日本での審査において特許可能な請求項がなければならないというのは、特許査定が出たことのみを意味するものではない。拒絶査定になったとしても、その中に特許可能な請求項があったり、審査中に拒絶理由通知を受けた段階で、特許可能な請求項が明示されていれば、優先審査請求をすることは可能である。
(3)韓国特許庁の審査は早く実施され、また厳しいという評価があることから、日本でまず特許を受け、この制度を活用して韓国へ出願することで韓国での特許査定の可能性を上げることができる。
(4)特許審査ハイウェイの適用を受けるためには、両国の審査時期を調整しなければならない。日本で早期審査等を活用して可能な限り早く審査を受けるようにし、韓国では審査請求時期を遅くし、日本の審査結果が出る時期に合わせる必要がある。その他にも、例えば、韓国で拒絶理由を受けた時点で期間延長し、最長4ヶ月まで意見書提出期日を延長することにより韓国の審査を遅らせる方法も考えられる。なお、通常は相手国出願が審査着手されていないことが要件となるが、韓国では審査に着手していても特許審査ハイウェイの適用を受けることができる。
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