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韓国での特許・実用新案の審査請求における留意点
2012年10月09日
■概要
(本記事は、2017/9/21に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14039/
特許出願日から5年(実用新案の場合は3年)以内に審査請求をしなければ出願は取り下げたものとみなされる。審査請求期間は延長することができないが、審査請求日から6ヶ月以内に審査猶予申請を行うことにより、審査を遅らせることは可能である。
■詳細及び留意点
(1)審査請求の期間
審査請求は韓国出願日から起算して、特許出願の場合は5年以内、実用新案登録出願の場合は3年以内にしなければならない。PCT出願の場合は、国際出願日が起算日となる。
分割出願及び変更出願は、原出願日が起算日となるが、出願時に既に特許なら5年、実用新案なら3年が経過している場合は、分割及び変更出願日から30日以内に審査請求をしなければならない。
期限までに審査請求しない場合、その出願は取り下げたものとみなされる。
(特許法第59条・第199条/実用新案法第12条・第34条)
(2)審査請求ができる者
審査請求は、誰でもすることができる。つまり、出願人以外に第三者も審査請求をすることができるが、ごく稀である。
(3)審査着手の順位及び審査期間
審査は審査官別、技術分類別によって、審査請求順にすることが原則となっている。ただし、優先審査または審査猶予申請をした場合は例外となる。なお、優先審査の申請が可能な出願は国内出願人のみ対象となるものもあるが、「特許出願人が特許出願された発明を実施している場合や実施準備中である特許出願(特許法施行規則第9条第1項第8号)」に対する優先審査の申請については外国人も活用することができる。
一般審査の場合、審査請求から審査着手まで通常1年半程度かかる。
日韓特許審査ハイウェイを利用する場合は優先審査に該当し、特に問題がなければ、2~3ヶ月程度で最終的な審査結果がでる。
ほとんど使われていないが、審査猶予申請を審査請求日から6ヶ月以内に行うことが可能である。申請する場合、審査猶予希望時期を記載した審査猶予申請書を提出する(出願書類や審査請求書にその旨を記載して同時提出も可)。審査猶予希望時期は、審査請求後18ヶ月以後で出願日から5年以内で指定が可能である。審査猶予申請日から2ヶ月以内は、取下げまたは変更ができる(特許法施行規則第40条の3)。審査猶予申請をした場合、審査猶予期間経過後3ヶ月以内にファーストアクションが出される。
【留意事項】
(1)韓国は審査が他国に比べて早く行われ、また厳しいという評価がある。審査請求を早く行い、他国よりも先に審査されて拒絶査定を受けると、他国出願に影響を及ぼすこともあり得る。
そのため、近年、日本からの出願では、日韓特許審査ハイウェイをよく利用する傾向が見られる。日本でまず登録を受け、これを根拠に請求範囲を合わせて日韓特許審査ハイウェイを利用して韓国出願すれば、特別な拒絶理由がない限り、特許を受けることができる。この日韓特許審査ハイウェイを利用するためには、日本でまず特許査定が下りるように審査請求時期を調整し、審査時期を合わせる必要がある。韓国で審査が着手されたとしても、上記日韓特許審査ハイウェイによる優先審査を請求することはできる。
(2)審査請求前に請求項等の補正を必ず検討する必要がある。審査請求料は請求項に基づいて計算されるため、不必要な請求項は削除するのが良い。また、審査が着手され、拒絶理由なしで登録されれば、分割または補正が出来ないため、審査請求前に明細書等の補正が必要かどうかについても検討するのが望ましい。なお、特許審査請求料は、基本料(130,000ウォン)と請求項数(40,000ウォン/1項当たり)で計算される。
(3)特許出願の審査が着手され、拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受け、分割出願する場合、原出願日(または国際出願日)から5年が経過していないかを必ず確認する必要がある。経過している場合は、分割出願日から30日以内に審査請求をしなければないので、分割出願と同時に審査請求を行うのが安全である。
■ソース
・韓国特許法・特許・実用新案 審査指針書
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋■本文書の作成時期
2012.08.25