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アジア / 出願実務


韓国での組物の意匠の保護

2018年10月23日

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■概要
意匠は、原則として1意匠1出願主義を取っているため2つ以上の物品を1出願によって登録を受けることはできない。しかし、この原則を貫くと、2つ以上の物品が組物として同時に使用される物品に関する保護をすることができなくなる。このような理由から多数の物品が統一的で、統合的な美観を新たに創出する意匠は、組物(韓国語「一組の物品」)の意匠として保護している。
■詳細及び留意点
  1. 組物(韓国語「한벌의물품(一組の物品)」としての意匠登録が認められる場合

 2つ以上の物品が組物として同時に使用される場合、当該組物の意匠が一組全体として統一性があるときには1意匠として意匠登録を受けることができる(意匠法第42条第1項、意匠審基準第2部第3章)。

(1)各構成物品の形状・模様・色彩またはこれらの結合が同一の表現方法で表現されて、組物全体として統一性があると認められるもの

(2)各構成物品が相互集合して一つの統一された形状・模様等を表現することによって、組物全体として統一性があると認められるもの

(3)各構成物品の形状・模様・色彩またはこれらの結合によって観念的に関連がある印象を与えることによって、組物全体として統一性があると認められるもの

(4)組物の意匠として出願することができる物品は、具体的に意匠法施行規則第38条第4項により別表5で定めている。

 

  1. 構成物品に関する要件

 組物の意匠として登録を受けるためには、構成物品について次の要件を満たす必要がある。

(1)2以上の物品(同種の物品を含む)が一組で同時に使用されること

(2)一組全体で統一性があること

(3)一組の物品区分に規定されていること

(4)一組の物品を構成する物品が適すること

 

  1. 出願書類

(1)各構成物品の図面のみで組物の意匠を充分に表現することができる場合には、構成物品ごとに一組の図面を提出する。

(2)組物の各構成物品が相互集合して一つの統一された形状・模様または観念を表現する場合には、構成物品が組み合わされた状態の一組の図面と各構成物品についての一組ずつの図面を提出しなければならない。

(3)また、各構成物品の一つの意匠は、図面や3Dモデリング図面で表現することができる。ただし、一つの意匠を図面と3Dモデリング図面を混合して表現してはならず、図面または3Dモデリング図面のうち一つに統一して表現しなければならない。

 

  1. 組物意匠の効果

 組物の意匠権は組物全体について成立するので、登録した組物の意匠と同一または類似の他人の組物の意匠に対して権利行使ができるが、構成物品ごとに意匠権が成立しているわけではないので、構成物品の一つの意匠と同一または類似する他人の意匠に対して権利行使することはできない。

 

【留意事項】

  1. 組物の意匠は、全体として1意匠権のみが発生し、それぞれの構成物品に関する意匠権は発生しないため、それぞれの構成物品意匠に関する意匠権を確保するためには、各構成物品の意匠も別途に出願しなければならない。
  2. 上記組物の要件に該当するかどうかを必ず確認して出願しなければならない。
■ソース
・韓国意匠法
・韓国意匠法施行規則
・意匠審査基準
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2018.02.08

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