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ロシアにおける特許年金制度の概要

2018年05月17日

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■概要
(本記事は、2024/6/11に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/39276/

ロシアにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金は出願日を起算日として3年次から発生するが、特許査定が下された場合にのみ納付が求められる。特許査定が下された後、特許庁が指定する期間内に3年次から査定された年までの累積年金の納付が求められ、その後の年金は出願応当日を納付期限として各年納付される。実用新案権の年金制度は、権利期間と納付開始年次を除けば、特許権とほぼ同様である。権利期間は、出願日から10年であり、年金は出願日を起算日として1年次から発生するが、特許権と同じく、納付は実用新案権が登録査定を受けてから開始される。意匠の権利期間は出願日から25年である。特許権と同じく、年金は意匠出願が登録査定を受けてから納付される。
■詳細及び留意点
  1. 特許権

 ロシアにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金は出願日を起算日として3年次から発生するが、出願から3年以上経過していても登録前であれば年金納付の必要はない。特許査定を受けた場合に初めて納付が求められる。ただし、出願から特許査定まで3年以上を要した場合は、特許登録手続の際に納付する登録料とは別に、3年次から査定を受けた年までの年金を遡って納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。この累積年金は、登録料の納付と同時に行う。その後の年金納付期限日は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 年金納付が可能なのは手続代理人のみである。誤って納付された年金であっても、ロシア特許庁が一度受理した年金については返金はなされない。また、納付金額に誤りがあった場合、納付は受理されないため、再度納付手続を行う必要がある。

 

 特許権の登録後、年金納付期限日までに年金納付がされなかった場合、期限日から6ヶ月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、追納期間最終日(すなわち年金納付期限日の6ヶ月後)から3年以内に所定の金額を納付することにより、権利の回復が可能である。

 

 上記の通り、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面と所定の金額をロシア特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。特許庁に所定の書面を提出して権利者自らが権利放棄の手続を行った場合には、年金未納付による権利失効の場合とは異なり、権利の回復は不可能となる。

 

 なお、医薬、害虫などの駆除剤、農薬に関わる発明で法の規定に準ずるものは、最大5年間の権利延長が可能である。延長された権利の延長期間中の年金納付は通常と同様に行われる。

 

  1. 実用新案権

 実用新案権の年金制度は、権利期間と納付開始年次を除けば、特許権とほぼ同様である。権利期間は、出願日(PCT条約に基づく実用新案登録出願の場合は国際実用新案登録出願日)から10年であり、年金は出願日を起算日として1年次から発生するが、特許権と同じく、納付は実用新案の登録査定を受けてから開始される。そのため、実用新案の登録手続の際に、設定登録料とは別に累積年金として査定を受けた年次までの年金も納付する必要がある。年金納付期限は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 年金納付はロシアにおける法曹資格を有する者であれば納付手続が可能である。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同じである。

 

  1. 意匠

 意匠の権利期間は出願日から25年である。特許権と同じく、年金は意匠出願が登録査定を受けてから納付される。年金は出願日を起算日として3年次より発生するが、後述のように納付のタイミングは出願日によって異なっている。出願から登録まで3年以上かかった場合には、意匠の登録手続の際に登録料とは別に、累積年金として3年次から査定を受けた年次までの年金を納付しなければならない。年金の納付期限は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 意匠権を維持するためには、年金納付に加えて更新手続を行う必要がある。年金納付と更新手続は同時に行う必要があり、どちらも意匠出願がされた年によって回数および頻度が異なる点に注意を払わなければならない。

 

 出願日が2015年1月1日を含む同日以降の場合、最初に与えられる意匠の権利期間は5年である。その後、5年ごとの更新を最大4回まで行うことで、計25年の権利期間を得ることができる。すなわち、6年次、11年次、16年次、21年次が更新年にあたり、各年次には権利期間の更新を申請する文書をロシア特許庁に提出する必要がある。また、出願日が2015年1月1日を含む同日以降の意匠権の年金納付について、2017年10月6日より法改正が施行されたことにも注意されたい。最初の3年次に年金を納付した後は、前述の更新年に当たる6年次、11年次、16年次、21年次に年金の納付を行うことで権利を維持することができる。したがって、25年の権利期間を得るためには、年金の納付は計5回行う必要がある。

 

 一方で、出願日が2014年12月31日を含む同日以前の場合、最初に与えられる権利期間は15年である。その後、16年次の1回に限り、10年分の権利期間を得ることができる更新を行うことで、権利期間は計25年となる。そのため、前述の更新の申請文書は16年次にのみ提出する。なお、出願日が2014年12月31日を含む同日以前の場合、年金納付は3年次以降行う必要がある。

 

 年金納付はロシアにおける法曹資格を有する者であれば納付手続が可能である。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同じである。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

■ソース
・ロシア連邦民法第IV部
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2017.12.10

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