国別・地域別情報

ホーム 国別・地域別情報 アジア 出願実務 | アーカイブ 特許・実用新案 | 意匠 中国の特許出願における新規性喪失の例外について

アジア / 出願実務 | アーカイブ


中国の特許出願における新規性喪失の例外について

2012年08月27日

  • アジア
  • 出願実務
  • アーカイブ
  • 特許・実用新案
  • 意匠

このコンテンツを印刷する

■概要
(本記事は、2022/11/10に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27060/

中国では、先願主義を採用しており、新規性の判断は出願日(又は優先日)を基準とする。出願日(優先日)前に開示された発明は、たとえ出願人自身による開示であっても、原則として新規性は喪失する。
 しかし、この原則は科学技術の促進にマイナスの影響があるため、国際慣例に鑑み、一定の猶予期間に限って、定められた行為についてのみ、新規性喪失の例外が認められている。
■詳細及び留意点

(1) 猶予期間及び適用対象(専利法第24条、専利法実施細則(以下、「細則」とする)第11条・第30条)

出願日(優先権主張の場合、優先日を指す)から遡って6ヶ月以内に下記行為の何れかに該当する場合には、新規性を喪失しないとされる。

(a)中国政府が主催又は承認した国際展覧会において初めて出展した場合

(b)指定された学術会議又は技術会議で初めて発表した場合

(c)他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らした場合

なお、中国政府が主催した国際展覧会とは、国務院や各中央部門、各中央委員会が主催した又は国務院の認可によってその他の機関または地方の政府が開催する国際展覧会を指し、中国政府が承認した国際展覧会とは、国際博覧会条約に規定された博覧会国際事務局に登録された又は承認された国際展覧会を指す。

指定された学術会議又は技術会議とは、国務院関係主管部門又は全国的な学術団体組織が主催する学術会議又は技術会議をいうとされているが、新規性喪失の例外に該当する学術会議又は技術会議のリストは公表されていない。

(2) 関連手続き

(i)(a)中国政府が主催又は承認した国際展覧会における初めて展示、又は(b)指定された学術会議又は技術会議で初めて発表の場合(細則第30条、専利審査指南第一部分第1章6.3.1,6.3.2)

出願される発明、実用新案、意匠について新規性喪失の例外を受けたい場合は、出願人は、出願時にその旨を声明し、かつ出願日から2ヶ月以内に、国際展覧会、学術会議又は技術会議の主催者が発行した証明資料を提出しなければならない。

証明資料は、主催部門、単位(団体)の公印が押印された証明書でなければならない。また、証明資料には、開催時期、場所、展覧会や会議の名称及び当該発明が展示又は発表された日時・形式・内容を明記しなければならない。

(ii)他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らした場合(細則第30条、専利審査指南第一部分第1章6.3.3)

出願する発明、実用新案、意匠について、出願日前6ヶ月以内に第三者が出願人の同意を得ずにその内容を漏らし、それを出願日前に出願人が知っていた場合で新規性喪失の例外適用を望む場合は、出願人は出願時にその旨声明し、かつ出願日から2ヶ月以内に証明資料を提出しなければならない。出願人が、第三者による漏洩の事実を出願日以降に知った場合は、事情を知ってから2ヶ月以内に、新規性を喪失の例外適用を求める旨声明し、証明資料を提出しなければならない。特許庁は必要と認めたときは、出願人に指定期間内に証明資料を提出するよう要求することができる。

【留意事項】

中国では新規性喪失の例外に該当するケースは、日本と比べてかなり制限されている。日本基礎出願の優先権主張を伴って中国へ出願する場合、日本法では新規性喪失の例外に該当するにしても、必ずしも中国法で新規性喪失の例外に該当すると限らない。中国で出願することを考えているが、出願前にどうしても発表等しなくてはならない事情がある場合は、そのような発表が中国において新規性喪失の例外に該当するか否かについて、まず、現地代理人等に確かめた方が良いと考えられる。しかし、中国では新規性喪失の例外に該当する学術会議又は技術会議のリストが公表されていないため、現地代理人に確かめても、結論が出ない場合がある。このような状況に鑑み、将来中国出願の予定のある発明については、できるだけ新規性喪失の例外適用を考えず、開示は極力控えるべきである。

■ソース
・専利法
・専利法実施細則
・専利審査指南
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
三協国際特許事務所 中国専利代理人 梁煕艶
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2012.08.09

■関連キーワード