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韓国における特許・実用新案の審査請求の留意点
2017年09月21日
■概要
(本記事は、2022/11/29に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/27192/
特許の審査請求期間が出願日から3年に短縮される特許法の改正(2016.02.29公布、2017年3月1日発効)があり、改正前は、特許の審査請求期間は特許出願日から5年以内であったが、2017年3月1日からの特許出願は、特許出願日から3年以内に審査請求をしなければ出願は取り下げたものとみなされる。なお、実用新案の審査請求期間は、出願日から3年以内で、特に法改正は行われず、特許と実用新案の審査請求期間が統一された。
■詳細及び留意点
(1)審査請求の期間
特許出願日(国際特許出願の場合は国際出願日)が2017年3月1日前の特許出願は特許出願日(国際特許出願日の場合は国際出願日)から5年以内に審査請求をしなければならないが、特許出願日(国際特許出願日の場合は国際出願日)が2017年3月1日からの特許出願は特許出願日(国際特許出願日の場合は国際出願日)から3年以内に審査請求をしなければならない。
実用新案の審査請求期間は、法改正は行われておらず、2017年3月1以降の出願についても従前どおり出願日から3年以内に審査請求をしなければならない。
分割出願および変更出願は、原出願日が起算日となるが、分割出願等の出願時に既に審査請求期間が経過している場合は、分割および変更出願日から30日以内に審査請求をしなければならない。
期限までに審査請求しない場合、その出願は取り下げたものとみなされる。(特許法第59条・第199条/実用新案法第12条・第34条)
(2)審査請求ができる者
審査請求は、誰でもすることができる。つまり、出願人以外に第三者も審査請求をすることができるが、ごく稀である。
(3)審査着手の順位および審査期間
審査は審査請求順にすることが原則となっている。ただし、優先審査または審査猶予申請をした場合は例外となる。なお、優先審査の申請が可能な出願は国内出願人のみ対象となるものもあるが、「特許出願人が特許出願された発明を実施している場合や実施準備中である特許出願(特許法施行規則第9条第1項第8号)」に対する優先審査の申請については外国人も活用することができる。
一般審査の場合、審査請求から審査着手まで通常1年半程度かかる。
日韓特許審査ハイウェイを利用する場合は優先審査に該当し、特に問題がなければ、2~3ヶ月程度で最終的な審査結果がでる。
【留意事項】
(1)韓国は審査が他国に比べて早く行われ、また厳しいという評価がある。審査請求を早く行い、他国よりも先に審査されて拒絶査定を受けると、他国出願に影響を及ぼすこともあり得る。
そのため、近年、日本からの出願では、日韓特許審査ハイウェイをよく利用する傾向が見られる。日本でまず登録を受け、これを根拠に請求範囲を合わせて日韓特許審査ハイウェイを利用して韓国に出願すれば、優先審査とともに特許を受けることが有利になる。この日韓特許審査ハイウェイを利用するためには、日本でまず特許査定が下りるように審査請求時期を調整し、審査時期を合わせる必要がある。韓国で審査が着手されたとしても、上記日韓特許審査ハイウェイによる優先審査を請求することはできる。
(2)審査請求料は請求項に基づいて計算されるため、審査請求前に不必要な請求項は削除するのが良い。
(3)特許出願の審査が着手され、拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受け、分割出願する場合、原出願日(または国際出願日)から3年(旧法は5年)が経過していないかを必ず確認する必要がある。経過している場合は、分割出願日から30日以内に審査請求をしなければいけないので、分割出願と同時に審査請求を行うのが安全である。
■ソース
・韓国特許法・特許・実用新案 審査指針書
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2017.03.14