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韓国における商標の不使用取消審判制度

2017年09月19日

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■概要
(本記事は、2020/4/2に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/18408/

商標不使用取消審判は、登録商標が一定期間、継続して韓国国内で正当な理由なく使用されていない場合に、それを理由としてその登録商標を取消すことを請求する審判をさす(商標法第119条第1項第3号)。不使用取消審判により消滅された商標権の商標権者は3年の間同一または類似の商標おいて登録できない。改正商標法(2016.2.29改正、2016.9.1施行)による不使用取消審判は、誰でも請求することができ、取消審決が確定した場合、審判請求日に遡及して商標権が消滅する。
■詳細及び留意点

(1)商標不使用取消審判における「不使用」の意味

 

  • 商標登録後、商標権者および商標使用権者の双方とも取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用していないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用を中止した場合も含まれる。
  • 上記登録商標の使用とは、商品または商品の包装に商標を表示する行為、商品または商品の包装に商標を表示することを譲渡または譲受したり、その目的のための展示、輸出または輸入する行為、商品に関する広告・定価表・取引書類・看板または表札に商標を展示または頒布する行為をいう(商標法第2条第1項第11号)。
  • 法律による規制または輸入制限措置等のように商標不使用に対する正当な理由があるときには取消を免れることができる。

 

(2)商標不使用取消審判請求の要件および効果

(i)商標不使用取消審判は誰でもすることができる(商標法第119条第5項)。

(ii)登録商標の2以上の指定商品を指定している場合には、その指定商品の全部または一部について請求することができる(商標法第119条第2項)。

(iii)商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(商標法第119条第3項)。

(iv)不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は正当な使用として認定される。

(v)取消審判が確定した場合、審判請求日に遡及して商標権が消滅する(商標法第119条第6項)。

(vi)取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間は、取消された商標と同一または類似する商標を同一または類似する指定商品に対して登録を受けることができない(商標法第34条第3項)。

 

【留意事項】

(1)従前は、出願商標と引用商標の同一・類似の判断時点が出願時を基準としたが、改正商標法(2016.2.29改正、2016.9.1施行)により登録可否決定時に変更された。したがって、拒絶理由に該当する引用商標に対して不使用取消審判を請求して、取消が確定すれば拒絶理由が解消されるため、その出願は維持される。

 

(2)従前は、商標不使用取消審判を利害関係者のみが請求できたが、上記改正商標法により誰でも請求できるように改正された。不使用取消審判が易しくなったので商標権者は登録後3年ごとに自身の商標権を確認する必要がある。

 

(3)不使用の基準は審判請求日を基準とする(日本は審判請求登録日を基準とする)ため、商標権者と商標権の譲受交渉を行うとしても、まず、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用すれば、商標権者は不使用取消を免れるようになるからである。

■ソース
・韓国商標法
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2017.02.24

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