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南アフリカにおける指定商品または役務に関わる留意事項
2016年06月06日
■概要
南アフリカ商標庁は、商品または役務の分類として、2012年5月30日からニース国際分類の第10版を採用している。一部の類見出し(クラスヘディング)に採用されているかなり広範な指定商品および指定役務の記載方法も認められているが、広範な指定商品記載または指定役務記載の場合、その商標は、不使用または不十分な使用意思を理由に取消請求または一部取消請求を受ける可能性がある。■詳細及び留意点
【詳細】
1.関連法
南アフリカでは、商標出願を行う場合、登録対象の商品または役務の分類を指定しなければならない。現在、複数の分類を指定した商標出願はできず、保護を求める分類ごとに別個の商標出願を提出する必要がある。南アフリカ商標庁は、商品または役務の分類として、2012年5月30日からニース国際分類の第10版を採用している。
商品および役務の分類について、1993年法律第194号の商標法第11条に次のように規定されている。
商標法第11条 登録は特定の商品またはサービスについてされる。
(1)商標は、所定の分類に基づいて特定の類に分類される商品またはサービスについて登
録される。ただし、商標の登録から生じる権利は、当該商標の登録の日に適用される所
定の分類に基づいて決定されるものとする。
ニース国際分類の採用は、南アフリカ商標規則の附則3に定められている。この附則に示された商品および役務の分類一覧表は、45の分類についてのいわゆる「類見出し(クラスヘディング)」から成っている。登録官は、特別な状況を除き、商品および役務がどの分類に属されるべきかの判断に関し、この国際分類の考えに忠実にしたがっている。
指定商品または指定役務がどの類に分類されるかを正しく判断し、正しい分類に出願することが極めて重要である。この分類が正確でないと、その商標が無効になり、登録を取り消される可能性がある。出願により保護される商品または役務の範囲は、商標が出願および登録された分類により制限される。つまり、登録商標の指定商品または指定役務に記載されている商品または役務が、誤った分類で指定されている場合は、指定商品または指定役務として記載されていても、登録による保護の対象にはならない。その理由は、商標法第11条における「商標は、所定の分類に基づく特定の単一または複数の分類に該当する商品または役務に関して登録される」という文言にある。
2.ニース国際分類の修正
商標法は、既存の分類の修正について規定している。ただし、商品および役務の分類のあらゆる修正を特許公報において公表するのは、登録官の責任である。したがって、世界知的所有権機関(WIPO)の商品または役務の分類が修正された場合であっても、かかる修正が南アフリカ特許公報(South African Patent Journal:商標もこの公報に掲載される)において公表されるまでは、南アフリカにおいていかなる効力も生じない(商標規則4(3))。商標法は、ニース国際分類が変更された時点における自動的な分類の修正を規定していない。例えば、ニース国際分類の第10版は、2012年1月1日に発効した。しかし、南アフリカ特許公報において公表されたのは2012年5月30日であったため、第10版が南アフリカにおいて発効したのは2012年5月30日となる。
3.再分類
商標法第11条(2)は、所定の分類が改訂され、または新たな分類に差し替えられた場合を取り上げている。本項は次のように規定している。
商標法第11条
(2)商標が本法の施行の前または後に(1)にいうように登録され、かつ、当該登録の存続期間中にその商標の登録に係る所定の分類が改訂されまたは新しい分類により取り替えられる場合は、商標の所有者は,改訂された分類または新しい分類にしたがって、いつでも、商標が登録されている類の改訂を所定の方法により申請することができる。
出願時に商品または役務が正確に分類されていたが、その分類が後にニース国際分類の変更に伴い変更された場合、当該商標所有者はいつでも自己の商標の分類を変更することができる。
4.類見出し(クラスヘディング)の使用
実際に、商標出願する際に、広範な指定商品および指定役務(例えば、類見出し)を一般的に使用するケースが多い。しかし、広範な指定商品または指定役務を指定した場合、その商標は、不使用または不十分な使用意思を理由として、全部または一部取消請求を受ける可能性がある。商標法第27条(1)(a)では、出願人が指定商品または指定役務に含まれるすべての商品または役務に関して、商標に対する善意の使用をしていなかった場合における部分的取消を規定している。
出願人が遵守すべき最も明確な指針は、使用または使用意図のある商品または役務に関して出願することであるが、これを含む広範な上位概念の商品または役務に関して商標出願することもできる。
しかし、広範な指定商品または指定役務が必ずしも出願人の利益になるとは限らないと同時に、あまりに狭い記載も望ましくない。なぜなら登録から生じる独占的権利の範囲を不当に狭めてしまい、商標所有者が将来の使用を考えている当該商標の商品を保護できないおそれがあるためである。裁判所は付与された権利に狭義の解釈を適用するため、指定商品または指定役務を作成する際は、細心の注意を払い必要な権利範囲の確保に努めるべきである。
■ソース
・南アフリカ商標法・南アフリカ商標規則
・Webster and Page-South African Law of Trade Marks
・Dean & Dyer-Introduction to Intellectual Property Law
■本文書の作成者
Spoor & Fisher Consulting (Pty) Ltd■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2015.11.09