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シンガポールの庁指令に対する応答期間

2016年06月07日

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■概要
(本記事は、2019/10/17に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17826/

シンガポールにおける特許出願の調査および審査の流れは、パリ条約に基づく出願または特許協力条約(PCT)に基づく国際出願の国内移行出願のいずれを選択するかにより大きく異なる。また、発行される庁指令および通知は、出願形式および/または選択した調査および審査の種類により異なる。庁指令または通知に対する応答期間は、庁から発行される書面に記載されている。庁書面によっては、応答期間の延長が認められない場合もあり、そのような応答期間ついては、特に注意を払う必要がある。
■詳細及び留意点

【詳細】

特許出願の審査手続は、パリ条約に基づく出願、または特許協力条約(PCT)に基づく国際出願の国内移行出願のいずれの出願形式を選択するかにより異なる。特に調査および審査の段階において、その相違は大きい。また、発行される庁指令および通知は、出願形式および/または以下に説明する調査および審査の種類により異なる。

 

パリ条約に基づく出願では、出願人は、審査請求について以下の選択肢を有する。(図1のフロー参照)

(1)基準日から13ヶ月以内に調査を請求し(第29条(1)(a))、その後、基準日から36ヶ月以内に審査を請求する(第29条(3))。

(2)基準日から36ヶ月以内に調査と審査を同時に請求する(第29条(1)(b))。

(3)基準日から36ヶ月以内に、対応する出願または対応する国際出願の調査報告書に基づく審査を請求する(第29条(1)(c)(i))。

(4)基準日から54ヶ月以内に、対応する出願または対応する国際出願の肯定的な最終結果・審査結果に基づく補充審査を請求する(第29条(1)(d)(i)(A))。

(図1)パリ条約に基づく出願の場合

(図1)パリ条約に基づく出願の場合

 

PCTに基づく国内移行出願では、出願人は審査請求について以下の選択肢を有する。(図2のフロー参照)

(1)基準日から36ヶ月以内に調査と審査を同時に請求する(第29条(1)(b))。

(2)基準日から36ヶ月以内に、対応する出願、対応する国際出願、国内段階に移行した関連特許または国内段階に移行した関連特許出願の調査報告書に基づく審査を請求する(第29条(1)(c)(i))。

(3)基準日から36ヶ月以内に、シンガポール国内移行出願の元となるPCT国際出願の国際調査報告書に基づく審査を請求する(第29条(1)(c)(ii))。

(4)基準日から54ヶ月以内に、対応する出願、対応する国際出願、国内段階に移行した関連特許または国内段階に移行した関連特許出願の肯定的な最終結果または審査結果に基づく補充審査を請求する(第29条(1)(d)(i)(A))。

(5)基準日から54ヶ月以内に、シンガポール国内移行出願の元となるPCT国際出願の特許性に関する国際予備報告(IPRP)に基づく補充審査を請求する(第29条(1)(d)(i)(B))。

(図2)PCTに基づく国内移行出願の場合

(図2)PCTに基づく国内移行出願の場合

 

1.不備を指摘する通知に対する応答期間

1-1.予備審査において指摘された不備

シンガポール特許規則第33条に基づいて規定された方式要件を満たしていない出願について登録官(Registrar)が、不備を指摘する場合、該不備に対応するための応答期限は、通知の日から2ヶ月である。延長に関する手数料を納付することにより、この期限は最大18ヶ月延長することができる。この延長手続きは、最初の期限の前または後のいずれにおいても行うことができる。

登録官が、図面または明細書の一部が欠落した出願について不備を指摘する場合、該不備に対応するための応答期限は、通知の日から3ヶ月である。この期限は延長することができない。

 

1-2.その他審査関連事項に関する不備

提出された書類または様式に何らかの不備が見つかった場合や、書類の提出に漏れがあった場合には、審査手続の様々な段階において、登録官により該不備が指摘されることがある。また、登録官は、以上のような類型に該当しない不備に関しても、該不備を指摘する通知を発行することができる。

このような不備に対応するための応答期間は、該通知に記載されている。応答期間は登録官の裁量であり、特許法または特許規則では規定されていない。

 

2.調査報告に対する応答期間

(図3)パリ条約に基づく出願の場合

(図3)パリ条約に基づく出願の場合

(図4)PCTに基づく国内移行出願の場合

(図4)PCTに基づく国内移行出願の場合

 

第29条(1)(a)または(b)に基づいて請求された調査報告により(図3および図4のフロー参照)、当該特許出願において、単一の発明概念に関する単一性の欠如が判明した場合、登録官は出願人にその旨を通知する必要がある。 出願人は、単一性を有しないと判断されたために調査が行われなかった発明について補足調査(Supplementary Search)を請求することができる。この請求は、登録官の通知の日から2ヶ月以内に行う必要がある。この期限は、延長に関する手数料を納付することにより、最大6ヶ月延長することができる。

第29条(1)(a)に基づいて請求された調査報告が、審査請求期限の1ヶ月前以降に出願人に送付された場合、審査請求期限は、調査報告が出願人に通知された日から1ヶ月延長される。

 

3.調査見解書に対する応答期間

3-1.実体審査が請求される場合

(図5)パリ条約に基づく出願の場合

(図5)パリ条約に基づく出願の場合

(図6)PCTに基づく国内移行出願の場合

(図6)PCTに基づく国内移行出願の場合

 

特許法第29条(1)(b)もしくは(c)または第29条(3)に基づいて、審査または調査および審査が請求され(図5および図6のフロー参照)、見解書が発行された場合、その見解書に対する応答期限は、見解書の通知の日から5ヶ月であり、この期限は延長することができない。

 

3-2.補充審査が請求される場合

(図7)パリ条約に基づく出願の場合

(図7)パリ条約に基づく出願の場合

(図8)PCTに基づく国内移行出願の場合

(図8)PCTに基づく国内移行出願の場合

 

特許法第29条(1)(d)に基づいて補充審査が請求され(図7および図8のフロー参照)、見解書が発行された場合、その見解書に対する応答期限は、見解書の通知の日から3ヶ月であり、この期限は延長することができない。

 

3-3.見解書に対する応答

出願人は、見解書に対して、反論または補正を提出して応答することができる。

出願人が見解書に対して応答を行わない場合には、見解書に基づいて審査報告書(3-1の場合)または補充審査報告書(3-2の場合)が作成される。審査報告書または補充審査報告書に未解決の拒絶理由が含まれる場合、登録官は出願人に拒絶をする旨の通知を発行する。

 

4.拒絶をする旨の通知に対する応答期間

出願人は、未解決の拒絶理由が含まれる審査報告書に対し、再審査を請求することができる。再審査は、拒絶をする旨の通知の日から2ヶ月以内に請求することができる。

延長に関する手数料を納付することにより、この期限は最大6ヶ月延長することができる。この延長手続きは、最初の期限の前または後のいずれにおいても行うことができる。最初の期限より後に期限延長を請求する場合、期限延長を請求するまでの間、当該出願は放棄された状態となる。

 

5.特許を付与する旨の通知に対する応答期間

登録官により特許を付与する旨の通知が発行される場合、出願人には、当該出願を整理し、登録料を納付するための期間として2ヶ月が与えられる。

この期限は、延長に関する手数料を納付することにより、最大18ヶ月延長することができる。

応答を行わない場合、当該出願は放棄されたものとみなされる。最初の期限より後に期限延長を請求する場合、期限延長を請求するまでの間、当該出願は放棄された状態となる。

 

6.特許付与後の応答期間

シンガポールにおいて最初に支払う年金は第5年次年金であり、第4年次までの年金を支払う必要は無い。第5年次年金の納付期限は特許出願日から4年目が満了する3ヶ月前、すなわち、特許出願日から45ヶ月である。

特許出願日から45ヶ月が経過した後に特許が付与される場合、支払期限を迎えた年金(前年までに支払期限のある全ての費用を含む)は、特許付与の日から3ヶ月以内であればいつでも納付することができる。

以降の各年の年金は毎年納付することとなり、期間満了前3ヶ月以内に納付することができる。

 

【留意事項】

庁指令または通知に対する応答期間は、庁から発行される書面に記載されている。庁書面によっては、応答期間の延長が認められない場合もあり、そのような応答期間ついては、特に注意を払う必要がある。

■ソース
・シンガポール特許法
・シンガポール特許規則
■本文書の作成者
Drew & Napier (シンガポール法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2016.2.5

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