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中国におけるインターネット製品の知財保護の状況

2016年05月19日

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■概要
中国では、2014年5月1日から施行された改正後の「専利審査指南」で、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が意匠特許の保護対象に正式に含められた。これにより、インターネット製品について十分な保護を受けるためには、製品に応じて、特許、実用新案および意匠といった種別の異なる複数の知的財産権を組み合わせることが考えられる。ただし、知的活動の規則および方法、法律、公序良俗や公共の利益に反する技術的解決手段、ならびにビジネスモデルは特許保護の対象外である。
■詳細及び留意点

【詳細】

 中国におけるインターネットは模倣が多発していたが、現在、変化しつつある。インターネット製品には国境による制約がないので、国際的な競争相手がそれぞれの分野で特許出願をしているが、中国のインターネット企業も国際的な競争で受身にならないために特許出願を活発化させている。現在、中国国内のインターネット企業による特許出願は、主にインスタントメッセンジャー、電子商取引、オンライン決済、検索エンジン、情報セキュリティ、漢字入力およびネットワークゲームなどの方面に集中している。

 

 インターネット製品は、一般的にコンピュータプログラムに関係していて、、通常は特許として出願がされるものである。インターネット大手によって出願される特許には、例えば、微信やQQ(中国の代表的なコミュニケーション・アプリケーション)などのようなエンドユーザー向けの製品だけでなく、技術的な問題や課題を解決する方法またはシステムである。

 

 以前は、電子製品に通電した状態で表示されるユーザーインターフェース(UI)が専利(日本の特許、実用新案および意匠に相当)の保護対象から明らかに除外されていたが、2014年5月1日から施行された改正後の「専利審査指南」で、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が意匠の保護対象に正式に含められた。それによれば、保護を受けるGUIは、(1)物理的な物品と結合していて(全体意匠-製品全体のみが意匠権保護の対象)、(2)ヒューマンコンピュータインタラクション(例えば、アップルのスワイプアンロック、マルチタッチ、twitterのプルダウン刷新機能)と関連があって、(3)機能の実現(ウェブサイト・ホームページへのリンク以外で、物品自体の機能やアプリケーションプログラムによって実装される機能を実現するもの)に関連するものという3つの要件をすべて満たさなければならないとされている。

 

1.インターネット企業による特許の主戦場

1-1.モバイル端末と組み合わされた製品

 インターネット製品に十分な保護を受けようとするのであれば、種別の異なる複数の知的財産権を組み合わせることにより実現することが考えられる。ヒューマンコンピュータインタラクション技術(アップル社のSiriやタッチコントロール)、通信技術(WCDMA)、バッテリー技術およびその他のハードウェア技術(CPU、GPU、RAM)などはいずれも発明特許によって保護を受けることができ、ハードウェア構造は実用新案特許によって保護を受けることができる。他方、工業上のデザインの範疇に属するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)については、意匠特許と組み合わせて保護することができる。

 

1-2.ソフトウェア製品

 アプリケーションソフトウェア(APP)を例とすれば、通信技術系のAPP(微信、QQ-中国の代表的なコミュニケーション・アプリケーション)や、ロケーション技術系のAPP(高徳地図-中国の代表的なマップ・アプリケーション)があるが、最も多く関係しているのはやはりヒューマンコンピュータインタラクション技術(HCI)である。これは、ユーザーとAPPシステムのコミュニケーションをよりスムーズにさせるものであるが、中国の小機器人社やアップル社のSiriは、いずれもスムーズなヒューマンコンピュータインタラクションのモデルといえる。

 

1-3.データリンク系

 データリンクの効率、速度、セキュリティを保障する技術や、ネットワーク使用を低減して、安定性を向上し、ネットワーク切換をする技術や、クラウド アクセラレーション、オフラインダウンロード、P2Pのような技術や、コーデック系の技術、クライアントとサーバとの間の交互または同期のフロー手段などである。

 

1-4.サーババックグラウンド系

 データ格納、照会、応答処理、サーバの負荷管理などである。

 

1-5.グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)のデザイン

 (1)静的に現れるもの:例えば、IOSインタフェースに4列のAPPアイコンがあって、下のDOCK欄に1列の常用アイコンがあるアップルの意匠特許など。

 (2)交互のもの:アップルは、前後して累計で10数件の特許を出願している。

 

2.科学技術企業はどのような特許を出願しているか

2-1.百度(Baidu)社

 百度(Baidu)社の特許は、自然言語処理、深層学習、ビッグデータ、画像認識および音声認識の五大分野に集中していて、各分野ごとに次のような内容の特許を取得することで、いずれも「インテリジェント化」の方向へ向かって発展している。自然言語処理が解決しようとするものは、機械に人間の言語を理解させられることである。深層学習とは機械に常に自己学習をさせて知能水準を向上させられるもので、画像認識および音声認識は機械にものを見、聞き、話すことをさせられ、ビッグデータは新しいビジネスモデルを探求するものである。

 

2-2.騰訊(Tencent)社

 騰訊(Tencent)社が中国国内で特許出願をしている技術分野は、主に国際特許分類(IPC)におけるGセクション物理学とHセクション電気に集中している。そのうち、画像通信には、微信またはQQ(中国の代表的なコミュニケーション・アプリケーション)のビデオチャット機能が含まれ、電話通信には、友達に音声微信を発信する音声リアルタイムトークバックが含まれている。音声の分析または合成、音声認識、音声周波数の分析または処理もあるが、これらは微信(中国の代表的なコミュニケーション・アプリケーション)の音声をテキストに変換する機能をいうものではない。

 

3.不特許事由

以下の3つの分野は特許要件を満たさず、出願しても拒絶される。

3-1.知的活動の法則および方法

 例えば、ソフトウェア製品において用いられる純粋に数学的なアルゴリズムや公式、または個人所得税、住宅ローンの計算をアプリケーション・ソフトウェアで実現する方法などである。また、例えば、将棋・トランプのルール、2048などのパズルゲームの遊び方のようなゲームのルール、ゲーム中のストーリー、キャラクター、レベル、アイテムおよび関門の設置などである。

 

3-2.法律、公序良俗または公衆の利益に反する技術的解決手段

 プロテクト回避ソフト、コンピュータウィルス、賭博、詐欺、暴力、ポルノなどに関係する技術、鉄道乗車券ぶんどり、迷惑広告、ゲームのずる行為、コミュニティサイト等への自動投稿、荒らし行為(他人が不快に思うような書き込み・発言)などの公序良俗に反するものまたは公衆の利益を害するものは、当然、審査官により拒絶される。しかし、携帯電話の位置情報を利用して近くの人と連絡をとるような技術は便利な一方で、迷惑広告を発信したり詐欺に用いられる可能性もある。このような技術には肯定的・否定的いずれの面もあるので、特許出願書類にはその肯定的な用途のみを記載して特許出願をすれば認められる。

 

3-3.ビジネスモデル

 中国専利法には、ビジネスモデル特許が権利化されないことについて特に明示の規定はないが、実際の運用においては、多くのビジネスモデルが知的活動の規則に該当するとして拒絶されている。例えば、百度(Baidu)社の競争価格ランキング、アマゾン(Amazon)社のワンタッチショッピング、支付宝(Alipay)社の第三者プラットフォームなどである。

 このほか、例えば、タクシーを呼ぶソフトウェアで料金割増しで配車依頼をするもの、ネットワークゲーム中のアイテムを分割払いの方法でゲーマーに売るものなど、これらのビジネスモデルにおけるイノベーションが審査を通過することは困難であろう。しかし、インターネット製品のビジネスモデル特許について、米国における審査は相当に緩やかであるので、競争価格ランキング、ワンタッチショッピングのようなものでも米国ではみな特許権を取得している。

■ソース
・中国専利法
・中国専利審査指南
■本文書の作成者
北京三友知識産権代理有限公司
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.09.30
■関連キーワード
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