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ブルネイにおける特許出願審査の概要
2016年05月30日
■概要
ブルネイ特許出願における実体審査(先行技術調査および審査)は4つのオプションがある。以下、それぞれの具体的なオプションおよび、実体審査の概要について説明する。■詳細及び留意点
【詳細】
1. 基本的概要
特許出願を行うと、ブルネイ知的財産庁(Brunei Intellectual Property Office: BruIPO)を通じて2段階の審査、すなわち、予備審査(方式審査)および実体審査(先行技術調査および審査)が行われる。
このうち、実体審査に関して出願人は4つのオプションのいずれかを選択できる。
(1) BruIPOでの先行技術調査を請求し、その後、BruIPOでの審査を請求する。
(2) BruIPOでの先行技術調査および審査の両方を同時に請求する。
(3) 対応外国特許出願の先行技術調査結果を利用したBruIPOでの審査を請求する。
(4) 所定外国特許庁における対応外国特許出願の先行技術調査および審査結果を利用する。
2. 先行技術調査および審査のオプション
現在のところ、BruIPOの特許登録局(Patent Registry Office:PRO)には、自前の特許審査官がいない。したがって、出願人がBruIPOにて先行技術調査または審査を選択した場合、これらの先行技術調査および審査は、BruIPOが指定する3つの知的財産庁、すなわち、ハンガリー知的財産庁、オランダ知的財産庁およびオーストラリア知的財産庁のいずれかによって行われる。出願人は、この3つの知的財産庁のうちどの知的財産庁で先行技術調査および審査を行うかを指定することができる。
あるいは、所定外国特許庁(オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、韓国、英国、米国および欧州)のいずれかに対応外国特許出願がある場合、または対応国際出願がある場合、出願人は、当該対応外国特許出願の先行技術調査および審査結果を提出し、ブルネイの実体審査に利用することができる。英語以外の言語による審査報告書は、出願人はその英語翻訳とともに提出する必要がある。
また、ブルネイはASEAN特許審査協力プログラム(「ASPECプログラム」)に参加しているため、対応特許出願がASEAN加盟国においてされている場合、対応特許出願の先行技術調査および審査結果の利用を選択することができる。なお、ASPECプログラムには、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイおよびベトナムのASEAN9ヶ国の知的財産庁が参加している。このプログラムの目的は、審査期間の短縮、先行技術調査および審査の品質の向上であり、加盟国が、他のASEAN諸国の知的財産庁の先行技術調査および審査結果を利用できる。
特許協力条約(PCT)ルートを通じてされたブルネイ特許出願の場合、出願人は、国際調査報告書(International Search Report:ISR)の写しを提出し、審査については、BruIPOでの審査を請求するか、または特許性に関する国際予備報告書(International Preliminary Report on Patentability:IPRP)の利用を要求する。
3. 出願人に対する実務上のアドバイス
対応外国特許出願において、先行技術調査および審査結果を有しており、その結果が出願人に対して有利な場合、費用と時間がかかるBruIPOによる先行技術調査および審査を請求するのではなく、これら対応外国特許出願における先行技術調査および審査結果を提出することが推奨される。これにより、早期の特許付与が期待できる。
同様に、特許性に関する国際予備報告書(IPRP)の内容が出願に有利な場合にも、費用と時間削減の観点からは、BruIPOでの審査を請求するのではなく、特許性に関する国際予備報告書(IPRP)を利用することを推奨する。
■ソース
ブルネイ特許令 29条(Patent Order, 2011)■本文書の作成者
Ahmad Isa & Partners■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2016.02.15