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ロシア分割出願における留意点

2016年05月12日

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■概要
ロシアでは、分割出願に関する制約は非常に少なく、親出願(原出願)が係属している限り、自発的に分割出願を提出することができる。出願が拒絶された場合、拒絶査定に対する不服申立ではなく、分割出願を行う方が出願人にとってクレームの自由度は高い。また、分割出願に対してさらに分割出願を行うことで、広い権利範囲のクレームを長期にわたって狙うことができるため、有用な戦略となり得る。
■詳細及び留意点

【詳細】

1.分割出願の時期的要件

 ロシアにおける特許出願に関して、単一性欠如の拒絶理由を受けた場合はもちろん、単一性欠如の拒絶理由を受けていない場合でも、出願が係属中であれば自発的に分割出願を行うことができる。分割出願は、遅くとも登録料の納付と同時に行うべきできことを推奨するが、ロシア特許庁は、登録料支払い後でも特許が付与される前であれば、提出する分割出願を受け入れ可能である。また、特許出願に対して拒絶査定が提出された場合、拒絶査定に対する不服申立期間が満了する前までに分割出願を行うことができる。ロシア民法第1381条第4項には、以下のように分割出願の時期的要件が示されている。

 

(1)原出願が取り下げられていないこと(取下擬制取り下げたものとみなされていないこと)

(2)原出願に係る特許が登録されていないこと

(3)原出願について、拒絶査定に対する不服申立期間が満了していないこと

 

2.分割出願の効果

 ロシアでは分割出願の回数は制限されず、例えば、第1の分割出願が係属中であれば、親出願に特許が付与されていても、当該第1の分割出願からさらに分割出願を行うことができる。分割出願における特許存続期間は、何世代目の分割出願であろうと、親出願(最先のロシア出願)の出願日(国際出願の場合は国際出願日)に遡及される。分割出願の審査請求期限は、“分割出願日”から3年であり、親出願の出願日や国際出願日は、審査請求期限の起算にならない。そのため、狭い権利範囲のクレームで特許が付与される場合でも、より広い権利範囲のクレームにて分割出願を行い、特許出願を長期間係属させる戦略を取ることができる。

 

3.二重特許問題

 分割出願は、親出願(国際出願からの移行の場合は、国際出願)にサポートがあれば、如何なるクレームも加えることができる。ロシアにおいて二重特許は認められないが、親出願にて登録されたクレームと同一のクレームで分割出願を行い、審査過程において、二重特許拒絶を回避するための補正を行えば良い。ロシアでは、特許査定または拒絶査定の前であれば、補正を行うことができる(ロシア民法第1378条)。分割出願の発明者を、親出願とは異なる発明者にすることもできる。この場合、出願人と全ての発明者により署名され、分割出願の発明者が正しいことを主張する宣誓書を、ロシア特許庁に提出しなければならない。

 

4.拒絶査定への対応方針

 ロシア特許庁への出願が拒絶された場合に、分割出願は有用な対応であり、出願人は、拒絶査定に対する不服申立ではなく分割出願を検討すべきである。分割出願では、親出願における独立クレームに対して、従属クレームによる減縮だけでなく明細書に記載された特徴を加えることができるが、不服申立中の補正では、従属クレームによる減縮補正しか行うことができない。

■ソース
ロシア民法
■本文書の作成者
PAPULA-NEVINPAT (フィンランドを本拠地としてロシア支部を有する特許事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社 
■本文書の作成時期

2016.2.9

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